石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

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2020-10-23 | その他

 これまでにブログおよび各種の雑誌への寄稿等に発表したレポート、エッセイ等を「マイ・ライブラリー(論稿集)」としてまとめました。 日々のニュースをモニタリングしているブログ「石油と中東」及び荒葉一也編集ブログ「OCIN the Cloud」、同ホームページ「OCIN Initiative」とあわせてお読みください。

おすすめのコーナー:

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・(New)サウジアラビアを危うくする二人の王子:皇太子と石油相

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・世界イスラム経済報告(2019―2020年版)

・(再録)サウジアラビア・サウド家

・エッセイ「挽歌・アラビア石油(私の追想録)」

 

 

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今年の成長率はマイナス4.4%、中国だけがプラス成長:IMF世界経済見通し2020年10月版(5完)

2020-10-22 | その他

(注)本レポートは「マイ・ライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0516ImfWeoOct2020.pdf

 

4.世界および主要地域・国のGDP成長率の推移(2017~2021年)
(表http://menadabase.maeda1.jp/1-B-2-11.pdf 参照)
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-B-2-05.pdf 参照)

(今年の大幅な落ち込みから来年は回復成長路線に戻れるか?)
(1)世界および主要経済圏
 世界全体の成長率は2017年から2019年までプラス3%前後で推移していたが、今年は▲4.4%に急落、来年は5.2%に回復するとIMFは予測している。

経済圏別で見るとG7の成長率は2019年まで2%前後の成長を続けたのち、今年は▲5.9%と世界平均を下回るマイナス成長となり、来年はプラス3.8%に回復する見通しである。EUは2017年の成長率が3.0%であったが、その後2.3%(18年)、1.7%(19年)と年々落ち込み、2020年はコロナウィルスの影響で世界平均を大きく上回る▲7.6%に落ち込む見込みである。2021年は今年の反動で5.0%のプラス成長に転じると予測している。

ASEAN-5か国は他の経済圏に比べ高い成長率を達成している。同地域は2017年から19年まで5%前後の成長率を維持しており、2020年は他の地域と同様コロナウィルスの影響を免れず▲3.4%のマイナス成長にとどまると予測されている。来年についてはV字回復し6.2%の成長が見込まれている。

(5年間を通じてプラス成長を達成すると見られる中国!)
(2)世界と中東の主要国
日本の成長率は2017年は2.2%であったが、2018、19年はそれぞれ0.3%、0.7%の低い成長率にとどまった。2020年は▲5.3%の大幅なマイナス成長になり、2021年には一転して5年間で最も高い2.3%の成長が予測されている。これは世界平均の5.2%、G7の3.8%に比べて決して高くないものの、過去の実績を勘案するとなお高いハードルと言えそうである。

米国の過去3か年の経済は先進国の中でも特に好調であり、2.2%~3.0%の成長を維持してきたが、今年(2020年)は▲4.3%と急落する見込みである。来年は一転して3.1%の成長率を達成すると予測している。中国は2017年から2019年まで6%台の成長を維持している。今年はコロナウィルスの影響を受けるものの日米のようなマイナス成長にはならず、1.9%のプラス成長を達成すると見込まれている。来年はV字回復し、8.2%の高い成長率を達成するものと予測される。近年中国と肩を並べる成長を続けているインドは、2017年以降2021年まで7.0%→6.1%→4.2%→▲10.3%→8.8%と今年は大幅なマイナス成長に陥っている。

 中東の主要国を見ると、GDPが中東で最大のサウジアラビアは原油価格下落の影響を受けて2017年は▲0.7%のマイナス成長に陥っている。2018年と2019年はプラス成長を達成しているが、今年は▲5.4%に転落、来年は回復して3.1%のプラス成長に戻ると予測されている。サウジアラビアに次いでGDPが世界20位のトルコは2017年に7.5%と言う高い成長率を記録している。その後の2年間は3.0%→0.9%と成長率が鈍化し、今年は▲5%のマイナス成長に陥る見通しである。来年は成長路線に回復すると見込まれる。

 イランのGDP成長率は2017年に3.7%を達成したが、その後米国の経済制裁の影響を受け、18年▲5.4%、19年▲6.5%とマイナス成長に陥り、今年はコロナ禍、原油安の影響も加わり▲5.0%と3年続けてマイナス成長に苦しんでいる。IMFは同国が来年は3.2%のプラス成長に戻ると予測しているが予断を許さない状況である。

 エジプトの成長率の推移は4.1%(17年)→5.3%(18年)→5.6%(19年)→3.5%(20年)→2.8%(21年)とされ、コロナウィルス問題の下でも安定した成長が見込まれている。

(完)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp

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石油と中東のニュース(10月22日)

2020-10-22 | 今日のニュース
(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(コロナウィルス関連ニュース)
・オマーンの夜間外出禁止令、24日に解除
(石油関連ニュース)
(中東関連ニュース)
・レバノン、ハリリ元首相復帰確定。
・イスラエル-UAEのビザなし渡航が実現。Etihad航空第一便でUAE財務相、米財務長官が訪問
・サウジアラビア、駐米大使に続き二人目の女性ノルウェー大使任命
・カタール首長、米財務長官と会談
・梶山経産相、カタールエネルギー相とTV会談。 *


*経産省プレスリリース参照。
https://www.meti.go.jp/press/2020/10/20201021003/20201021003.html



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見果てぬ平和 - 中東の戦後70年(49)

2020-10-21 | その他
(英語版)
(アラビア語版)

第6章:現代イスラームテロの系譜

荒葉 一也
E-mail: areha_kazuya@jcom.home.ne.jp

6.もう沢山!長期独裁に倦んだ大衆
中東と北アフリカはMENAと総称されるが、このMENA地域が政変の少ない地域であったと言えば奇妙に聞こえるかもしれない。2011年のいわゆる「アラブの春」以来、この地域は激しい政治変動の嵐に見舞われている。しかし1973年の第4次中東戦争以降「アラブの春」までの40年近くMENA各国の政治は安定し、政変どころか政権交代さえなかった国が少なくない。各国で長期独裁政権が続いたのである。長期独裁政権はエジプト、シリアなどの世俗軍事政権だけではない。湾岸諸国を含めMENAに今なお残る君主制国家を含めてのことである。

MENA諸国はトルコ、イラン及びイスラエルを除きアラブ民族の国家であり、同時にトルコ、イランを含めムスリム(イスラーム教徒)が多数を占める国家群である。長期独裁政権を生む素地がアラブ民族と言う血(DNA)の絆とイスラームという信仰(心)の絆のいずれにあるのか、或いは両者があいまって政治的安定と言う名の長期独裁政権を生んで育てたのか。答えは簡単に出ないが、西欧諸国と比べた場合、どうしてもこの二つの要素が浮かび上がるのである。

そしてもう一つ、これらMENA諸国の政治的安定が各国の経済的繁栄や科学技術の進歩をもたらさなかったことも指摘できる(石油ブームで繁栄を勝ち得た湾岸諸国は例外)。似たような強権体制でありながらタイ、インドネシアなどの東南アジア各国が経済的繁栄を享受したのとは異なった道を歩んだのである。

MENAで最初に独裁者の地位を得たのはリビアのカダフィであった。カダフィのことは第4章でもふれたが、彼は1969年にクーデタで当時の国王を倒して最高指導者となった。若干27歳であった。彼はそれから42年間もその地位を保ち、2011年に内戦で69歳の人生を終えた。


彼の後に現れたのがシリアのハフィーズ・アサドである。シーア派の一派とされるシリア北部のアラウィー派の少数部族出身のアサドは空軍将校を経てバース党内で頭角を現した。1971年に大統領に選出されたハフィーズは長期政権体制を確立し次男のバシャール・アサドを後継者に指名して2000年に心臓まひで死亡した。バシャール・アサドはシリアが内戦状態にある現在も同国大統領の座にある。親子で通算するとすでに半世紀近くが経過している。

