工作台の休日

模型のこと、乗り物のこと、ときどきほかのことも。

ゴールデンウイーク、旅に思いをめぐらせて~ホテルのバー~

2022年04月30日 | 日記
 ゴールデンウイークが始まりました。今年は諸々の規制が緩和され、久しぶりに遠出をされている方もいらっしゃると聞いています。私は暦通りなので途中の平日も出勤です。今年は久しぶりにリアル開催となったイタリア映画祭に出かけました。この後もいくつか作品を観るつもりですが、29日に見た「笑いの王」という作品は、20世紀初頭に活躍した実在のナポリの喜劇俳優を描いた作品で、ナポリ方言ばかりのセリフで私は字幕に頼りっぱなしでしたが、劇中描かれる喜劇のシーンなど、イタリア人にとってはおなじみなのかもしれません。イタリア映画では特に実在の人物を描くと作り手の気合も相当入っている感じがいたしまして、学芸会程度の演劇の経験しかない私ですが、こういう現場って作る側も演じる側も真剣勝負で濃密な時間が流れてそうだなと思いました。
 久しぶりのイタリア映画と言うこともあって、流れるイタリア語を聴くうちに海外にまた行きたいなあという思いが強くなっています(国内も含めて泊りがけの遠出も元年の日本GP以来ありません)。海外でホテルに滞在しますと、そのホテルにバーがあると夜はよく利用しています。ちょっとしたお酒が飲めたり、コーヒーを飲んだりとか、一人旅のときは特にそうですが部屋にずっといるより退屈しないし、やはり誰かとおしゃべりしたいとか、そういうのもあります。バーテンさんと仲良くなって現地の情報を教えてもらうということもあります。
 イタリアのホテルでは行くたびに思い出があり、彼の地のホテルではバーテンさんは1年契約のような形で雇われているようで、次の年は系列の別のホテル、あるいは別の街のホテルで、という感じで働いているようでした。ある年はエチオピアからやってきた女性がカウンターの向こうにいて、日本から来たと言うと「日本からイタリアってどれくらいかかるの?」、「12時間、乗り継ぎとか入れるともっとだね」、「遠いわね」、「そう、遠いよね」とイタリア以外の出身地の二人が異国の地で交差していて面白いね、という話になりました。別の時はフィリピンの女性もいてそのスタッフが別のホテルにいたときの話が興味深かったです。あるホテルに日本人の夫婦が滞在していて、滞在中にとても仲良くなったそうなのですが「今度私が日本に行く機会があったら、ぜひ案内してね」と言ったところ、彼らはとても困った顔で「No,Thank you」と言ったそうで、なぜ彼らがあんな困った顔をしていたのか分からないと言ったので「おそらくあなたがフィリピンから一族全員連れてくると思ったんじゃないかな」と言うと、彼女も大笑いしていました。笑い話だけではなく、エジプト人の男性スタッフは「エジプトにいても仕事はないからね。ここで働くしかないんだよ」と一瞬寂しげな顔を見せたことも印象的でした。
 イタリア語を本格的に学ぶ前は拙い英語でホテルの方とやりとりをしていましたが、ミラノのホテルでは遠回しに「お前の英語は下手だ」と言われて大いに凹んだこともありました。もちろん、お客さん同士で仲良くなって話をすることもあって、どれも旅の大切な思い出になっています。ヴェネツィアのホテルで出会ったアメリカ人女性とは、彼女が日本に出張に来た際に東京を一日案内したこともあり、彼女が結婚した際にはお祝いのメッセージを送らせていただいたことは言うまでもありません。
 ジェノバのホテルのバーはとても大きく立派でしたが、私以外のお客がみんな航空会社のスタッフで、いくつかの会社のスタッフ同士が情報交換をしているようでした。こうなると少々疎外感を感じてしまうもので、隅っこでカンパリソーダをあおって、おやすみなさいと言うしかありません。ナイトスポットが他に無いのか、老若男女集まってうるさいほどだったウィーンとか、サッカーのチャンピオンズリーグを放映していて、地元チェルシーが出場し、スポーツバー状態だったロンドン(だだしお客さんはみなおとなしかったけど)も印象的です。スタッフの賄い用に作っているカクテルを特別に出してくれたフィレンツェでは、日本酒とキウイフルーツとミドリ(メロンリキュール)で作るカクテルというのを教えてもらいました。
 マルタ島のバレッタにあるクラシックなホテルではバーに入るのもドレスコードが一応あって「スマートカジュアルで」とありました。Tシャツに短パンはだめよ、ということでしょう。私は襟のついた半そでシャツとチノパンツで入店できました。ドレスコードを求めるだけのバーで、美しいチーク材か何かの立派なカウンターで、とても静かなバーでした。遠くから流れてくるフラメンコギターの音をBGMに、旅の日記をつけたりしていました。
 かなり強烈な印象なのは上海の某ホテルで、バーがあると聞いて行ってみるとカクテルは作れないと言われ、あるのはウイスキーかワインかビールだけと言われました。以前泊った別の外資系ホテルとはえらい違いです。それもそのはず、お客さんはみな現地駐在の日本人で、バーというよりは場末のスナックの感があります。流ちょうな日本語を話す若い現地女性が切り盛りしていましたが、スナックのママさんに見えてしまいました。出張で訪れた日本人が利用するのが珍しいのか、駐在員さんからいろいろ聞かれたりもしました。
 つらつら書いてまいりましたが、今日はこのあたりで。カンパリソーダを自分で作って、せめて旅先の気分でも味わうとしましょう。
 

