人生日訓(532)
「行先むかひばかり見て足許を見ねばふみかぶるべきなり」
この対照は面白い。確かに、今日でも、この広い世間には大きく分
けて、この二つの型がある。先ばかり、他人のことばかり、気にし
ているのがあるかと思うと、足許ばかり、自分のことばかりになっ
ている第二種がある。私はこの二つの型で、どちらにもいいところ
は分かるが、その中間を行くところに処世の妙味があるのではなか
ろうか。仏教はやはり、その特色の「中道」をとると思う。どっち
つかずというのではなく、その型のいいところを止揚して行くこと
だと思う。
歳時記
勤労感謝の日
勤労を尊び、生産を祝い、国民が互いに感謝し合う日。
1948年に制定されました。終戦までは新嘗祭(にいなめさい)の日。
アメリカの感謝祭(サンクス・ギビング・デー)に相当するものと
されていますが、戦後廃止された新嘗祭を「勤労感謝の日」に改め
うのでしょう。
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11月に実の成っている果樹「柿」
秋の果物。 甘柿(富有、次郎、 江戸一、御所等)、 渋柿(西条、平核無等) がある。 実の表面に黒い斑点が ポツポツあるものは どちらかというと 「甘い」そうだ。 ・・春の若葉は とてもすばらしい色で、 よく目立つ。 ・葉は”柿の葉のお茶” としても使われる。 ・花はあまり目立たない。 5月頃に咲く。 花は終わりかけになると ボトボトッと 音をたてて地面にどんどん落ちる。 その場に居合わせると壮観。 時期はだいたい 5月下旬から6月初め頃。 梅雨の前。 「柿花落」は その頃の季語だったと思う。 この、花が落っこちてくるようすは 青桐の花も同じ。 ・秋に紅葉する「赤」い葉と 「黄」色の実から、 「赤黄」→ 「あかき」 → 「かき」になった、 という説がある(名前の由来)。 ・「桃(もも) 栗(くり) 3年、 柿(かき) 8年、 梅(うめ)は酸い酸い13年、 柚子(ゆず)は大馬鹿18年、 林檎(りんご)ニコニコ25年」。 実を結ぶ時期のこと。 何事も、時期が来なくてはできない、 というたとえ。 ただし柿は鉢作りなら 3~4年くらいで結実するらしい。 ・英語では 「パーシモン(persimmon)」。 ゴルフのクラブの ヘッドの材料として 柿の木が使われた時期があった。 (パーシモンヘッド)。 柿の木の前には 「ブナの木」が使われていた。 ・劇場が新築されてから 初めて行われる劇のことを 「柿落とし(こけらおとし)」 という。 この場合の「柿」の字は、 右側の「市」の部分の縦棒が 上から下まで突き抜けている字で、 「こけら」と読み、 「材木のけずりくず」などを 意味する。 新築、改築工事の最後に 足組みなどの 柿(こけら: 材木のけずりくず)を 払い落としたところから。 ・薬効 しゃっくり、げっぷ ・薬用部位 実の「へた」の部分 ・生薬名 「柿蔕(してい)」 ・薬効 止血、やけど ・薬用部位 実の「渋(しぶ)」 ・生薬名 「柿漆(ししつ)」 ・薬効 消化器官の潰瘍出血、 のどの炎症 ・薬用部位 葉 ・生薬名 「柿葉(しよう)」 ・その他の呼び名 柿餅(しぺい)= 干し柿 柿霜(しそう) = 干し柿に吹いた白い粉 ・「柿食へば 鐘が鳴るなり 法隆寺」 正岡子規 「柿食ふや 遠くかなしき 母の顔」 石田波郷 「おりたちて 今朝の寒さを 驚きぬ 露しとしとと 柿の落葉深く」 伊藤左千夫
(季節の花300より)