このほか1970年代に一国のトップに駆け上り、その後長期間にわたり独裁を続けた人物にイエメンの故サーレハ大統領とイラクの故フセイン大統領がいる。サーレハは陸軍総司令官を経て36歳の時の1978年に統一前の北イエメン大統領に就任、南北統一後も大統領の座を守り2011年のアラブの春で失脚した。彼は下野した後も反政府のフーシ派と連合勢力を結成、首都サナアを占拠して復活を狙っていたが、2017年にフーシ派によって暗殺された。2011年までの大統領在任期間は33年に達する。そしてイラクのサダム・フセインはバース党幹部から1979年にイラク大統領に就任した。その後、イラン・イラク戦争さらに湾岸戦争をしぶとく生き延びたが、2003年のイラク戦争で失脚、裁判によって処刑された。彼の大統領在任期間は24年間であった。

北アフリカ諸国では上記のリビア・カダフィのほか、エジプトのムバラク、チュニジアのベン・アリ、スーダンのバシールがそれぞれ長期独裁政権を保持した。ムバラクは空軍士官として4度の中東戦争を経てサダト政権下で副大統領に任命され、サダトが暗殺された1981年に大統領に就任した。そして2011年のアラブの春で失脚するまで30年間にわたり大統領を務めたのである。チュニジアのベン・アリは1987年に大統領に就任した後、「アラブの春」で最初のやり玉にあげられ2011年に失脚、サウジアラビアに亡命した(2019年没)。中東の独裁者として最後に登場するのがスーダンのバシールであるが、彼はカイロの士官学校を卒業後、軍隊組織で昇進を重ね1989年の軍事クーデタで権力を掌握、2019年に退任するまで30年間大統領の地位にいた。

これらの7人の人物は成り上がりで権力を手中にした者たちである。しかし中東にはもう一つ別なタイプの強権的独裁者の一族がいる。それはサウジアラビアなど湾岸君主制国家の支配一族である。サウジアラビアはサウド家が支配する専制君主国家であり、その他UAE、クウェイト、オマーンなどいわゆるGCC(湾岸協力機構)各国はいずれも世襲制の君主によってすでに数十年どころか百年を上回る専制支配体制が続いている。

このような長期支配体制の国では1970~1980年代生まれの若者たちは物心ついた時の国家元首が成人になってもなおそのままである。若者たちは停滞感と閉塞感に包まれた社会の中で大人になる。彼らが一様に口にするのは次の言葉であった。
「もう沢山だ!」。アラビア語で言えば「キファーヤ!」。

「キファーヤ」はエジプトでムバラク政権に抗議する運動のスローガンとして2000年代初めに広がった。この言葉はインターネットのSNSを通じ各国で形を変えて若者たちの間に深く浸透していった。それが実際の革命運動にまで転化したのが2011年の「アラブの春」であった。

(続く)
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今年の成長率はマイナス4.4%、中国だけがプラス成長:IMF世界経済見通し2020年10月版(4)

2020-10-21 | その他
(注)本レポートは「マイ・ライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0516ImfWeoOct2020.pdf


(米国と中国2カ国だけで世界のGDPの43%を独占!)
3.2020年の世界及び主要国のGDP (Current Price)
(表http://menadabase.maeda1.jp/1-B-2-09.pdf 参照)
(表http://menadabase.maeda1.jp/1-B-2-12.pdf 参照)
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-B-2-03.pdf 参照)

IMFによれば今年の世界のGDP(at Current Price)総額は84兆ドルと見込まれる。昨年のGDPは88兆ドルであり、今年は昨年比4.4%少なくなっている。

84兆ドルのうちG7は38兆ドルで全体の46%を占め圧倒的な存在感を示している。EUのGDP総額は15兆ドル(全世界の18%)、ASEAN5か国は2.6兆ドル(同3%)である。

