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製作地 パキスタン・スィンド州 タッタ
製作年代(推定) 20世紀半ば
民族名 ジョギ族(農牧及び蛇使いのコミュニティ)
現地でカンビーリ(カンビーラ)と呼ばれる意匠・技巧の刺繍作品。”カンビーラ=鰐・蛇の神”を表わすものであり、これは蛇使いのコミュニティがうろこ状の吉祥モチーフ描くことに由来する刺繍の名称とも考えられております。(カンビーラは金毘羅の語源ともなっている)
通常、この種のデザイン構成の刺繍では、等間隔に升目の区画がなされ、小紋の配置にも規則性が付けられますが、本品は升目の大きさはまちまち、刺し描かれた小紋の大きさと密度は64の升目ごとに全て異なる、つまり完全なるフリーハンドの作品となります。
手紡ぎ手織りの平地白木綿の上に、片方向は黒糸、もう片方向が紅糸、縦横別糸を用い、規則性に囚われない自由な意思のままに、一刺し一刺しに想いと祈りを込めた嫁入り刺繍であり、作品からはフリーハンドの刺繍ならではの躍動感と息づく生命が伝わってまいります。
定規で等間隔の線が引かれ、小紋の配置が予め計算されてしまうと、この生命が立ち現われることはありません。
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