先日、散歩がてらに鏑木清方記念館に寄った。こうして、気軽に入って、気軽に観られる小さな美術館が近くにあるのは幸せ。この日は”清方の挿絵ができあがるまで”展が開かれていた。
挿絵や口絵に、木版画を使う場合、まず画家の下絵ができ、それから、彫師が下絵を彫り、墨一色で摺る。これを”校合摺(きょうごうずり)”という。そして、”差し上げ”という工程があり、画家が部分の色を指定する。彫師はそれぞれの色ごとの版をつくり、摺りを重ね、”校正摺りが出来る。そして、完成となる。
そうした工程、すなわち、下絵、校合摺、差し上げ、校正摺、完成画が、清方の10数点の挿絵や口絵で並べて展示されている。鸚鵡とか風流線、神さく(鏡花)などの作品からのもの。引出展示のものも含めて楽しく眺めさせてもらった。
またこの季節に相応しい絵もいくつか展示されている。ちらしの絵に採用された”手賀沼”(昭和7年作)。手賀沼は我孫子にあり、常磐線時代に、ぼくも何度か、訪ねたことがある。2011年、我孫子で巴水展があったときに、準備の段階で偶然、見つかったそうで、巴水のお師匠さんということで特別展示されたようだ。ネットで”我孫子市教育長室に作品が展示されている”という記述をみつけたが、本物だろうか(笑)。ただ、この絵が”当館所蔵”ではなく、”当館寄託”となっているので、我孫子市に寄託したのかもしれない。こんど確かめてみよう。(汗)。
夏らしい作品として、砂浜少女、ゆあみ、ゆかた、清流など。清方美人が涼やかに。
”清子4才像(大正元年)”。長女がモデル。理想化はせずに、”ありのままに”という感じ。でも、劉生の子供よりはずっと可愛い(爆)。”カルメン(大正8年)”。朱色の上着と緑のスカートが印象的なカルメン。
下絵と校正摺り(握手/黒河内桂林著)
鸚鵡と新さく(木版口絵)
蚊遣の煙(文芸倶楽部) 口絵
札幌にて。
昨日は、小樽に行ってきました。