気ままに

大船での気ままな生活日誌

帰ってきた橋本治展 大谷、猛打賞

2024-06-18 21:10:36 | Weblog

こんばんわ。

この6月2日まで、神奈川近代文学館で”帰ってきた橋本治展”が開催されていた。なんで”帰ってきた”というタイトルなのか、”帰ってきたよっぱらい”の作詞者でもなかったはずだし。展覧会会場に入ってはじめてその理由がわかった。

橋本治(1948~2019)は、1977年に高校生の日常を描いた”桃尻娘”で小説家デビューするのだが、桃尻娘シリーズの最終章の舞台が、当館のある港の見える丘公園なのだそうだ。そこで未来への希望を示唆して締めくくられるとのこと。よって、このデビュー作から故人となりこの地で回顧展、まさに”帰ってきた橋本治展なのだ。

桃尻娘シリーズ 登場人物はみな高校生の青春小説。

港の見える丘公園から見るベイブリッジ。この橋をみて、桃尻娘の主人公は”なぜだろう、よく分からないけど、でも橋の向こうには、ひょっとしたら”幸福な未来”というようなものがあるのかもしれない”と思う。

ぼくは橋本治とほぼ同世代であるが、実はこの”桃尻娘”シリーズも読んでいないし、のちに紹介するさまざまな古典の訳本も書店の本棚でしか知らない。ただ知っているのは、今回の展覧会の最初に飾られたこのポスターだけである。

これは、1968年の東大駒場祭の彼の制作したポスターで、マスコミでも話題になったので、結構、一般にも知れ渡った。大学紛争真っただ中の”とめてくれるなおっかさん背中のいちょうが泣いている 男、東大どこへ行く”の名セリフが効いた。その渦中、本人は”ネトライキ組”を称し、映画に歌舞伎に美術にとうつつをぬかしていたようだ。

73年に大学を卒業し、イラストレーターとして働いていたが、77年に”桃尻娘”が小説現代新人賞佳作を受賞し、文筆業に転じる。本展では、文筆家・橋本の小説、評論、随筆などの各分野での膨大な業績が次々と紹介される。さらに、表紙画などの装幀、挿絵、テレビドラマのタイトルバックなど美術関係もある。もう、ただただ驚かされる。一人の人間が生涯でこれほどのことが出来るものなのか。竹久夢二も多彩な画家で七つの顔をもつ男”と讃えられたが、橋本治も同様、マルチタレントの文筆家である。

同業の作家の橋本評をWikiから。林真理子は橋本を「知の巨人」と評し、「軽やかで自由なところがすごい」「源氏物語、平家物語、といった古典を楽々と自分のものにし、新しい物語として紡ぎ出していく手腕は感嘆するばかりである」と述べている。

双調平家物語(全15巻)400字詰め原稿用紙で8400枚の量になった。これだけで一生の仕事では。

桃尻版枕草子の原稿 原文に忠実に訳しつつ、背景となっている平安時代の貴族の生活の註を詳しく入れた。

絵本・徒然草

『窯変源氏物語』(全14巻)夢浮橋の原稿 400字詰め原稿用紙で9700枚の量になった。目標通り、谷崎訳の源氏物語と同様、中央公論社から出版する。

高橋源一郎は『花咲く乙女たちのキンピラゴボウ』に大きな影響を受けたと述べ、小林秀雄、江藤淳、吉本隆明らが「批評の言葉」をつくったのに対し、橋本は批評の新しい言葉をつくり、批評の形を変えたと評している。また、橋本の本を読まなければ作家になっていなかったとも語っている(Wiki)。

花咲く乙女たちのキンピラゴボウ(前・後編)少女漫画の評論として名高いようだ。

いろいろな文学賞を受賞している。2002年、”三島由紀夫は何者だったか”で第1回小林秀雄賞を受賞している。ほかに”蝶のゆくえ”で柴田錬三郎賞、『双調・平家物語』で毎日出版文化賞、2018年には『草薙の剣』で野間文芸賞も受賞。2019年(70歳)没。

展覧会では最後に”橋本治美術館”として橋本の美術作品が展示されている。それらのいくつかをここに載せて、終了といたしまする。

市川猿之助七月大歌舞伎 当世流小栗判官ポスター原画

ひらかな盛衰記 六代目歌右衛門の梅が枝

ひらかな盛衰記の梶原源太(歌舞伎の星、表紙絵)

特集 源氏物語はいかに読まれているか(表紙絵)

特集万葉集の表紙絵

橋本は編み物の専門家でもある!デザインがすごい。

花見幕のカーディガン

写楽の錦絵の入ったセーター

実篤の文章も仕事部屋に。我々の世代(笑)。

以上のように、美術展まで入り、通常の文学展とは趣きが異なる、面白い展覧会であった。

大谷、猛打賞!

