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http://mylibrary.maeda1.jp/0473SovereignRating2019July.pdf
3.2016年7月以降の格付け推移
ここでは2016年7月以降現在までの欧米・アジア主要国及びGCC6か国のソブリン格付けの推移を検証する。
(1) 欧米・アジア主要国の格付け推移
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-G-3-01.pdf参照)
2016年7月以降のドイツ、米国、英国、中国、日本、インド、ロシア、ブラジル、ギリシャ9か国の格付けの推移は以下の通りである。
ドイツは過去3年間常に最高のトリプルAの格付けを維持している。米国はドイツより1ランク低いAA+を、また英国はさらに1ランク低い格付けAAを過去3年間続けている。中国及び日本はドイツ、米国、英国に比べさらに低い格付けである。中国は2016年7月にはAA-であったが、2017年下期に下方修正されたため現在は日本と同じA+である。
新興経済国BRICsを構成しているブラジル、ロシア、インド及び中国のうち、2016年7月現在は、中国がAA-と最も高く、日本(A+)より上位であった。インドは投資適格では最も低いBBB-であり、ロシアとブラジルは投資不適格のBB+及びBBであった。その後、ブラジルの経済が悪化、昨年上半期にはBB-に格下げされた一方、ロシアは同期間中にインドと同じ投資適格最低ランクのBBB-に格上げされた。インドは過去3年間格付け変動は無かった。
欧州金融危機の引き金となったギリシャの2016年7月時点の格付けはB-であった。S&Pの定義では格付けBは「現時点では債務を履行する能力を有しているが、「BB」に格付けされた発行体よりも脆弱である。事業環境、財務状況、または経済状況が悪化した場合には債務を履行する能力や意思が損なわれ易い」とある。ギリシャは危機的状況にあったが、その後EU、IMF等の勧告に沿って経済改革を進めた結果、昨年上半期に格付けはB+にアップし、MENA諸国のトルコ、ヨルダンなどと同等の格付けとなっている。
(続く)
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