石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

BPエネルギー統計2020年版解説シリーズ天然ガス篇 (9)

2020-08-04 | BP統計
BPが毎年恒例の「BP Statistical Review of World Energy 2020」を発表した。以下は同レポートの中から天然ガスに関する埋蔵量、生産量、消費量、貿易量及び価格のデータを抜粋して解説したものである。
 *BPホームページ:
http://www.bp.com/en/global/corporate/energy-economics/statistical-review-of-world-energy.html

3.世界の天然ガス消費量(続き)
(急速に伸びる中国、2015年以降毎年減少する日本!)
(3)日本、中国及びインドの消費量の推移(2000年~2019年)
(図http://bpdatabase.maeda1.jp/2-3-G03.pdf 参照)
 ここではアジアの三大国である日本、中国及びインドについて2000年から昨年までの消費量の推移を比較してみる。2000年の日本、中国及びインドの天然ガスの消費量はそれぞれ757億㎥、247億㎥、254億㎥であり、中国が最も少なく日本の3分の1に過ぎなかった。

2000年以降、中国の天然ガス消費量が急増して2009年には日本を追い抜き、2010年の消費量は1千億㎥を突破、2016年には2千億㎥に達して日本の2倍になっている。その後も毎年二桁前後の高い伸び率により2019年の消費量は3千億㎥を超えている。この間日本の消費量は毎年減少したため、両国の格差は3倍近くまで拡大している。

日本の場合は2000年から2010年までの年間平均増加率は3%であったが、2011年には一挙に対前年比12%の大幅増となり、2012年も前年比10%と2年連続して高い増加率を示した。福島原発事故に伴う火力発電用LNG調達のためである。しかしその後2年間は1%弱の増加率にとどまり、2015年以降はむしろ対前年比マイナス成長を続けている。この結果日本の天然ガス消費量は2014年の1,248億㎥をピークに、2019年には1,081億㎥まで減少している。

インドの消費量は2010年までは順調に伸び2011年には603億㎥に達したが、2012年から2015年までの4年間は連続して減少し、2015年の消費量は478億㎥にとどまった。その後は再び増加に転じ、2019年の消費量は597億㎥である。これは日本の2分の1強、中国の5分の1である。

天然ガスは石油に比べてCO2や有害物質の排出量が少ない「環境に優しいエネルギー」として今後需要が拡大することは間違いない。世界的にも新しいパイプラインやLNGの液化・運搬・受入設備が増強されている。米国でシェールガスの開発生産が急増しており、また世界各地で新しいガス田が発見されるなど天然ガスの開発と生産拡大の余地は大きく、それに応じて今後も消費拡大のペースは続くものと思われる。中国は今後ますます需要が伸びるものと見られる。

(続く)

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前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp
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