製作地 ラオス北部
製作年代(推定) 20世紀中期
民族名 カム族 (Khmu)
素材/技法 木綿、天然染料、大麻(裾布) / 平地(経地合)、経縞、経絣
サイズ 全幅(経)116cm(筒状縫製)、総丈79cm(うち本体部(緯):54cm、裾布部:25cm)
ラオス北部に生活する「カム族(Khmu)」の手による経縞絣腰衣、20世紀中期の準アンティークの作品です。
モン・クメール語族に属するカム族は、ラオスの地にラーオ族が移住してくる以前から生活の拠点を築いていたと考えられる先住系の民族であり、現在においても、ルアンパバン県を含め、ラオス北部の幾つかの県においては、人口の最多数を占める民族グループとなっております。
カム族の多くは、精霊信仰のもと農業・漁業・畜産を主体とする古朴な生活を続けており、その中で大麻・木綿を栽培し、独自の技巧・意匠による染織・衣装作品の製作を継承してきました。
本腰衣は、手紡ぎ木綿を天然染料により多色に染めた糸により”経縞絣”の意匠で手掛けられたもの、地合は経密(緯は木綿藍糸)となっており、カム族伝統の腰機により織り上げられたものと考察されます。
作品を一見すると、横方向の多重縞と幅広くとられた裾布により”タイ・ルー族”の腰衣とも思えますが、本体部の織りが経地合の経縞絣であること、裾布の素材が大麻(ヘンプ)であること等を総合して、タイ・ルー族織物のデザイン的影響を受けたカム族織物であると判断できます。
手紡ぎ木綿・手績みヘンプ・様々な色合いの天然染料、素材の質感の豊かさが際立つ織物・衣装であり、カム族伝統染織の技巧の高さ・意匠の完成美に魅了される一品です。
●参考画像 相似するデザインのタイ・ルー族の腰衣
デザインは相似するものの、タイ・ルー族の腰衣本体部は”緯縞”、カム族では”経縞”と技巧が異なり、タイ・ルー族の腰衣では裾布に大麻が用いられることはほぼ無いものと考察されます。
※上画像はChiang Mai University刊「CULTURAL HERITAGE 0F TAI LUE TEXTILES」より転載いたしております
●本記事内容に関する参考(推奨)文献
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