アジアの手仕事~生活と祈り~

アジア手工藝品店を営む店主が諸国で出逢った、愛すべき”ヒト・モノ・コト”を写真を中心に綴らせていただきます

木鼻(きばな)

2013-05-29 07:41:00 | 技巧・意匠・素材

●「獅子」の木鼻 (家屋内小柱用の小さな木鼻)











製作地 日本・東北地方  
製作年代(推定) 19世紀後半~20世紀初め



●「象」の木鼻 お寺の木鼻





(写真 日本・東北地方 福島県会津地方にて)



●「獏」の木鼻 神社の木鼻


(写真 日本・東北地方 山形県庄内地方にて)





●本記事内容に関する参考(推奨)文献
 

明治初期の”紅花&茜染め”の絞り布

2013-05-27 05:11:00 | 染織




染料の生産地及び使用地 日本・東北地方  ※絞り染めは京都若しくは加賀と推定
製作年代(推定) 19世紀後半 明治時代初期
素材/技法 国産の木綿及び最上紅花、日本茜 / 媒染、絞り染め

東北地方に産する最上紅花と日本茜を染料に、媒染と絞りの巧みな染め師仕事により、意図的な色むら感を加えて染め上げられた”和の色味”が薫り豊かな木綿絞りの端布。

富裕層の女性が襦袢とし、子供の疱瘡除けの”赤着”等としても用いられたことが残存する作例や資料等により確認することができます。

明治に入ると、繊維産業の工業化のもと、安価な輸入物の紅花が出回るとともに化学染料が流通し、栽培・染料抽出等に多大な手間隙を要する高価な“最上紅花”の生産は壊滅的な打撃を受け、この手合いの染色・衣装用布は短い期間のうちに消失してしまいました。

江戸染物の華やぎ・残り香と、短命であった明治初期染物としての儚さを宿す、美しき一枚です。




田村資料館蔵 「蛇の目文様絞染半襦袢」

※上画像は平凡社刊「別冊太陽 木綿古裂」より転載いたしております






●本記事内容に関する参考(推奨)文献


18c古渡り 花唐草文様・繻珍裂

2013-05-23 05:35:00 | 染織












製作地 中国 清朝/渡来・使用地 日本 
製作年代(推定) 18世紀 
素材/技法 絹、天然染料、箔糸(漆塗り平箔) / 経朱子織、緯紋織(=繻珍)

“繻珍(しゅちん)”は繻子(朱子)組織をベースに、多色の絵緯により文様を織り出す広義の錦織物を指し、明朝時代の中国で織り始められたとされ、金襴・緞子等とともに茶の湯を中心に日本でも珍重された特別な舶来織物の一つに挙げられます。

本繻珍は、平箔の地緯に極めて細い金茶の絹が経繻子として細密に配され、六色の絵緯により繊細かつ瑞々しい表情の”牡丹””菊花”等の花文及び唐草文が織り表わされたもの、肉眼では確認できない部分をルーペで拡大して鑑賞することにも楽しみを見出すことができます。

200余年の時を遡る古渡りの繻珍、時代の色香に惹き込まれる一枚です。





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