熊本市議会議員なすまどか~まどかレポート

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熊本市議会議員 那須円(なす まどか)の活動日記

熊本市中心市街地の再開発は必要か?

2012年12月20日 | 熊本市政のおはなし

市街地再開発計画というのは分かりにくく、また熊本市も住民に対して十分な説明をしていません。

でも、数百億という私たちの税金をどう使うのかという問題でもあり、ぜひ多くの市民の方々に知ってほしい、考えてほしい問題です。

今回の話には二つの再開発計画がでてきます。

①花畑地区再開発(産文会館などがある花畑地区での計画で、市と民間業者が地権者)⇒ゆきづまり、破たん

②桜町再開発(交通センターや県民百貨店がある桜町地区での計画で、民間業者【産交ホールディングス】が事業主体)⇒今後、市としても参入し進める方針

の二つです。

一般的に、中心市街地再開発は、今ある建物などを一度壊し、高層の再開発ビルを建て、地権者はビル内の床を取得し、
建物が高層になったことで新たにできた床を、参入を希望する業者などに売却し、再開発の事業費にあてるという仕組みです。

つまりは、

複数の建物が混在している地域(白く網かけしている地域)をいったん更地にし、ひとまとめに開発しなおし、


こうした高層のビルをたて、地権者はもっていた権利分の床をもらい、ビルが高層になったことで余分にできた床を、ビルに入居希望がある業者(商業施設・ホテル・マンションなど)や自治体に売却し、ビル建設費などの事業費を捻出するというものです。

しかし、近年は景気の低迷もあり、なかなかビルへの入り手が見つからず、再開発がゆきづまるケースも少なくありません。また、古くから賃料を払って商売などをされていた方などは、再開発ビルのテナント料が高いため商売を続けられず、移転せざるを得ないケースも多くあります。結局は、高層ビルを利用できるケースは限られ、ホテルやマンション業者などが入らなければ再開発が進まないケースが多い状況です。

また、もう一つの特徴は、再開発ビルに自治体の施設が入る場合(例えば図書館など)、民間が買う床の値段よりも自治体が買う値段が高くなるということです。例えば、熊本駅前に再開発ビルがありますが、マンションなどを手掛けた民間業者は1㎡あたり18万円で買ったことに対して、市(図書館部分)は1㎡あたり32万円1.8倍の値段を支払っています。
ですので、自治体が参入をしてくれれば、高い床を自治体に買い、その一方で、マンションなどを手掛ける
民間業者は安く床を取得できるということになります。極端な場合は、自治体が参入しないと再開発自体が進まないというケースもあるほどです。


さて、前おきが長くなりましたが、今回のエントリーは、熊本市中心市街地での再開発についてです。ご覧ください。


先月末、幸山市長は、産文会館を含む花畑町再開発計画を断念することを明らかにしました。

花畑町再開発というのは、5年ほど前に立ち上げた構想で、市が保有する産文会館などのビルを解体し、そこに高層ビルを建て、地権者(産文会館を持っている市や近隣の敷地を保有している民間企業)が持ち分の床を取得し、それ以外のフロア(床)を売り、事業を進めていくというものでした。

これまでの市の言い分は、新たにできたフロアに博多座のような大型劇場をつくるということや、商業施設などが集まったビルができれば、市街地の賑わいに貢献するというものでした。

私たち日本共産党は、「フロアの買い手も確保できず、再開発計画が行き詰まることは明らか」との立場で、計画に反対し、見直しを求めてきました

案の定、床の買い手である事業参入者が見つからず、花畑再開発計画は破たん。

本来ならば、計画前の状況に戻し、再開発計画を理由に閉館となった産文会館を再開させることが筋です。

しかし、幸山市長は、「熊本市がより主体性を発揮して(中略)新たな方向に基づき、整備を加速させたい」と述べ、

① 産文会館を解体し、花畑地区一帯を多目的広場(公園)へ。
② 
産文にあったホール機能は、民間企業が進める桜町(交通センターや県民百貨店がある地区)再開発計画に移す。
③ 産文にあったホールの床とともに
3000人規模の国際会議場建設のため、桜町再開発ビルの床を買い取る。
④ 交通センターが使えない間は、産文の跡地をバスのターミナルに。

という方向を示しました。

そして示されたイメージ図がコチラ。

右下が辛島公園。その上の広場が、産文会館などを解体して整備する公園です。
その左側のビルが並んでいる地域が桜町です。

これまで花畑再開発に4億円近い税金をつぎ込みながら、計画がダメになったら解体して公園にするという幸山市長。

こんな無責任な言い分は通用しません。


公園の計画については下図のとおり。①が産文、②③が民間ビル、④が民間駐車場

①~④までの敷地を公園にするという計画です。ちなみに、③と④は花畑再開発事業を推進してきた民間企業が保有しています。

公園にするために②と③の敷地を買い取り、④は民間企業が売りたくないからそのままということ。

あまりにもちぐはぐ…。

そもそも、産文会館の耐用年数はまだ十分ありますし、壊す必要はありません

また、公園にするとしても、②③を買い取るために多額の税金が必要となりますし、買い取ったとしても④の民間駐車場を残したままの公園はありえません。


一方、道を挟んだ交通センター側の桜町地区では、民間が進める再開発計画があり、熊本市もこの事業に参入。市は民間が建てたビルに3000人規模の国際会議場、2000㎡のイベントホールなどをつくるために、多額の税金を支出し床を買い取る計画です。

こちらが、県民百貨店や交通センターを解体した後にできる再開発のイメージ図。


桜町再開発計画総事業費500億円

大会議場と書いているビルに、市が予定している国際会議場やイベントホールが入る予定で、この床を民間業者から買うということになります。

かなりの負担が予想されますが、市の負担がいくらなのか明確な説明はありません。
おそらく100億円はゆうに超えると予想されます

また、3000人規模の国際会議場についても、どれほど利用されるかもわかりませんし、維持費も年間5億円程度かかることが予想されます。

市民会館や近隣のホテルを利用すれば2000人規模の会議には対応できるなか、大規模な国際会議場がほんとうに必要なのでしょうか?


マンション・ホテル・国際会議場など、大型のハコモノが中心となっている今回の再開発計画。

こんな大規模な再開発計画が、はたして市街地の賑わいにつながるのか?

来年3月議会には、産文会館の解体予算を提案するという幸山市長

市民への十分な説明もなく、住民合意もないまま大規模な再開発計画に突き進むことは許されません。

再開発に突き進む姿勢を冷静に見つめ直し、一度立ち止まる勇気と決断が今の熊本市に求められます。

私たち共産党は、産文会館の再開・利活用を求めるとともに、3000人規模の国際会議場などのハコモノ建設の中止を求めて、がんばりたいと思います。


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