熊本市議会議員なすまどか~まどかレポート

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熊本市議会議員 那須円(なす まどか)の活動日記

政治倫理審査のハードルをなぜ上げる?

2012年02月20日 | 熊本市政のおはなし

すみません、今日は、聞き慣れない「政治倫理審査(会)」についてのエントリーです。
でも、市民にとってはとても大切なことですのでご覧下さい。

今月16日、議会活性化特別委員会が開かれました。
そのなかで、「政治倫理審査条例」についての議論がありました。

「政治倫理審査会」というのは
政治家の倫理(口利き」や「汚職」など議員としてあるまじき行為があったとの疑惑があるときなど)を、市民の請求により調査を行い、とるべき対応などについて勧告などを行う審査会のことです。

熊本市では、1990年議員提案により、「政治倫理条例」が全会派一致で成立しました。

請求のためには有権者の一定の署名が必要で、現在は有権者の200分の1(2900人分)が必要となります。集める期間については定めがありません

これまで政治倫理審査は3度請求され、議員の「口利き」禁止などの政治倫理の確立に大きな役割を発揮しました。
第1回(2000年請求)…
下水道汚泥運搬、公園用地問題で村山義男議員に「辞任すべき」と勧告。

第2回(2001年請求)…用地買収問題で亀井省治議員に本会議での反省表明と「政治倫理の確立」の決意表明を勧告。
第3回(2004年請求)…職員の人事異動などの口利きに対して、市議9名に対して本会議で「深く反省の意を表明」など勧告。

ところが、この政治倫理審査について今どのような議論がなされているのかというと…                    




市民が集める署名を有権者の200分の1⇒50分の1に。
署名数でいうと、2900人分1万1700人分4倍集めなければならないような仕組みに変えられようとしています。
また、集める期間も「30日以内」と限定するものとなっています。

つまりは、審査請求のためのハードルを上げ、請求しにくくなることがその中身です。

私は、こうした市民の請求権を制限する「改悪」には、反対です

なぜ、このようなことになったのか?
議会活性化特別委員会の議論では、「200分の1の署名」には法的な根拠がなく、地方自治法の(※)直接請求の水準を根拠とし、有権者の50分の1、期間30日以内とするべき。
ということが理由としてだされました。

(※)直接請求は、直接、条例の制定や廃止などを請求することができますが、その反面、請求のためのハードルが高く、よほど大きな市民運動や世論の盛り上がりがない限り、請求条件をクリアすることは困難となります。熊本市の場合は、市立産院の存続を求める運動の際になされ、熊本市政史上ではその1回だけです。

3月議会に条例案が提案されるとのことですが、次のような点をはっきりさせる必要があります。

★ 必要署名数の法的根拠」が必要というが、「根拠がない」ことで何か問題があったのか?
★ 請求のハードルを上げることは、市民による市政・議会監視の機能を弱めることになるのではないか?
★ 審査会委員や市民の意見を聞かず、審査の対象となる議会側から請求権を制限する条例改定を提案することに市民理解が得られるのか?

以上の点などを、しっかりと議論する必要があります。


新聞報道では、「現在の署名数では審査請求が乱用される恐れがある」とのベテラン市議のコメントが掲載されています。

ちなみに下の表は、他都市の政治倫理審査の請求条件です。

福岡市は、50人の署名(有権者50分の1ではありませんよ!
で審査請求ができますが、だからといってこれが濫用されたことなどは一度もありません。

なぜ、この時期に、政治倫理審査の請求条件を躍起になって変えようとしているのか?
私には理解できませんが、この問題は、市民の参政権にかかわる重大な問題ですので、3月議会で大いに議論をしたいと思います。