(写真 ミャンマー・シャン州 インレー湖エリアの村にて)
製作地 ミャンマー中部
製作年代(推定) 11世紀~13世紀 パガン王朝期
”塼(せん)仏”は、寺院や仏塔等建造物の装飾、或いは単独で奉納仏・礼拝仏及び法具等として用いるため、雌型に 土・粘土等を詰めて型押しし、乾燥若しくは焼成させて作られた比較的小型のプレート状の仏像及びそれに類する品モノとなります。
インド・中国を製作・伝播の起源地として、製作された時代はそれぞれ異なるものの、日本を含む東アジアから東南アジア全域の、仏教圏の広い範囲で手掛けられてきたものであることが、各国各地に存する仏教遺跡の残存物・発掘品等から確認されております。
ミャンマーにおいては、ピュー時代及びパガン時代に製作の最盛期をむかえ、その多くは仏塔(パゴダ)内の壁や基部に敷き詰められるよう用いられたものであることが知られます。
800~900年もの年月を遡る”塼仏”片、篤き信仰の精神性が凝縮された作品であり、目にしていると彼の時代の人々の息遣いやざわめきが聴こえてくるようにも思えます。
●参考画像 同時代・同系統の”パガン王朝期せん仏”全形
※上画像はWhite Lotus刊「Burmese Buddhist Sculpture」より転載いたしております
●本記事内容に関する参考(推奨)文献
(写真 ミャンマー・シャン州 インレー湖エリアの村にて)
パオー族の人々が生活する村で。頭布の巻き方には人それぞれのこだわりが見受けられます。
製作地 ミャンマー
製作年代(推定) 20世紀前期
素材 薬木・香木に類する木、漆、金彩(金箔)
ミャンマー現地で”メディスンツリー””メディスン仏陀”等と呼ばれる小ぶりの仏神彫像。上は菩薩様(遊行僧)と仏塔パゴダが表された20世紀前期の作例です。
古くから伝わる民間信仰と医術のもと、病気を治すと信じられている薬木や香木を素材に仏神像や仏塔が彫り表され、祭壇(仏壇)に奉られ健康・長寿の祈りの対象とされてきました。
漆塗りのうえから金彩が施されておりますが、これは製作当初のものではなく、日常的に祈りや願掛け、また仏神に感謝を奉げる際に何度にもわたり金箔が貼られていくものとなります。
病気の際には実際にこれを摺り、煎じ薬とする慣習を有してきたと伝えられます(下画像参照)。