アジアの手仕事~生活と祈り~

アジア手工藝品店を営む店主が諸国で出逢った、愛すべき”ヒト・モノ・コト”を写真を中心に綴らせていただきます

魔を寄せ付けない祈りの意匠

2013-08-10 06:56:00 | 生活と祈りの意匠






一見すると斬新で不思議なデザインとも思えますが、これが赤ちゃんを背中に負ぶう際に、魔・病気を寄せ付けないためのお守りとして背に付ける布と知ると納得がいきます。

中国・貴州省西部エリアに生活する苗(ミャオ)族支族に伝わる”ろうけつ染め”の意匠で、おばあちゃんや母親が祈りとともに自身の手で手掛ける伝統を有してきたものとなります。





製作地 中国・貴州省 黔西県  
製作年代(推定) 20世紀半ば~後半
民族名・支族 苗(ミャオ)族 黔西 Qianxi





製作地 中国・貴州省 糸只金県珠場  
製作年代(推定) 20世紀半ば~後半
民族名・支族 苗(ミャオ)族 珠場 Zhuchang

20c初 手績み苧麻遣いの上布

2013-08-06 05:33:00 | 染織



製作地 日本 地方及び県不詳  
製作年代(推定) 20世紀初め 明治末~大正時代
素材/技法 苧麻、天然藍 / 平地、板締め絣(経緯併用)

経糸・緯糸双方に繊細な手績みの苧麻糸が用いられた、明治~大正期、20世紀初め作の板締め紺絣としての”上布(じょうふ)”。

現代流行のファストファッションの中で、様々な種類の”サラッとして肌触りが良い””通気性が良く涼しい”等という工業製品の服地が出回っていますが、この手績み・手織り苧麻の布を一度触ってみれば、先人の智恵・技術・手仕事の方が現在より数段優れていたことに気が付きます。

”上布(じょうふ)”、つまり日本においての夏衣のための”最上の布”とは、木綿でも絹でも無く”苧麻”や”大麻”であったことを知る日本人(の割合)はかなり少なくなってしまったかもしれません。