製作地 インド ジャンムー・カシュミール州 ザンスカール
製作年代(推定) 20世紀半ば
素材 ヤクウール、染料、革
このヤクウール絞り染めシューズは、ザンスカールに生活するチベット民族系の人々が祝祭時に用いたもので、彼らが放牧し育てるヤク牛のウールを素材に、綾地に織り絞り染めにより”ティグマ”と呼ばれる吉祥文様を表わした布を主体に、底部には革を張り、手仕事の縫い刺しにより仕上げたものとなります。20世紀半ばに手掛けられた古手の作例です。
丸の中に十字を描く絞りモチーフは、チベット仏教の伝統のもと古来より受け継がれてきたもの、日本では江戸時代に“蒙古絞り”としてもてはやされたものとも縁の深い染織の意匠となります。
完全なる手仕事の紡ぎ・織り・染め、縫いと刺し子、底張りの革が覗く先尖型のデザイン、作品全体からかもされる新鮮な様式美、可憐な意匠表情に目を奪われる一品です。