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製作地 日本 京都 ※縮緬は中国からの舶載品の可能性有り
製作年代(推定) 17世紀末~18世紀 江戸時代中期
素材/技法 絹(二越縮緬)、天然染料、天然顔料 / 絞り染め(縫い締め)、友禅染め(手描き)
サイズ 横幅:47cm、縦:46cm
本布は極めて繊細な絹糸遣いと織りがなされた二越縮緬地に、縫い締め技法の絞り染めと手描きの友禅染めにより意匠付けがなされた単着物の身頃裂で、色柄及び布地の状態の良さから、打敷とされて仏教寺院に奉納され長らく保存された後、それが解かれたものと考察されます。
本品に用いられている縮緬は当時の上手のもので、中国から舶載された生糸が素材に用いた国産縮緬若しくは中国で織られた渡り縮緬である可能性を指摘できるところとなります。
初期友禅に特有の鈍色・暗色を基調とする落ち着きある色彩で端整に表現された”蔓枝繋ぎ・菊花模様”と、”雲形”と呼ばれる流麗な曲線の縫い締めと紅花染めによるくっきりとした染め分けのデザインが印象的ですが、紅花染めの中にも縫い締めにより染め抜きがなされ、墨描きの蝶と友禅染めの菊花が”嶋模様(中近世染織の本来的な語彙での嶋模様)”として配置されており、これは明らかに中世絞り”辻が花(つじがはな)”を彷彿させる意匠のもの、本布は”辻が花的絞り”+”初期友禅”で彩られた着物裂の残存作例として資料的に貴重なものと位置づけられます。
二百余年~三百年を遡る時代の縮緬地・絞り&友禅染め裂、糸・布・文様の細部まで破綻なく美の生命と精神性が宿った、江戸中期日本染織の技巧の粋を感じさせる一枚です。
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