世界最大の石油企業エクソンモービルは1/30に昨年1-12月の決算を公表した。原油価格の高騰及び米国など世界的な好景気による石油・天然ガス需要の増加を反映して、利益が360億ドル(邦貨約4.3兆円)に達する未曾有の好決算となった。第2位のシェルも2/2の決算発表では利益250億ドル(約3兆円)を記録している。以下はエクソンモービルの2005年1-12月決算の概要である。(単位:百万USドル、1ドル=120円)
2005年 2004年 増減 前年比
売上 370,998 298,035 72,963 24.5%
利益 36,130 25,330 10,800 42.6%
2005年の売上は37百億ドル(44兆円)に達し、前年(2004年)に比べ24.5%の増加であった。利益は361億ドル(4兆3千億円)であり前年のほぼ1.5倍であった。
利益の部門別・地域別内訳
地域別内訳:米国内 米国外
上流部門 24,349 (67%) 6,200 (26%) 18,149 (74%)
下流部門 7,992 (22%) 3,911 (49%) 4,081 (51%)
石油化学他 3,789 (11%)
合計 36,130 (100%)
部門別では上流部門が利益の3分の2を占めており、またそのうちの4分の3の利益は米国外である。エクソンモービルは利益全体の半分を米国外の上流部門で稼いでいることになる。
原油の生産量(単位:1,000B/D)
2005年 2004年 増減
米国 477 (19%) 557 -80
カナダ 346 (14%) 355 -9
ヨーロッパ 546 (22%) 583 -37
アフリカ 666 (26%) 572 +94
その他 488 (19%) 504 -16
合計 2,523 (100%) 2,571 -48
2005年の原油生産量は252万B/Dであったが、そのうち米国内は2割弱の48万B/Dであり、その他8割は海外であった。海外ではアフリカが67万B/Dで最も多い。前年の生産量に比べると5万B/D減少しており、アフリカを除く全ての国・地域の生産量が減少している。エクソンモービルはアフリカ原油が会社利益の源泉であることがわかる。
天然ガスの生産量(単位:百万立方フィート/日)
2005年 2004年 増減
米国 1,739 (19%) 1,947 -208
ヨーロッパ 4,315 (47%) 4,614 -299
アジア 1,268 (14%) 1,519 -251
その他 1,929 (20%) 1,784 +145
合計 9,251 (100%) 9,864 -613
2005年の天然ガス生産は93億立方フィート/日(以下mcfd)であった。そのうち2分の1近くの43億mcfdはヨーロッパであり、米国の生産量は全体の20%に留まっている。生産量は前年の2004年より6億mcfd減少している。
エクソンモービルは原油、天然ガスともに生産量が減少しているが、価格の高騰は量の落ち込みをカバーして余りあるものがあった訳である。今後生産量をいかに維持するかが同社の売上及び損益を左右するものと思われる。同社も高水準の利益を上流部門に対する積極的な投資に振り向けるものと思われるが、上流部門の投資が売上及び利益に反映されるまでには相当のタイムラグがあるのが普通であり、生産量の回復には暫く時間がかかるのではないだろうか。
決算の詳細はExxonMobilホームページ参照。
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