石油と中東

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業績が大幅に落ち込んだ五大国際石油企業:2019年度業績速報シリーズ(1)

2020-02-10 | 海外・国内石油企業の業績

 国際石油企業(International Oil Companies, IOCs)の2019年第4四半期(10-12月)及び年間(1-12月)の決算が発表された。本稿ではExxonMobil(米)、Shell(英蘭), BP(英), Total(仏)及びChevron(米)の主要5社を取り上げ、各社の売上高、利益、投資額、石油・ガス生産量等を概観し、さらに5社の業績比較を行う。

I. 各社の業績概要
(表:http://menadabase.maeda1.jp/1-D-4-20.pdf 参照)

(業績の足を引っ張った下流部門!)
1. ExxonMobilの2019年第4四半期(10-12月)及び通年(1-12月)の業績
*同社ホームページ:https://news.exxonmobil.com/press-release/exxonmobil-earns-143-billion-2019-57-billion-fourth-quarter

(1)売上高
 ExxonMobilの2019年10-12月の売上高は672億ドルであり、また通年売上高は2,649億ドルであった。前年同期比ではそれぞれ-6.6%及び-8.7%の減収である。減収の要因は対応する期間の原油及び製品価格が下落したためであり、例えば代表的な指標油種である北海Brent原油の2018年の平均価格は71.31ドル/バレルであり、これに対して2019年のそれは64.21ドルであり、また第4四半期の平均価格も2018年の68.81ドルに対して2019年は63.08ドルに下落している 。後述する通りExxonMobilの2019年原油・天然ガスの生産量は前年に比べ原油が横ばい、天然ガスは減産となり石油換算の合計生産量は3.1%増であった。このことから減収の主たる要因が価格の下落であったことが解る。

(2)利益
 10-12月期及び通年の利益はそれぞれ57億ドル及び143億ドルであり、前年同期と比較すると10-12月期は5%減、通年では31%の減益であった。通年利益のうち上流部門の利益は2018年の141億ドルに対して2019年は144億ドルとわずかながら増加している。一方、下流部門の利益は2017年の60億ドルに対して2019年は23億ドルと大幅に減少している。(注、最終損益額には石油化学部門その他の損益が合算されているため、部門別の上流・下流部門の損益合計額とは一致しない。)

上流部門と下流部門を比較すると、上流部門は原油価格の下落にも関わらず利益がわずかながら増加したのは増産の結果であろう。これに対して下流部門は利益が3分の1近くに激減しており、末端の製品価格が崩れたためと考えられる。

(3)売上高利益率
 通年ベースの売上高利益率は5.4%であり、前年の7.2%より低下している。

(4)設備・探鉱投資
 2019年の年間の設備・探鉱投資額は311億ドルであり、2018年の259億ドルに比べ20%増加している。

(5)石油・ガス生産量
 昨年のExxonMobilの石油生産量は日量平均2,386千バレル(以下B/D)であり、前年(2018年)の2,266千B/Dに比べ5.3%増加している。一方、天然ガスは日量平均9,394百万立法フィート(以下mmcfd)であり前年とほぼ横ばいである。

(続く)

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 前田 高行
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