このエントリーは1年前にブログで紹介したものです。
改めて大切なことだなぁと思い、投稿しました。
ネット上で、下記のような話を見つけました。
もちろんフィクションですが、読んでみてください。
ときは8月、黒海沿岸の町。
雨にぬれる小さな町は活気がなく、すっかり寂れていた。
人々は借金を抱えて苦しい生活をしているのだ。
その町へ、一人の旅人がやってきた。
そして町に一つしかないホテルに入ると、 受付のカウンターに100ユーロ紙幣を置き、部屋を選ぶために2階へ上がって行った。
ホテルの主人は100ユーロ紙幣をひっつかんで、借金返済のために肉屋へ走った。
肉屋は同じ紙幣を持って養豚業者へ走り、100ユーロの借金を返した。
養豚業者はその紙幣を握ると、つけにしてある餌代と燃料代を払うために販売業者に走った。
販売業者は100ユーロ紙幣を手にすると、この厳しいご時世にもかかわらず、つけでお相手をしてくれる町の遊女に返そうと彼女のもとに走った。
遊女は100ユーロ紙幣を懐にしてホテルに走り、たびたびカモを連れこんだホテルに借りていた部屋代を返済した。
ホテルの主人は、その100ユーロを受け取ると、紙幣をカウンターの元の位置に置いた。
ちょうどそのとき、部屋をチェックして2階から降りてきた旅人が、どの部屋も気に入らないと云って100ユーロ紙幣をポケットにしまいこみ、町を出て行った。
誰も稼いでないけど、町中の誰もが借金を返し終わり、町は活気を取り戻した。
閉塞感あふれる日本の経済。
若い方は雇用がなく、また中小業者の経営も厳しい状況が続いています。
まじめに働いていても、豊かな生活を送れないワーキングプアという社会現象はいまだ解決していません。
こうした状況を打開するためのキーワードは
「内部留保の活用」だと思うのです。
企業に蓄積された内部留保(貯め込み金)は、この間、増え続け266兆円となりました。
青い線は働く方々の給与の推移。ピンクの棒グラフは大企業が貯め込んだ内部留保です。
内部留保のうち、現金や預金などいつでも使える手元流動性資金は60兆円(内部留保は、すべてが現金化できるわけではなく、固定資産なども含む)。
大企業の内部に貯め込また内部留保を、いかに労働者や社会に還元させるのかが今問われています。
下の表をご覧ください。
例えば、トヨタ自動車では、内部留保の1%を取り崩すことにより、4万6210人の雇用を増やすことができます。
また、月1万円の賃上げに必要な取り崩し率は、0.47%です。
雇用が増え、賃金が増えるのならば、一体どうなるのか?
例えば、トヨタ自動車が内部留保の一部を労働者の給与に還元したとします。
当然、労働者は消費者でもあるわけですから、物を買う力が付けば、より商品を買うようになります。
物が売れるようになれば、どうなるのか?
消費が伸び、中小商店主は、利益が増え、所得が増えることになります。
当然モノを買う力がここでも付くことになりますし、納める税金も増えるでしょう。
国民の所得が伸び、購買力が高まればどうなるのか?
やがて、車なども購入することも可能になるでしょう。
車が売れれば、どうなるのか?
トヨタ自動車がもうかるじゃないですか!
つまりは、内部留保の活用は、大企業の損失となるわけではなく、
持続可能な経済成長につながり、企業自身にも好影響を及ぼします。
昨年のデータになりますが、労働運動総合研究所(労働総研)は、
「賃上げと雇用条件改善で超円高・デフレ不況の克服を―内部留保をわずか3・94%活用すれば可能」という春闘提言を発表しました。
上の表によれば、「正社員の賃金を月1万円引き上げること」「パートの賃金を時給100円上げること」「サービス残業の根絶など働くルールの厳守」により、税収は2兆円のびることが示されています。
つまりは、お金が一部の企業にとどまっている状態では、閉塞的な経済状況は改善できず、やがて先細り、経済はゆきづまってしまいます。
冒頭の話に戻りますが、ホテルのカウンターに置かれたお金。
現在の日本経済に舞台を移したとき、カウンターのお金はまさしく「大企業の内部留保」であると私は考えます。
内需拡大の経済に転換できるのか?
7月の参議院選挙は、こうした点も問われています。