橋本治もすごいが、この人もすごい。世界一の野球選手、大谷翔平。昨日2連発を放ったが、今日のロッキーズ戦では20号は出なかったが、2塁打2本を含む猛打賞!打率は.314(4位)、OPSも.988(2位)に上げる。毎日、楽しませてくれてありがとう。

二塁打二本

16盗塁(6位)

では、おやすみなさい。

いい夢を。


沢田研二をデザインしたセーター

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4 コメント

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きゃぁ❢ (アナザン・スター)
2024-06-18 21:24:34
あらっ、失礼を・・・
いけませんわ、最後に沢田研二さん出現なんて。

車の中では、CDかけています。
はい、大音響!

今日は、長時間を乗ってまして、エンジェルナンバーが続出です。8888が数回。
枇杷の被害に遭いながらも、収穫しています。

大谷選手、やるねぇ❢
今日は、テンション上がってます。
おやすみなさい。
アナザン・スターさま (marbo)
2024-06-18 21:57:06
沢田研二セーターをアナザンさんに着てもらいたいですね(笑)。

こちらは大雨で外出できず、テンションゼロです。明日は晴れるようですので、一気にテンション上げられそうです(笑)。

大谷選手、ミスタージューンの本領発揮してきました。明日はきっと、20,21号の連発ですよ。ホームランの出やすい球場だし。
Unknown (小父さん)
2024-06-18 21:57:59
>大谷、猛打賞!

山本由伸とムーキー・ベッツの故障者入りは残念無念ですが、大谷は彼らの分まで頑張っている気がします。
何分にも大谷自身が故障者に入らぬよう祈るばかりです。

盗塁のチャレンジ判定、興味深かったですね。

>”帰ってきたよっぱらい”の作詞者でもなかったはずだし。

はっはっは

>ぼくは橋本治とほぼ同世代であるが、

あらあら、そんな年代なんですか。

橋本治って知りませんでしたが、「デビューすると博学や独特の文体を駆使し、古典の現代語訳、評論・戯曲など多才ぶりを発揮」なんて書いてあるので、あれあれって思いましたら・・・
東京大学文学部国文学科卒業、卒論は『四世鶴屋南北の劇世界』、専攻は北斎と来ましたね!

>最初に飾られたこのポスターだけである。

これ学生運動にも使っていたような・・・?

>本人は”ネトライキ組”を称し、映画に歌舞伎に美術にとうつつをぬかしていたようだ。

ひゃっ、ひゃっ、ひゃっ

>マルチタレントの文筆家である。

なるほどなるほど。

「知の巨人」、「軽やかで自由なところがすごい」「源氏物語、平家物語、といった古典を楽々と自分のものにし・・・へっへっへ、こんな人生を歩んでみたかったですね。
まあ、私みたいな鈍才には月とすっぽんですが。

>双調平家物語(全15巻)400字詰め原稿用紙で8400枚の量

いやはや、勉強した人間しか真似できないですね。

>桃尻版枕草子の原稿 原文に忠実に訳しつつ、背景となっている平安時代の貴族の生活の註を詳しく入れた。

パロデイでしたか!

>『窯変源氏物語』(全14巻)。夢浮橋の原稿 400字詰め原稿用紙で9700枚の量・・・

無限の才能な気がします。

>花咲く乙女たちのキンピラゴボウ

面白そう!

>”三島由紀夫は何者だったか”で第1回小林秀雄賞を

これ一番興味ありです。

>市川猿之助七月大歌舞伎 当世流小栗判官ポスター原画

これは三島由紀夫の感覚に似たものを感じますね。

>ひらかな盛衰記 六代目歌右衛門の梅が枝

なんと、文筆も絵画もパロディなんでしょうか?

>ひらかな盛衰記の梶原源太(歌舞伎の星、表紙絵)

とことん遊んで(楽しんで)いたような・・・。

>特集 源氏物語はいかに読まれているか(表紙絵)

怖い絵ですね。

いやはや、凄い日本人がいたんですね。

marboさんは飛び込みで行かれたんですか?(笑)

有難うございました。
小父さんさま (marbo)
2024-06-18 22:23:23
今日は大谷、トップバッターの役割を見事に果たしましたね。

>何分にも大谷自身が故障者に入らぬよう祈るばかりです。

ほんとにそう思います。

>パロデイでしたか!

パロデイではないですね。言葉使いを現代高校生の言葉使いにしただけですから。

>花咲く乙女たちのキンピラゴボウ/面白そう

ぼくも一番、読んでみたいですね。ただ少女漫画に詳しい人でないと難しいでしょうね。

>”三島由紀夫は何者だったか”で第1回小林秀雄賞を/これ一番興味ありです。

ぼくもそうですね。小林秀雄賞の第1回受賞とはたいしたものです。

>なんと、文筆も絵画もパロディなんでしょうか?

浮世絵ではよく描かれる手法で、パロディではないですね。

>marboさんは飛び込みで行かれたんですか?(笑)

最終日近くなりましたが、飛び込みではなく、ぜひ見ようと思っていました。本は読んでいませんでしたが、同世代で生き方に関心はありました。通常の文学展とは違い、自作の美術作品まであり、かなり充実した展覧会でしたよ。

明日の大谷にも期待ですね。高地で気圧も低く、ボールが飛ぶようですね。20号、21号と予想します(笑)。

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