アジアの手仕事~生活と祈り~

アジア手工藝品店を営む店主が諸国で出逢った、愛すべき”ヒト・モノ・コト”を写真を中心に綴らせていただきます

飛翔し楽舞を司る”キンナリー・キンナラ”

2013-09-29 05:42:00 | 仏神像




製作地 ミャンマー中部  
製作年代(推定) 19世紀後半
素材 木(チーク材)、漆、顔料、金彩(金泥)、ガラス片

半人半鳥の神様”キンナリー(Kinnari)・キンナラ(Kinnara)”は、梵天(Deva)や阿修羅(Asura)等とともに仏法を守護する八部衆の一つであり、楽舞を司る神様として知られます。

ガルダ・ハムサ(ヒンタ)・キンナリー・キンナラ等の“鳥”に纏わる守護神及びその意匠はミャンマーにおいてとくに愛されてきたもの、それはビルマ宮廷装束のうちにも取り入れられております。

寺院・僧院の装飾パーツとして手掛けられた19cの作例、信仰の精神性に惹き込まれます。











多様な織り技法が駆使された褌布

2013-09-18 05:38:00 | 染織




製作地 ミャンマー・ラカイン州  
製作年代(推定) 20世紀前期
民族名 カミ族(チン族系)  
サイズ 17.5cm(緯)×456cm(経)
素材/技巧 木綿、絹 / 経地合、片面緯紋織、片面縫取織(フォルスエンブロイダリー)、浮紋織(黒×黒・地紋)

結婚した女性が夫のために、素材の準備から始まり1年掛かりで作り上げる慣習があったことが伝えられるカミ族の儀礼用褌布(ロインクロス)。70~80年時代を遡る20世紀前期の作例です。

一見すると刺繍に思える多色絹の装飾部は、経糸の間に縦・横・斜めと絵糸が動き回る特殊な織り技法”フォルスエンブロイダリー=偽刺繍”と呼ばれるもの、さらに裏面には絵糸が現れない”片面縫取織”が併用されており、並々ならぬ高度な手技と手間隙が掛けられたものとなります。

世界に唯一無二、孤高の生命と完成美を宿すアジア染織の一つです。


















●本記事内容に関する参考(推奨)文献