Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

「外」からの変革 ~2020映画回顧4~

2020-12-05 00:45:49 | コラム
たとえばこれから制作される「現代を舞台にした」青春映画があったとして、登場人物たちが「マスクを着用していない」という設定だけで、

あぁ2020年より前の話なんだな、、、

あるいは、

ワクチンが開発されコロナショックが終焉を迎えた直後なのかもしれない、、、

とか、

いやいやそうではなく、コロナ禍のつづく「いま、ここ。」ではあるけれど、彼ら彼女らはそれに反旗を翻し、敢えてマスクをつけないことを選んだ反逆の若者たちなんだ! みたいに想像することだって出来る。


描きたいことのために「邪魔なものは省く」ことは映画表現にとって大事なことで、先人たちはそれらを「ノイズ」と呼んでいた。

では、新型コロナウィルスとはノイズなのか。

そうであってほしいが、そうじゃないよね。

ここまで日常に侵食し始めたら、もうノイズじゃない。
むしろ主役で、ここを避けて通るわけにはいかなくなってしまった。

現代を舞台にしたものだけじゃない、
未来を描いたSFにしたって、人類はコロナをどう克服したのかの説明が必要になるかもしれないし、
主人公たちに襲いかかる危機にしてみても、その程度のならコロナのほうが厳しかったよね、、、なんていわれるかもしれない。

はっきりと、有事なんだよなと。


サイレントからトーキーへ。
モンタージュの発明。
モノクロームからカラーへ。
フィルムからデジタルへ。

百数十年の歴史のなかで映画は「中」からの変革を何度か経験してきたが、じつは「外」からの変革はあまりない。

まったくないことはないが、人間関係の描きかたが「まるで変ってしまう」ような変革期はなかった。


満員になるはずだった『AKIRA IMAX』を観て、そんな風に思った。

ホアキンのオスカー受賞を「ほぼすべての映画ファン」が祝福したあの晩から、まるで何年も経過したような錯覚を覚えた。


その錯覚に輪をかけたのが、新作映画公開中止による「シネコンの名画座化」だった。

10スクリーンすべてが、過去の作品―それはそれでうれしいことだけれども、強烈な違和感があった。


年末になって『鬼滅の刃』が日本中を席捲、
これが映画館デビューとなる子どもたちも多かったことだろう、


ガキのころの映画体験は鮮烈なものだし、これで映画ファンになってくれればいいなぁ、、、と思う。


映画を取り巻く環境について、これほど一喜一憂した年は記憶にない。

得難い経験だとは思うが、正直にいえば、もう2度と味わいたくないけどね。。。





~2020発表映画、個人的13選~

第01位『異端の鳥』
第02位『はちどり』
第03位『スパイの妻』
第04位『37セカンズ』
第05位『のぼる小寺さん』
第06位『パラサイト 半地下の家族』
第07位『音楽』
第08位『ジョジョ・ラビット』
第09位『ミッドナイトスワン』
第10位『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』
第11位『アルプススタンドのはしの方』
第12位『AKIRA IMAX』
第13位『マリッジ・ストーリー』

…………………………………………

明日のコラムは・・・

『ヘトヘトでカウントダウン』
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする