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http://mylibrary.maeda1.jp/0478AramcoVsIoc2019JanJune.pdf
(圧倒的な原油生産量を誇るアラムコ!)
1. 原油・ガス生産量 (図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-6-01.pdf 参照)
今年1-6月のアラムコの原油生産量は日量平均1千万バレル(以下B/D)であり、天然ガス生産量は石油換算で320万B/D、あわせて1,320万B/Dであった。原油生産量及び天然ガスとの合計生産量は世界一である。IOC5社で原油生産量が最も多いのはExxonMobilの236万B/Dであるが、アラムコはExxonMobilの4倍強の生産量を誇っている。そして最も原油生産量が少ないBP(130万B/D)と比べると約8倍である。
一方、ガスの生産量はアラムコの320万B/D(石油換算)をIOC5社と比較すると最も多いShell(182万B/D)はアラムコの6割弱、最も少ないChevronでもアラムコの4割弱であり、原油生産量ほどの大きな差は無い。
各社の原油と天然ガスの比率はアラムコが原油76%に対しガス24%で原油はガスの3倍である。これに対してIOC5社はExxonMobil及びChevronの原油:ガス比率は3対2であり、Shell及びBPは原油とガスがほぼ同量である(Totalは原油55%:ガス45%)。アラムコはIOC5社に比べ原油の比率がかなり高い。
これは両者のガスに対する取り組み方の違いにあると考えられる。即ちIOC5社の場合天然ガスは外販を目的としており、特に近年は天然ガスに対する需要が増加しているため独自の開発生産に力を入れているため天然ガスの比率が高い。これに対してアラムコは原油の生産販売を目的とする国営石油会社として運営されており、またこれまで国内に大型ガス田が発見されていない。
アラムコの場合、天然ガスは原油生産に伴って生産される随伴ガスを自家燃料として消費し、或は国内の電力・海水淡水化国営企業に供給している。最近では電力・海水淡水化用の需要が急増している。アラムコにとって天然ガスの確保は国民生活上喫緊の課題であり、IOC各社が天然ガス販売を新たな収益源とみなしているのとは事情が異なる。
なお、上記の通りアラムコとIOC各社の原油生産量には大きな格差があるが、下記に示すように売上高(Revenue or Sales)は目立った差はない(Shellはむしろアラムコより売上高が大きい)ことに留意する必要があろう。
(続く)
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