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ロータス・スーパーセブンを作る この色を使ってみたくて

2022年04月28日 | 自動車、モータースポーツ
 前回のブログでスーパーセブンを作った話を書きましたが、今回はクラブマン仕様のスーパーセブンです。もう一台作ったというのは理由がありまして、ある色を試してみたかったからなのです。
 その色はMr.カラー322番フタロシアニンブルーで、もともとT-2ブルーインパルスのための色です。1980年代にMr.カラーが300番台の色として主に航空機用の特色を相次いでリリースしました。米軍の迷彩色等をはじめとして今でもお世話になっていますが、自衛隊機も当時主力だったF-1戦闘機の迷彩色と共に、T-2ブルーインパルスのダークブルーとスカイブルーが発売されました。T-2ブルーはデビュー年にキットも出ており、当初は既存の色から調色するように指示があったように思いますが、ほどなくして専用色が出たことになります。
 この色ですが、他のブルー色に無い色合いなので、T-2ブルーインパルス以外に使い道がないかと思っていました。イギリスのレーシングカーや一部の乗用車などでこういう色があったなあということで、スーパーセブンに塗ってみることにしました。イメージ的にはかつてロータスのプライベーターとしてF1でも勝利を挙げたロブ・ウォーカーチームの紺色と白の組み合わせをねらってみました。

リア側からの写真です。

Mr.カラーのダークブルーと言うと、328番のFS15050(ブルーエンジェルスのダークブルー)、326番のFS15044(サンダーバーズの下面色)などがあり、現在の5番(ブルー)のような「紺色」もあります。こうしてみますと、322番・フタロシアニンブルーもなかなか似合うと思いますが、いかがでしょうか。なお、この色ですが、下地を隠す力が弱いため、白いサーフェーサーを吹き、1000番のペーパーで磨いた後で丁寧に塗り重ねるようにしました。下地の色次第では変わってくる色ですので、それをあえて楽しむというのもできそうです。
今回も細かなディティールに凝ることはしていませんが、それでもいろいろ手を加えてみました。車体後部のスペアタイヤを収めるスペースはこの仕様ですとタイヤを載せないため、タイヤを取り付けるための1ミリ程度の穴も開いたままになります。ここは別途手持ちのプラパーツを金色に塗って取り付けました。また、ロードカー仕様の窓枠を差し込む際の突起をそのままにしていたので、こちらも突起を隠すように丸いパーツをつけています。内装の赤味がかった色は緑色のスーパーセブンの時とは異なり、Mr.カラー114番のRLM23レッドです。これはドイツ機ではおなじみの色で、ややくすんだ赤になります。

