工作台の休日

模型のこと、乗り物のこと、ときどきほかのことも。

茶色い客車の工作 つづき

2019年08月11日 | 鉄道・鉄道模型
 前回はオロ61の話を書きましたが、同時進行で製作した車輛や塗装した車輛を紹介します。
 
 昨年、カトーがマイ38を再生産しました。この製品、いわゆる「青大将」塗装と言われる淡緑色の車体に銀色の屋根といういでたちです。私も青大将仕様で既に持っています。実車はもともと皇室用客車を経て一等座席車となった車輛で、時期は短かったようですが茶色に塗られていた頃に「つばめ」号などに組み込まれていたこともあったようです。ということでこの製品を塗り替えてみることにしました。モデラー諸兄もこういった塗り替えを楽しまれていると思いますが、遅まきながら私もやってみたわけです。
 車体と下回りは簡単に外せます。窓ガラスも外します。屋根と車体については慎重に屋根をずらしながら外さないと、固定しているツメが折れてしまうので要注意です。
 屋根、車体とも1000番のサーフェーサーを吹き付けます。乾いた後、車体の帯から塗装していきます。この時代の一等車の帯色はクリーム色ということですが、私はMr.カラー316番ホワイトFS17875を使いました。アメリカ軍機の下面色でおなじみの色ですが、純白ではない白い色にしたかったので、この色にしました。1ミリ幅のマスキングテープで帯の部分をマスキングして、車体の塗装に移ります。
 車体色はこの時代ではぶどう色1号となりますが、カトーの「つばめ」号はぶどう色2号に近い色をしています。したがってこの作例でもGMカラーのぶどう色2号を吹き付けました。
 屋根はねずみ色1号にしました。もう少し暗い色でもいいのですが、「普段は遣われないけど今日は増結されています」感を出すために、他の車輛とは違う色にしました。
 屋根、車体を組み、下回りをつけ、インレタを貼って完成です。やはり右側の「つばめ」の展望車の方が帯の色がクリーム色ですね。これで今日から外国人の団体客が私の鉄道にやってきても対応できそうです。


 もう1輛ですが、こんな客車です。

 GMのオハ61ですが、車端部の窓が二枚ふさがれています。このオハ61、歴史に埋もれたある話にヒントを得たフリーランスの車輛です。
 昭和25年、新規参入のプロ野球の球団として国鉄スワローズ(現在の東京ヤクルトスワローズ)が誕生しました。その際に既存の球団からこんな要望が出されました。選手たちは三等の座席車に押し込められて移動、遠征をしており、窮屈な思いをしている。国鉄が参入するのであればせめて畳敷きの車輛を作ってもらって、移動を楽にできないだろうか、という要望でした。
 現在、プロ野球の選手が鉄道で移動する際はグリーン車を使っており、私も駅などでそういう場面を何度か目撃しています。しかし、昭和20年代においては職業野球の選手たちは固い座席の三等車で足を伸ばすこともできず、長時間移動していたわけですから、疲労も相当なものだったでしょう。現代のアメリカでマイナーリーグの選手たちがバスで長距離移動するのと同じような感覚でしょうね。
 結局この要望はかなえられることはありませんでした。鉄道も復興途上で輸送力の確保・増強が優先され、職業野球の選手だけが特別扱い、ということはできなかったようです。
 もし、選手の移動用に畳敷きの客車が誕生していたらどうだったでしょうか。新形式として何かを作るということはなかったでしょうから、戦後、大量に生産されたオハ61あたりの何輛かが割り当てられたのでは、と想像します。通路は片方の窓側に寄せてしまい、あとは畳敷きとし、荷物を積めるスペースも確保すれば十分だったでしょう。他の旅客から見えないように通路と畳敷きの部分をカーテンで仕切ったかもしれません。台車はTR23を履かせてみました。塗装や意匠で特別扱いもできないので、ぶどう色2号で塗り(本来ならぶどう色1号でしょうが、我が家の茶色い客車の大半がぶどう色2号なので)、インレタでナンバーを入れて完成です。座席車というよりは用途も限られ、事業用車のような感覚ですので、形式も「オハ」で良かったのかはなんとも、というところです。

(「事業用だったらオヤという形式になったのかなあ」「でも使うのは国鉄だけじゃないからやっぱりオハでしょう」)

 かくして、茶色い客車とおつきあいした日々が過ぎました。

 出来上がった車輛を前に感慨にふけっているわけにもいきません。現在、仕掛中のものもありますし、今週は「国際鉄道模型コンベンション」も開催されます。8月は暑いなどと言って休んではいられないです。

 

 
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