アジアの手仕事~生活と祈り~

アジア手工藝品店を営む店主が諸国で出逢った、愛すべき”ヒト・モノ・コト”を写真を中心に綴らせていただきます

祈りの手仕事のねんねこ

2012-05-28 05:17:00 | 生活と祈りの道具











製作地 中国・貴州省 黎平県
製作年代(推定) 20世紀半ば
民族名 トン族

祈りの手仕事。我々の目を驚かせるような取り分け手の込んだものは、家族のために手掛けられたモノのうちに多く見出すことができるように思います。

トン族が赤ちゃんの健やかな成長を祈りつつ、何日も何日も掛けて一糸一糸を刺し込んで作り上げる刺繍のねんねこ。これが我が国の津軽コギンと相似することは偶然ではないと感じます。

祈りの手仕事、愛情の手仕事は、国・民族を越えて共振するように感じます。



●日本・青森県の津軽コギン




※上画像は京都書院刊「日本の染織13 こぎん・刺子」より転載いたしております

山中の小さな村の民族衣装

2012-05-27 05:18:00 | 民族衣装





製作地 中国・貴州省 雷山県桃江  
製作年代(推定) 20世紀前期
民族名・支族 桃江ミャオ族

中国西南地方に生活する苗(ミャオ)族は、村ごと・支族ごとにデザインの異なる独自の民族衣装を製作・着用する伝統を有してきた民族となります。

この桃江(タオジャン)は、貴州省雷山県の山岳部に位置する一小村に過ぎませんが、丈の短い半纏タイプの上着と、同じく丈の短いプリーツスカート、一目でそれと判る個性的な民族衣装を村人たちは代々手掛けてきました。

天然染料染めの手引き絹を経緯に用いた手の込んだ綾紋の格子織り、藍で煌びやかに染めた絹を用いた浮紋織り、精緻な経紋織りの紐... 見た目が個性的なだけでなく、極めて高度な染め・織り・刺繍の技術が駆使されていることが、本作例から伺うことができます。

片田舎の一小村の人々が、このような高度な手仕事の技巧と完成度の高い民族衣装の伝統を継承してきたことに感動を覚えます。