ドライバーですが、キットには入っておりません。こちらは胴体から下をハセガワ1/24のフォーミュラドライバーセットから、頭部はフジミ1/24のドライバーのセットに入っているヘッドパーツから持ってきました。ヘルメットにはタータンチェックの柄が入っています。これはクリアーデカールに描いた模様を切り出して貼ってあります。

フォーミュラカー用の小径のステアリングを握ることが前提のキットのため、スーパーセブンのステアリングですと、10時10分ならぬ11時5分のあたりを握っています。レーシングスーツの色はMr.カラー20番ライトブルーで、こちらはかつてドイツ機の下面色として出ていたものです。考証が進んだ近年では100番台で各種ライトブルーが発売されていますので、出番がなくなってしまった色でもあります。軍用機チックなくすんだ色調ではないため、こうしたレーシングスーツの色などでも使えそうです。カーナンバー(ゼッケン)はキットから、車体、ドライバーのスポンサーマーク、リアのナンバープレートの文字、数字は手持ちのデカールです。

なお、両方のスーパーセブンですが、ドライバーの足元はアクセント的に曲面追従シートの「シルバーカーボンフィニッシュ」を貼っています。
 スーパーセブンというと、現在生産、販売されているケーターハムの方になりますが、こんな思い出もあります。2009年のF1日本GPでのこと、最終コーナーのスタンド裏あたりに、横浜(だったと思う)のイギリスパブが屋台を出していました。屋台で英国GPが行われるシルバーストーンの地ビールでのどを潤していたところ、隣の白人男性も同じものを実においしそうに飲んでいました。傍らにはスーパーセブンが止めてあります。聞けば朝、関東を発って一人で鈴鹿まで運転してきたとの由。仕事の後の一杯だったようです。スーパーセブンは決勝の前に行われるドライバーズパレードに使うんだ、とも言っていました。シートにはなぜか白いヘルメットと白いレーシングスーツが置いてあり、思わず「スティグ(イギリスBBCの人気番組・トップギアに出演する覆面ドライバー)」みたいだね」と言うと「スティグを知っているのか」と盛り上がりました。トップギアは後にBSフジなどで放送されるようになり、一般にも知られるようになりましたが、2009年当時はCS放送等でしか見られなかった知る人ぞ知る番組で、私も「チャンネル銀河」で偶然観てファンになりました。このドライバー氏、トップギアがときどき日本をテーマにした番組を作っていた際にも関わっていたようでした。そうそう、F1階催時のサーキットのビールも今はハイネケン一択なので、こうした珍しいものを飲むのは難しそうです。
 しめくくりにこんな写真をご紹介します。愛車でちょっと近所の桜の名所までということで散歩してみました、というのがこちら。

背景の写真はRMモデルズ誌恒例の背景写真用の付録を使ったものです。慣れない桜の押し花よりも季節感が出せそうです。
桜並木の道を疾走しているものもあります。


 さて、本キットを仕上げている途中に近所の街道を赤いスーパーセブンが走っていくのを見かけました。いろいろと苦労したキットであることを忘れ、今度は赤で作ってみようかな、などと思ってしまいました。こうして「積みプラモ」が増えてしまうわけですが・・・。やはり自分にとってはそれだけ魅力ある自動車であるのと、これまで何台も作ったミニクーパーをはじめ、私もイギリス車が好きだなあと気づかされました。