国別では2020年のGDPの世界ベストテンは米国が世界トップ(21兆ドル)で全世界に占める割合は25%、同国一国だけで世界のGDPの4分の1を生み出している。米国に次ぐGDP大国は中国の15兆ドルであり世界全体の18%を占めている。この2か国が突出し世界全体のGDPの43%を占めている。前節で見た通り中国はコロナ禍の今年も米国がマイナス成長に陥る中でプラス成長を達成する見込みであり、また来年は高い成長率が予測されている。今後両国のGDP格差が急速に縮まることは間違いなく、両国の貿易・経済摩擦は一層激しくなるであろう。

第3位は日本(4.9兆ドル)で、これは米国の4分の1あるいは中国の3分の1である。第4位以下10位までは、ドイツ(3.8兆ドル)、英国、インド、フランス(各2.6兆ドル)、イタリア(1.8兆ドル)、カナダ、韓国(1.6兆ドル)である。因みにEUのGDP15兆ドルは世界第3位に相当する。

 11位から20位まではロシア、ブラジル、オーストラリア、スペイン、インドネシア、メキシコ、オランダ、スイス、サウジアラビアそしてトルコの各国である。中東諸国ではサウジアラビアが世界19位、トルコが世界20位にランク付けされている。このほかの主要な中東諸国はイラン(世界22位)、イスラエル(同30位)、エジプト(同34位)、UAE(同35位)、イラク(同52位)、カタール(同55位)の各国である。

(続く)

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石油と中東のニュース(10月20日)

2020-10-20 | 今日のニュース
(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(石油関連ニュース)
・OPEC+閣僚級減産モニター会議開催。減産達成率102%、加盟国間でばらつき
「私を楽しませてくれ(Make my day)」:サウジ石油相、OPEC+加盟国に減産順守を呼びかけ

(中東関連ニュース)
・トランプ大統領、1998年の米大使館爆破遺族への補償金支払いを条件にスーダンのテロ支援国家指定解除へ
・UAE、イスラエルとの和平協定を批准
・サウジ:上級聖職者会議メンバー入れ替え、任期4年の諮問評議会150名指名
・北キプロス大統領選挙で親トルコ派Tatarが勝利。東地中海の軋轢増す。 *
・クウェイト総選挙投票日、12月5日に決定
・UAE-イスラエル便発着枠、乗客用週28便、貨物用週10便で合意
・UAE Etihad便、イスラエルに初到着。往路は乗客ゼロ、帰路はイスラエルミッション搭乗
・イスラエル-バハレーン、和平合意に正式調印

*「敵の敵は味方かそれとも別の敵か? 複雑な中東の合従連衡と離合集散 」参照。


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今年の成長率はマイナス4.4%、中国だけがプラス成長:IMF世界経済見通し2020年10月版(3)

2020-10-19 | その他
(注)本レポートは「マイ・ライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0516ImfWeoOct2020.pdf


(4月よりもさらに下方修正された産油国!)
2.前回(2020年4月)と今回(2020年10月)の比
(表http://menadabase.maeda1.jp/1-B-2-08.pdf 参照)
(1) 世界および主要経済圏の比較
 上述のとおり今回(WEO2020Oct)の全世界の成長率見通しは今年(2020年)が▲4.4%、来年(2021年)は5.2%である。これに対して前回(WEO2020Apr)の見通しでは両年の成長率はそれぞれ▲3.0%、5.8%であり、本年は1.3%また来年は0.6%いずれも下方修正されている。IMFでは新型コロナウィルスの影響が予想以上に大きく、また長期化すると見ているようである。

 2020年の見通しについて主要経済圏を前回と比較すると、G7は前回の▲6.2%から今回は▲5.9%と若干改善している。一方EUは▲7.1%から▲7.6%に一段と悪化する見通しである。ASEAN-5は▲0.6%→▲3.4%と悪化の度合いはEU以上である。経済大国よりも発展途上国がコロナウィルスの影響を顕著に受けていると言えよう。

