きょうは自動車の本の話です。
横山剣著「僕の好きな車」(立東舎)を読みました。昨秋出版されている本ですので、だいぶ経っていますが、本日ご紹介する次第です。
著者はクレイジーケンバンドのリーダー、ボーカルとして活躍されており、ご存知の方も多いでしょう。また、大の自動車好きとしても知られ、楽曲のタイトルや歌詞に自動車がよく出てきます。そのような車と音楽の関係もあって、一昨年のF1日本グランプリでは、国歌斉唱の大役も務められています。
本書は雑誌「POPEYE」の連載をまとめたもので、各章1車種ずつ、合計71の「好きな車」について、あべあつし氏の美しいイラストともに紹介されています。
本書に紹介されているのはほとんどが乗用車で、著者が子供の頃に憧れた車から、実際にハンドルを握った車も含めて登場します。私も図鑑で見たり、ミニカーを持っていたり、中には助手席に座ったことがある車種もありました。いわゆる傑作と呼ばれた車だけでなく、著者が「ダメ車」と呼ぶさまざまな理由で成功しなかった車種や、博物館に収蔵されているレアな車まで、愛情をもって書いているあたりに、著者の自動車への深い愛情を感じ取ることができます。これから自動車の主流となるであろう電気自動車についても、エンジンの占めるスペースの制約がなくなった分、デザインが自由になるので楽しみ、と言われているあたり、本当に自動車が好きなんだなと思わせます。
また、こうした自動車をめぐる話の中に、自身の生い立ちやミュージシャン仲間との交流も描かれ、時にはほろ苦い思い出も出てくるあたりも、長年自動車とつきあってきた著者ならではでしょう。
ミュージシャンらしく、それぞれの車について、こういう風景で、こういう音楽を聴きながら走ってみたい、という記述もあり、キット化されている自動車なら、モデラーの皆様の中には自分も模型で試してみようか、となるのではと思います。
著者は本当ならトラックなどの商用車も紹介したかった、と言われています。きっと著者が語ったら、また面白いものになるのでは、とどこかでそういった本が出ることを期待しています。そして、鉄道に対する造詣が深いというのも著者を語るうえで忘れてはいけません。横浜市電を歌った「路面電車」や「夜のヴィブラートKQ仕様」なんていう鉄道ネタの曲もあります。私などは鉄道関連の文章を読んでみたいなあと、とも思うのです。
こうしたエッセイというのは、静かな音楽が流れる喫茶店で、コーヒーでもすすりながら読むのがお似合いです。そんなときに本書に出てくる自動車が窓の外を走っていたら、思わず「ィイネ」と言ってみたくなります。久しぶりに大好きな喫茶店に本書を持って出かけてみましょうか。
本書の各章の見出しを借りれば、私の好きな東急8000系は「15歳の春、銀色に輝く車体に偉大な平凡の持つ素晴らしさを知った」ということに、新幹線の500系なら「28歳の夏、線路の上を疾走するレーシングカーに出会った」となるのでしょう。自動車が好きという方以外にも、乗り物への深い愛情を理解されている方に、ぜひ読んでいただきたい本です。
横山剣著「僕の好きな車」(立東舎)を読みました。昨秋出版されている本ですので、だいぶ経っていますが、本日ご紹介する次第です。
著者はクレイジーケンバンドのリーダー、ボーカルとして活躍されており、ご存知の方も多いでしょう。また、大の自動車好きとしても知られ、楽曲のタイトルや歌詞に自動車がよく出てきます。そのような車と音楽の関係もあって、一昨年のF1日本グランプリでは、国歌斉唱の大役も務められています。
本書は雑誌「POPEYE」の連載をまとめたもので、各章1車種ずつ、合計71の「好きな車」について、あべあつし氏の美しいイラストともに紹介されています。
本書に紹介されているのはほとんどが乗用車で、著者が子供の頃に憧れた車から、実際にハンドルを握った車も含めて登場します。私も図鑑で見たり、ミニカーを持っていたり、中には助手席に座ったことがある車種もありました。いわゆる傑作と呼ばれた車だけでなく、著者が「ダメ車」と呼ぶさまざまな理由で成功しなかった車種や、博物館に収蔵されているレアな車まで、愛情をもって書いているあたりに、著者の自動車への深い愛情を感じ取ることができます。これから自動車の主流となるであろう電気自動車についても、エンジンの占めるスペースの制約がなくなった分、デザインが自由になるので楽しみ、と言われているあたり、本当に自動車が好きなんだなと思わせます。
また、こうした自動車をめぐる話の中に、自身の生い立ちやミュージシャン仲間との交流も描かれ、時にはほろ苦い思い出も出てくるあたりも、長年自動車とつきあってきた著者ならではでしょう。
ミュージシャンらしく、それぞれの車について、こういう風景で、こういう音楽を聴きながら走ってみたい、という記述もあり、キット化されている自動車なら、モデラーの皆様の中には自分も模型で試してみようか、となるのではと思います。
著者は本当ならトラックなどの商用車も紹介したかった、と言われています。きっと著者が語ったら、また面白いものになるのでは、とどこかでそういった本が出ることを期待しています。そして、鉄道に対する造詣が深いというのも著者を語るうえで忘れてはいけません。横浜市電を歌った「路面電車」や「夜のヴィブラートKQ仕様」なんていう鉄道ネタの曲もあります。私などは鉄道関連の文章を読んでみたいなあと、とも思うのです。
こうしたエッセイというのは、静かな音楽が流れる喫茶店で、コーヒーでもすすりながら読むのがお似合いです。そんなときに本書に出てくる自動車が窓の外を走っていたら、思わず「ィイネ」と言ってみたくなります。久しぶりに大好きな喫茶店に本書を持って出かけてみましょうか。
本書の各章の見出しを借りれば、私の好きな東急8000系は「15歳の春、銀色に輝く車体に偉大な平凡の持つ素晴らしさを知った」ということに、新幹線の500系なら「28歳の夏、線路の上を疾走するレーシングカーに出会った」となるのでしょう。自動車が好きという方以外にも、乗り物への深い愛情を理解されている方に、ぜひ読んでいただきたい本です。