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この季節に、こんなことをしています

2022年04月19日 | 日記
 東京は桜の季節も過ぎ、暑くなったり一気に冷え込んだりといった天気が続いています。春ではありますがコロナ禍で遠出もままなりませんし、本業は忙しいし、花粉症が昔と違って4月になってからの方が症状が悪化しています。
 出だしからネガティブなことばかりですが、それでもこんなことをして楽しんでいますというのが今日のテーマです。
 水ぬるむ季節ということもあり、屋根のない開放感のある自動車の模型を作りたいなあということで、棚にあったものを引っ張り出して作ってみました。タミヤ1/24のロータス・スーパーセブンです。

 キットをストレートに組んだだけですので、特別なことはしていません。1980年代にリリースされたキットではありますが、近年金属パーツなどがセットされて再販されまして、私も再販に喜んだ一人です。実車の紹介についてはあちこちでされていますのでここでは記しませんが、10代の頃タミヤのカタログでこの車を知ったときに「こういう車で遊べる大人っていいなあ」と大人がスポーツカーで遊ぶという世界にあこがれを感じました。自動車に関してはペーパードライバーですので、こういう車で遊ぶ、ということはできずにおりますが、模型の世界で再現すべく作ってみたわけです。

 実物が癖の強い車だからでしょうか、キットの方も少々癖が強いです。いわゆる「ハコ車」ではありませんし、かと言ってフォーミュラカーでもなく、ということで、組み立ての方も慎重に進めていきました。実物の組み立てをしている感覚を味わえるように、という設計かとは思いますし、ほほう、ここがこうつながっているのね、とエンジンルームについては実車の構造もよく分かるのですが、おそらく今(2022年)、このキットが世に出たらもっと一体成型の箇所を増やしたり、組み立てやすさを主眼に置くような作りになっていたかと思います。模型誌でも指摘がありましたが、ボンネットとスカットル(フロントガラス、メーターなどがある部分)に隙間ができますので、気になる方はボンネットにプラ板などを貼って隙間ができないようにしてください。なお、今回は完全に素組みで、エンジンルーム内のパイピング等もしておりません。シートベルトはエッチングの金具とシールを組み合わせて作るようになっていますが、私の腕が未熟なため、上手くできていません。シールだとバックルに通したりするときに思わぬところにくっついてしまい(私の腕が伴わないだけですが)、どちらにしても透明ゴム系接着剤でシートなどに固着しますので、わざわざシールでなくとも・・・と思ってしまいました。また、シールを切り出した断面は白くなりますので、ベルトと同じ色に塗ってあげると目立たなくなります。
 内装の赤茶色はキットの指示をMr.カラーに置きかえ、艦艇色と赤色を混ぜたものです。単体で見ると「本当にこんな色なのかな」と思いましたが、ボディカラーとしっくり合っているように思います。
 ボディカラーはMr.カラー6番の緑色に「色の源」シアンを混ぜて、ブリティッシュグリーンを作っています。写真ではあまり分かりませんが、青みが少し強かったかなと思っています。

リアの「BP」のマークのみ、キットのオリジナルではなく、他のキットから連れてきたものです。
 キットを作っていた時期がちょうど桜の季節で、近くの桜並木を散歩していたら、花が一輪路上に落ちていました。鳥がついばもうとしたのか、風で落ちてしまったのかは分かりませんが、この桜の花を使って押し花を作ってみようと思いました。紙でくるんで厚い本に2週間挟んで完成しましたが、台紙に貼り付けるのが難しく、花びらをバランスよく広げて糊付けというのがなかなかうまくいきませんでした。一枚目の写真の右下に少し写っていますが、人様に見ていただけるようなものにはなりませんでした。押し花は初めて作ったのではないかと思いますが、難しさも知った経験となりました。
 スーパーセブンについてはこのロードカータイプだけではなく、クラブマン仕様も作っていますので、こちらは次回載せたいと思います。
 さて、オープンタイプの自動車に桜の押し花と書きましたが、この季節ならではでこんなものを作って食べました。

