
イタリア、ナポリ湾に面する、古代都市ボンベイの遺跡は2度、訪れたことがあり、その高度に発達した街並みや石化した人々の姿に感動したものだった。その街は、AD79年、ヴェスヴィオ火山の大噴火により埋没し、約1700年の間、本格的な発掘が始まるまで姿を隠していたのだった。
今回のエジプト展で公開されているものは、8世紀頃から水没し、人々の前から完全に姿を消した、BC331年からBC30年まで栄えた王国の遺跡なのである。地上のボンベイと違って、なにしろ海の底からの発掘である。それには想像を絶する困難に見舞われたことであろう。長年、これに携わってこられた海洋考古学者や作業者の方々に、深く敬意を表したい。
ファラオの頭部もこんなふうに埋まっていた。

豊穣神ハビの巨像も見つかり、こんなふうに引き上げられる。


でも全体像が、そのまま残っているわけではない、周辺から胸部や脚とか手とかを思われる部分を引き上げ、パズルのように繋げて、ようやく全体像に近いものが出来上がるのである。そして、ようやく完成したのが、今回の主役、5メートルにも及ぶ3体の巨像なのである。
右から、ハビ神像、ファラオ像そして王妃像。これは、ヘラクレイオン(エジプトと地中海世界との玄関口の街)コーナーにある。見ごたえがありますよ。

ぼくは、カノープス(セラピス神をまつる神殿のあった街)コーナーの、首なしの王妃像(アルシノエ2世)に首ったけ(汗)。これが、クレオパトラかと思ったほどの色っぽさ。すけすけるっく発祥の地(笑)。荷風先生好みの像でした。

クレオパトラはどこ?ようやくみつけました。
アレクサンドリア(アレクサンドロス大王によって建設され、王都とした栄えた街)コーナー。クレオパトラ7世はここのラストエンペラーだったのだ。クレオパトラか楊貴妃とまでうたわれた絶世の美女の姿はどこに。なんと、小さなコインに、描かれていただけでした。生まれたときが悪かったのです。国が滅亡するときに、自分の像をつくってもらえる時間もお金もなかったのでしょうね。

スフインクスもいっぱい出土したようです。狛犬みたいに可愛いですね。

私はこっちの方が欲しいと、株で損した中高年の女性がわらっていました。

ぼくは、こんなステラが気に入りました。海中にステラレなくて良かった。古代文字の解読なんておもしろいでしょうね、暗号文を解くようで。

会場は、ブルー系の色で染まり、まるで海中にいるような雰囲気をうまく出していました。また、古代都市を蘇らせたバーチャル体験シアターも、良かったですよ。
これほど、たくさんの展示物も、まだ、海底に埋まったものの、ごく一部なのだそうだ。大部分の遺物はまだ深い眠りについている。ぼく個人的には、もう、これ以上、堀り出さないで、そっとしてあげておきたいと願います。ただ、科学者というのは、欲ばりだから、まだまだ延々と続けるだろうな。でも引き際も大事ですよ。もうこれ以上、自然(遺物だって自然ナノダ)を破壊しないでくださいね(笑)。
はじめ、科学者をほめておいて
、最後にけなし、ごめんなさいね
。






