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http://mylibrary.maeda1.jp/0546ImfWeoOct2021.pdf
1.2021/22年の経済成長率(続き)
(今年、来年と高度成長が見込まれるインド!)
(2)主要国のGDP成長率
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-B-2-02.pdf 参照)
世界及び中東主要国の昨年から来年まで3年間の成長率を見ると、まず目につくのはほとんどの国はこの3年間の成長率に著しい変動が見られることである。即ち、昨年のマイナス成長の反動で今年は高い成長率が見込まれ、来年はそれが通常のペースに戻ると予測している。
日本は昨年の▲4.6%のマイナス成長から今年はプラス2.4%に変わり、来年はさらにプラス3.2%になるとIMFは予測している。後述する通り2018及び19年の日本の成長率は0.6%及び0.0%といずれも1%以下であり先進国の中でも最も低い伸びにとどまっている。今年は昨年の反動で成長率が高めになると見込んでいるが、新型コロナウィルスの影響による昨年のマイナス成長を跳ね返すことができるのか、さらに来年についても従来を大きく上回る3%台の成長が期待できるのかは予断を許さない。
米国の場合、昨年実績は▲3.4%であったが、今年は一気に6.0%の成長を達成し2年間で10%近い大きな変動が見込まれている。また来年も5.2%の成長が予測されている。米国はバイデン新政権が総額1.9兆ドルの巨額の景気刺激策を発動しており、IMFは景気がV字回復すると予測している。
一昨年まで高度成長を続けてきた中国は、コロナウィルス禍を早期に押さえ込み、昨年の成長率もGDP大国の中で唯一2.3%のプラス成長を達成している。そして今年及び来年の成長率はそれぞれ+8.0%、+5.6%と予測されている。従来の高度成長及び将来の潜在的な成長力を考慮すると、IMFが予測した成長率を達成することはさほど難しくなさそうである。なお中国当局の発表によれば今年1-3月は昨年同期比+18.3%、4-6月期は同+7.9%である。
インドはここで取り上げた国の中では3年間の経済成長率の振幅が最も激しく、昨年は▲7.3%のマイナス、今年は+9.5%、来年も+8.5%の成長が予測されており、昨年と今年のプラス・マイナスの差は17%に達している。同国のコロナ禍は鎮静の兆しが見られず、今年から来年に向かいインド経済が順調に回復するかどうか、注視する必要がありそうである。
MENAの主要国の3か年の成長率は、サウジアラビアが▲4.1%(昨年)→2.8%(今年)→4.8%(来年)であり、トルコは1.8%(昨年)→9.0%→3.3%、イラン3.4%(昨年)→2.5%→2.0%である。トルコ及びイランは共に3か年を通じてプラス成長が続くと予測されている。イランの場合、核交渉の再開が遅れており、米国の経済制裁解除の見通しが立っていないため、経済成長率の動向は極めて流動的である。サウジアラビアの経済成長率は原油価格と輸出量に左右されるであろう。トルコは中東の中で政治的発言力を増しているが、経済面では消費国EUとエネルギー生産国ロシアに挟まれた地政学的な影響を受け、経済成長予測が難しいところである。
(続く)
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