あさりを使ったヴォンゴレの要領で、あさりの代わりにボイルしたホタルイカを使ったパスタ料理を作りました。旬のホタルイカをボイルしたものが売られていて、これで何かできないかなあと思って考え付いた一品です。なお、ホタルイカは目を取るなどの下ごしらえをしています。生トマトをざく切りにして軽く煮込みました。見た目は少々変わっておりますが、ホタルイカの味が染みて美味しい一皿となりました。


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明治の遺産はこんなところにも・・・西武新宿線下落合駅

2022年04月10日 | 鉄道・鉄道模型
 このところの東京は暖かいを通り越して暑いくらいの天気になっていますね。今日は午前中に豚児を連れて西武新宿線を散歩しておりました。 高田馬場駅の一つ隣、下落合駅にはこのブログでときどきご紹介している古いレールが柱として使われています。所沢、本川越方面のホームにはこんなレールがあります。

BARROW STEEL Sec166 1894 N.T.K と刻印があります。これはイギリスのバーロウというメーカーのレールで1894(明治27)年製、日本鉄道向けのものと思われます。明治27年と言ってもピンとこないかもしれませんが、日清戦争の頃と言えばお分かりいただけるでしょうか。世界史だとドレフュス事件が起きたのもこの年です。日本では内閣制度、議会制度が始まり、旧憲法下での憲政がその歩みを始めた頃です。
バーロウからもう一つ

こちらも1894年製ではありますが、発注者をN.T.Kとすべきところ、Kの文字がキリル文字のようになっています(画像は180度回転)。
おなじみアメリカのカーネギーが「抱き合わせ」となっているのがこちら。

CARNEGIE 1905 ET IIIIII (逆さで見づらいですが)1905年6月製とあります。
イギリスからはもう一つ

BV & Co LD 1902 I .J. R (90度反転、OとDは小文字)
こちらはボルコウ・ボーンというメーカーのレールで、1902(明治35)年製、発注者は鉄道作業局(国有鉄道)です。
上屋を支えているレールにもありました(180度反転)。

このレールが「現役」だった時代を駆けたのは今私たちが「古典機」と呼ぶ蒸気機関車たちでした。機関車をはじめ車輌たちにしばし思いをはせるのでありました。
 西武新宿線は2000系の2007F編成の引退が近いということでファンの姿も見かけております。私も写真を撮りました。



ターミナル駅の一つ隣に、こんな珍しいものもありますので、撮影のついでに覗いてみてはいかがでしょうか。日本の鉄道の歴史を再発見できるものが、沿線にはいくつもあります。
 さて、散歩から戻った午後はスポーツ中継で興奮しておりました。千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希投手が記録ずくめの完全試合を達成しましたね。同時刻に始まったF1の豪州GPの様子も気にしながら試合のCS放送を観ておりましたが、F1がチェッカーとなってからはちょうど野球の方が終盤ということで、ドキドキしながら大記録達成を見届けました。F1の方もフェラーリ復調でなかなか面白いシーズンとなっています。


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ちいさな翼をちいさなスケールで

2022年04月03日 | 飛行機・飛行機の模型
 1/144などの小スケールの飛行機模型を先日から何度か紹介しましたが、今日はF-5E戦闘機の話です。F-5Eは軽量小型の戦闘機であり、その前世代の機体に当たるF-5A/Bなどのスタイルを踏襲しています。開発されたアメリカ本国ではアグレッサー(仮想敵)機として、韓国などの同盟国でも採用されたほか、中立国のスイスでも導入されています。
 F-5Eは「タイガーⅡ」というニックネームもついており、スマートなスタイルもあっていつか作ってみたいと思っていました。しかも、後述するある架空の仕様としてです。特に架空の機体にする場合や、強い思い入れはないけど立体で他の機体と比べてみたい、という場合には1/144のキットを組むことがあり、ドイツレベルのキットを組んでみました。ドイツレベルの1/144のキットは1990年代以降質の高いものが多くリリースされており、F-5Eもその一つです。年明けのある日、F-5Eのストックを取り出したのは、今年が寅年という単純な理由もあるのですが・・・。
 繊細なモールドのキットで、特に気を付けるところはありませんが、強いて言えば水平尾翼に変な角度がつかないようにするのと、前脚を収めるパーツはしっかり接着しておき、あとで不安定にならないようにしておくことくらいでしょうか。
 塗装とマーキングですが、完全に架空のものでして、航空自衛隊の飛行教導隊(現・飛行教導群)のものとしました。

