●両面染め 大模様-大柄
製作地 琉球王国 沖縄島首里 (現日本国・沖縄県)
製作年代(推定) 19世紀 琉球王朝期
素材/技法 苧麻、天然顔料、天然染料 / 型染、糊防染、両面染め
サイズ 横:14cm、縦:32cm
琉球王朝期の沖縄島首里で手掛けられた「苧麻”白地斜格子に桜檜扇模様”紅型」裂。
苧麻地・両面染めの紅型裂で、地はほんのりと生成りに染められているものの”白地”の範疇に入れられる作例、斜格子を地模様に”檜扇””桜花”等が大ぶりなモチーフ構成で多彩に染め描かれた一枚です。
上から5cmあたりに型紙の送り線(継ぎ目)を確認できますが、縦寸32cmの中に絵柄の繰り返しは無く、実際の縦寸は50cm~60cm程度、横寸は約40cmの”大模様・大柄”の白地型(紙)が用いられたものと考察されます。
”檜扇””飾り紐””桜花””葉”(最上部の見切れた部分は葉の形から”橘”と思われる)ひとつひとつのモチーフが、巧みな色の掛け合わせや色グラデーションを交えて緻密に表わされており、両面で破綻の無い彩色技術の高さは圧巻のもの、多彩ながらも落ち着きと調和のある色味も秀逸で、19c王朝期紅型の完成度の高さと固有の世界観に深く惹き込まれます。
極めて繊細に手績みされた上質な苧麻遣いの上布、手の込んだ彩色、意匠から伝わる格調の高さから、本紅型は尚王家及び宮廷者(女官等)が用いた夏衣裳”タナシ(ンチャナシ)”とされた布の可能性を指摘できます。裂から衣裳を想像することにも愉しみを見い出せる一枚です。
●本記事内容に関する参考(推奨)文献