染料の生産地及び使用地 日本・東北地方 ※絞り染めは京都若しくは加賀と推定
製作年代(推定) 19世紀後半 明治時代初期
素材/技法 国産の木綿及び最上紅花、日本茜 / 媒染、絞り染め
東北地方に産する最上紅花と日本茜を染料に、媒染と絞りの巧みな染め師仕事により、意図的な色むら感を加えて染め上げられた”和の色味”が薫り豊かな木綿絞りの端布。
富裕層の女性が襦袢とし、子供の疱瘡除けの”赤着”等としても用いられたことが残存する作例や資料等により確認することができます。
明治に入ると、繊維産業の工業化のもと、安価な輸入物の紅花が出回るとともに化学染料が流通し、栽培・染料抽出等に多大な手間隙を要する高価な“最上紅花”の生産は壊滅的な打撃を受け、この手合いの染色・衣装用布は短い期間のうちに消失してしまいました。
江戸染物の華やぎ・残り香と、短命であった明治初期染物としての儚さを宿す、美しき一枚です。
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田村資料館蔵 「蛇の目文様絞染半襦袢」
※上画像は平凡社刊「別冊太陽 木綿古裂」より転載いたしております
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