(1986(昭和61)年、百里基地にて)

(1990(平成2)年、サウジアラビア、ダーラン基地にて)
グレー濃淡の方は、FS36320(Mr.カラー307)とFS36118(Mr.カラー305)の組み合わせとし、訓練用のサイドワインダーを携行して百里基地に巡回指導に来た時の姿、という設定です(どこの基地でも構いませんが)。


効果のほどは不明ですが、欺瞞キャノピーを描いています。
もう片方の「砂漠迷彩」風の塗装ですが、黄土色(Mr.カラー321・F1戦闘機の迷彩色)、FS30219(Mr.カラー310)で上面を塗り、下面はFS26440(Mr.カラー325)で塗り分けました。こちらは湾岸危機時に哨戒および、中東に派遣される機体のエスコート任務として派遣されたという設定で、この日はイギリス・ホーンビーシャーのハモンド空軍基地から派遣されたTSR-2攻撃機を護衛、誘導するのが任務でした、ということでサイドワインダーとマーベリックを携行しています。

いずれの機体も日の丸が目立ちますので、デカールを貼ってから薄めたグレーをオーバースプレーしています。

現実には飛行教導隊ができたとき、初代の使用機はT-2であり、平成に入ってからF-15DJに代わり、現在に続いています。F-5Eの入り込む余地があったかと言えば疑問ではありますが、航空自衛隊では米国に隊員を派遣して「F-5ファミリー」であるT-38による乗員養成を行うなど、なじみが無いとは言えないこと、近接での戦闘を意識した「軽戦闘機」を必要な場所に配備するという考え方に沿ってF-5Eを一定数(30機程度)導入し、余剰分をアグレッサーとして使った・・・というのはどうでしょうか。T-2(とその戦闘機版のF-1)では敵役をするには小回りが利かないなど少々荷が重いとなって、より格闘戦向きのF-5が選ばれた、という設定を考えました。実際に過去には近接戦闘のためにハリアーの導入なども研究されたくらいですから、F-5Eも俎上に上っていたかもしれません。架空で何か考えたり、設定するのは楽しいのですが、突拍子もないIFではつまらないので、現実味がありそうな設定を考えてあげる必要があります。現実には湾岸危機~湾岸戦争ではお金だけ出した、と言われたわけですが「戦闘には参加しないが、できる形で多国籍軍を側面支援する」という内容で哨戒・護衛任務についたり、訓練の相手をしたりといったことをしたら・・・ということを考えてみました。ちなみにTSR-2(こちらも量産されることはありませんでした)のホームであるホーンビーシャー・ハモンド空軍基地も実在しません。念のため。
 今回、こちらのキットを組んでいたのは1月のことでしたが、1月に飛行教導群のF-15DJが事故に遭い、パイロットお二人が亡くなるという大変な残念な出来事がありました。お二人のご冥福を心からお祈りいたします。キットの製作も塗装まで進んでいましたがこの事故のこともあって少しお休みしていました。
 素性の良いキットで、十分に細密でしたので、丁寧に作らないと私のように雑な仕上がりになってしまいますが、40周年を迎えた「アグレッサー」部隊の象徴コブラのマークは垂直尾翼に映えております。大きさも他の機体に比べて小さいので、1/72でも組んでみたいと思いました。


 






 





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