アジアの手仕事~生活と祈り~

アジア手工藝品店を営む店主が諸国で出逢った、愛すべき”ヒト・モノ・コト”を写真を中心に綴らせていただきます

19c 海洋交易の時代の絹絞り

2014-02-19 05:42:00 | 染織






製作地 インドネシア・スマトラ島 パレンバン  
製作年代(推定) 19世紀半ば~後半
素材/技法 絹、天然染料 / 縫い締め絞り、巻き締め絞り、手描き彩色(藍)、マクラメ

海のシルクロード交易の地で生まれた、固有の美と香りを有する絹縫い締め絞り布”プランギ”。目にしていると彼の時代に心が運ばれ、物語が展開していくような心地になります。

染織作品の香りは土地と時代が纏わせるもの、現代も美しい染織作品は数多くありますが、鼻腔の奥をくすぐるような香りを有するものは極めて少ないように思います。

”美しい”という言葉より、”薫り高い”という言葉が先に口につく絹縫い絞り布の名品です。




●本記事内容に関する参考(推奨)文献


仏教寺院を荘厳するための絹絣・二景

2014-02-17 05:13:00 | 染織












製作地 カンボジア南部 タケオ?  
製作年代(推定) 20世紀前期
素材/技法 絹(カンボウジュ種)、天然染料 / 綾地・緯絣

上の絹絣二点は、仏教寺院内で掛け布(ピダン)として用いられたもの、デザイン・モチーフは異なりますが、同時期に手掛けられ、同寺院で用いられたことが推察できる作品となります。

仏陀像の奉られた祭壇の背景に”光背”として掛けられたり、天井に”天幕”として張られたり...仏教寺院での儀礼を荘厳することが目的の布であり、実際にこの二枚の絹絣からは儀礼用布としての荘厳な空気感と格調の高さが薫ってまいります。





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