 主要経済圏の来年(2021年)のGDP成長率の見通しについて前回と今回を比較すると、G7は4.5%→3.8%であり、ASEAN-5は7.8%→6.2%と景気回復が遅れると予測している。これに対してEUは4.8%→5.0%に上方修正されている。

(2)主要国の比較
今年の成長率については中国が前回の1.2%から今回は1.9%に上方修正された。しかしインドは逆に1.9%から▲10.3%と大幅に下方修正されている。インドは米国に次ぐ世界2位のコロナ感染者が発生している。中国がCOVID19を抑え込んだ一方、インドは拡大がおさまらず、経済成長も明暗がはっきり分かれた格好である。

中印以外の世界主要国の今年の成長率は以下のごとく見直されている。
米国(▲5.9%→▲4.3%)、日本(▲5.2%→▲5.3%)、ドイツ(▲7.0%→▲6.0%)、英国(▲6.5%→▲9.8%)、韓国(▲1.2%→▲1.9%)、ロシア(▲5.5%→▲4.1%)
いずれの国もマイナス成長に変わりはないが、米国、ドイツ、ロシア3か国は多少の改善が予測されている一方、日本、英国、韓国はマイナス成長がさらに拡大すると見込まれている。

また中東の主要国の今年の成長率の見直しは以下のとおりである。
サウジアラビア(▲2.3%→▲5.4%)、トルコ(▲5.0%→▲5.0%)、UAE(▲3.5%→▲6.6%)、イラン(▲6.0%→▲5.0%)、イスラエル(▲6.3%→▲5.9%)、イラク(▲4.7%→▲12.1%)
イスラエル及びトルコの成長率が改善または現状維持であるのに対し、サウジアラビア、UAE、イラクの産油国の成長率が下方修正されているのが特徴的である。世界景気の回復が遅れ、石油の需要が低迷していることが原因と考えられる。

また2021年の成長率はすべて国でプラス成長とされているが、4月の予測に比べほとんどの国が下方修正されており、コロナ禍が長期化し景気の回復がずれ込んでいることを反映している。例えば米国の場合、4月には来年の成長率を4.7%と予測したが、今回は3.1%と低めに修正されている。日本も3.0%から2.3%とされており、その他の国々も中国(9.2%→8.2%)、ドイツ(5.2%→4.2%)、韓国(3.4%→2.9%)、ロシア(3.5%→2.8%)に下方修正されている。上方修正されたのは英国(4.0%→5.9%)及びインド(7.4%→8.8%)である。

中東諸国について見ると、サウジアラビア、トルコ、イラン、エジプト、イスラエル各国は4月の予測に変化は無いが、UAE(3.3%→1.3%)及びイラク(7.2%→2.5%)は経済の回復が遅れると予測されている。

(続く)

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今年の成長率はマイナス4.4%、中国だけがプラス成長:IMF世界経済見通し2020年10月版(2)

2020-10-18 | その他
1.2020/21年の経済成長率(続き)
(経済大国の中で唯一プラス成長を維持する中国!)
(2)主要国のGDP成長率
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-B-2-02.pdf 参照)
世界及び中東主要国の昨年から来年まで3年間の成長率を見ると、まず目につくのは米国、日本をはじめほとんどの国が今年はマイナス成長になっていることである。その中でプラス成長を見込まれているのは経済大国では中国(1.9%)、中東ではエジプト(3.5%)だけである。

日本は昨年の0.7%から今年は▲5.3%のマイナス成長になると予測されている。日本は2018及び19年の過去2年間は1%以下という先進国の中でも低い成長率にとどまっており、今年の見込み成長率はリーマンショック時の2009年(▲5.4%)に次ぐマイナス成長である。来年についてはプラス2.3%の成長が見込まれている。

米国の場合、昨年実績はプラス2.2%であったが、今年は一挙に▲4.3%に落ち込むと見込まれる。これに対し来年は3.1%の成長に戻ると予測され、今年と来年で7.4%の大きな振幅がある。このような振幅は米国以外の各国でも見られる現象であり、IMFはコロナウィルス問題が終焉すれば世界経済がV字回復し通常の成長路線に戻ると見ている。

