アジアの手仕事~生活と祈り~

アジア手工藝品店を営む店主が諸国で出逢った、愛すべき”ヒト・モノ・コト”を写真を中心に綴らせていただきます

東北地方 明治時代 大麻地常盤紺型装飾 袖なし

2022-03-01 08:03:00 | 染織









製作地 日本 東北地方
製作年代(推定) 19世紀末-20世紀初め 明治時代
素材/技法 大麻、木綿、天然藍 / 型染(常盤紺型)
サイズ 肩幅42cm、胸周り約100cm、着丈69cm

深く濃い色味の藍に染められた大麻布を服地に、絣模様を型染により緻密に染め表した常盤紺型(ときわこんがた)の布により装飾が加えられた明治期東北地方の袖なし上着。

背部の菱形充て布に目がいきますが、これは背中に負荷がかかる労働に就く者の仕事着であることを示し、強度を高めるため斜め(バイアス)に布が縫いつけられたものですが、内側から縦方向に充てられた木綿布の刺し縫いとともにデザイン性も強く意識されている様子が伺えます。

また常盤紺型を含め染料は藍のみですが、様々な色調の藍を交えることで見映えを高めようとする作り手の意図がしっかりと伝わってきます。

極めて細く裂かれ束ねられ、強めに撚りがかけられた丈夫な大麻糸が経緯に用いられた質実本位の衣装、今では失われし高度な技巧と並々ならぬ手間暇を要する民間手仕事の所産です。



























(光学顕微鏡による画像)
●服地 大麻×大麻






●加飾 木綿×木綿 型染




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