(注)イランの核開発計画について米国トランプ大統領が脅しまがいの書簡をイラン最高指導者ハメネイ師に送り付け、これに対してハメネイ師は米国の脅迫には屈しないと国民に語り掛けている。両者の言いぶりとその背景について二つの現地記事は以下のように報じている。
その2:イランのハメネイ師、トランプ大統領の脅迫を「いじめ」と非難
(原題2) Iran's Khamenei slams 'bullying' after Trump threats
2025/3/8 Ahram Online (by AFP)

イランの最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイ師は、米国のトランプ大統領が軍事行動を脅した翌日、自らが「脅迫的」な戦術と呼ぶものを激しく非難した。
トランプ大統領が核開発計画に関する協議に応じなければ軍事行動を起こすと脅した後、ハメネイ師は、「一部の脅迫的な政府は、交渉を主張している。一部の外国の人物や指導者に対しては、脅迫という言葉以上に適切な言葉はないと思う。彼らの交渉は問題解決を狙ったものではなく、支配を狙ったものだ」と語った。
ハメネイ師は、イランが満たすことを期待していない新たな条件を故意に設定したとして、威圧的な大国を非難した。「彼らは、イランが満たさないと考える新たな期待を設定している」とハメネイ師は米国の名前を挙げず、トランプ氏の発言にも言及せずに述べた。
テヘランはここ数カ月、核開発の野望をめぐる問題の解決を目指し、合意の欧州3カ国(英国、フランス、ドイツ)と外交努力を行っている。しかし、ハメネイ師は、「イランはJCPOAの下での核合意を履行していないと宣言した」として3か国政府を非難した。
ハメネイ師は、トランプ大統領が2018年にJCPOAを放棄した後、イランは約束を撤回し始めるまで丸1年間JCPOAの条件を遵守していたことに言及した。しかし、イランはそれ以降、JCPOAで設定された制限をはるかに超えてウラン濃縮を急激に増加させている。
米国当局は現在、イランがそうしようと思えば数週間以内に核兵器を製造できると見積もっている。一方のイランは一貫して核兵器保有を否定し、同計画の平和的性質を強調しており、イラン当局は常に、そのような兵器の開発を禁じるハメネイ師の宗教法令を引用している。
先月、トランプ大統領が新たな核合意を求めた後、ハメネイ師は米国との交渉に反対する姿勢を改めて表明し、その考えは「賢明ではない」と述べ、「米国が2015年の合意を台無しにし、違反し、破棄した」と非難した。
トランプ大統領がJCPOAから離脱してから1年以上経った2019年、当時の安倍晋三首相は仲介を試みるためイランを訪問している。しかし、ハメネイ師は「トランプはメッセージを交わすに値する人物ではない」と述べ、米国との協議の可能性を断固として拒否した。
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