中国は昨年、6.1%の成長率を達成、インドとともに世界経済をけん引していたが、今年の成長率は1.9%に留まる見込みである。また来年は8.2%の高度成長を予測している。今年下半期に入り世界各国が低迷する景気から抜け出せない中で中国の経済回復は目覚ましく、IMFは来年同国が再び突出した高い成長率を達成すると見込んでいる。

インドの今年の成長率は▲10.3%と見込まれている。昨年のプラス4.2%の成長から一気に落ち込むが、来年は中国を上回る8.8%の成長が予測されており、同国の経済変動の振幅はかなり大きい。

MENAの主要国の3か年の成長率は、サウジアラビアが0.3%(昨年)→▲5.4%(今年)→3.1%(来年)であり、トルコは0.9%→▲5%→5%、イランは▲6.5%→▲5.0→3.2%である。3か国とも今年はマイナス成長であり、来年はプラスに転じると予測している。イランはサウジアラビアと同じ産油国ではあるが、米国の経済制裁により昨年は▲6.5%のマイナス成長であった。今回のコロナウィルス問題でもイランは中東で最も大きな影響を受けており、二年連続でマイナス成長を強いられている。来年プラス成長に転じることができるかイラン経済は極めて厳しい状況に置かれている。

(続く)

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石油と中東のニュース(10月18日)

2020-10-18 | 今日のニュース
(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(石油関連ニュース)
(中東関連ニュース)
・サウジ皇太子、13日、17日と連続してロシア大統領と電話会談。石油問題で協議。  *
・オマーン女性の日:王妃が5人の女性に叙勲


*レポート「サウジアラビアを危うくする二人の王子:皇太子と石油相 」(2020年3月)参照

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今年の成長率はマイナス4.4%、中国だけがプラス成長:IMF世界経済見通し2020年10月版(1)

2020-10-17 | 今日のニュース
2020.10.17
前田 高行


IMF(国際通貨基金)では毎年4月および10月に世界各国の経済見通し「World Economic Outlook Database (WEO)」を発表しており、今年10月版(以下WEO2020Oct)がインターネット上に公開された。
*URL: https://www.imf.org/external/pubs/ft/weo/2020/02/weodata/index.aspx 

 ここでは2017年から2021年(予測)までのGDP(current price, ドル建て)を取り上げ、成長率については前回2020年4月版(以下WEO2020Apr) と比較して世界とMENA主要国の経済状況の変化を検証する。

(主要国で中国のみプラス成長、その他は軒並み5%以上のマイナス成長!)
1.2020/21年のGDP成長率
(表http://menadabase.maeda1.jp/1-B-2-08.pdf 参照)

(1)全世界及び主要経済圏のGDP成長率
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-B-2-01.pdf 参照)
 IMFは今年(2020年)の世界のGDP成長率を▲4.4%と見込んでいる。言うまでもなく世界的に猛威を振るっている新型コロナウィルスにより、世界ベースで経済がマヒ状態に陥ったためである。

経済圏毎に見ると主要先進7カ国(G7)が▲5.9%、EUは▲7.6%、ASEAN5カ国は▲3.4%とされている。落ち込みはG7、EUなどの先進地域で激しく、東南アジア新興国のASEAN-5は比較的傷は浅いように見える。

来年(2021年)は全世界の成長率は5.2%のプラスになると予測しており、IMFでは来年は今年の落ち込みを吸収し、通常の経済成長に戻ると見ている。G7及びEUの来年の成長率はそれぞれ3.8%及び5.0%であり、プラスに転じるものの成長率は世界平均を下回ると見込んでいる。ASEAN5カ国は今年の▲3.4%から来年は一挙に6.2%と世界平均を上回る成長が見込まれ、中国(後記)と共に世界経済の成長センターとしての活力を取り戻しそうである。

(続く)


本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
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