工作台の休日

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夏の宵、フュージョンに酔いしれる  ジャズ・フュージョンサミット

2024年08月10日 | ときどき音楽

 昨夏に第一回が開催され、大盛況だった「JAZZ FUSION SUMMIT」ですが、今年も7月に東京ドームシティホールで開催されました。既に配信期間も終わり、レビューなども掲載されていますが、私なりの感想を書いてみたいと思います。当日はとても暑く、今年の猛暑を象徴しているような感がありました。ちょうど都市対抗野球が東京ドームで開催されているため、東京ドーム周辺も大変な賑わいでした。

 今年は前から2列目というとてもいい席で観ることができました。ステージ位置が高いため見上げるようになりますが、それでも視界がかなりクリアですので、大いに楽しみました。

 トップバッターはジャズ・アベンジャーズでした。ドラマーの川口千里さんを中心に結成された女性ばかり8人のグループで、とにかく明るい!楽しい!演奏で、こちらまで楽しくなります。それぞれのプレイヤーについては名前を知っている方ばかりなのですが、お姉さんたちの元気が(特に前方に座っていましたから)直に私のところにも降りてくる感がありました。オープニングを飾るバンドとしては正解でした。どちらかというとフュージョンよりな感じですが、キャッチーなメロディーにはこちらもうきうきします。もちろん、演奏の巧みさは言うことなしです。

 ジャズ・アベンジャーズの後は川口さんが残り、そこに神保彰、坂東慧、そして仙波清彦の各氏が加わりこの日の「打撃系」が勢ぞろい。ドラムとパーカッションの競演です。個人的にはこの組み合わせ、すごく期待していました。仙波さんはお客さんを楽しませる術をたくさん持っていますので、こういったフェスが似合います。最後は神保さんのドラム・トリガーシステムによるチック・コリアの「スペイン」で締めました。タイトな演奏だったり「遊び」の部分もあったりと、フェスならではのお楽しみで、期待以上のセッションでした。

 続いて「かつしかトリオ」の登場です。このグループ、向谷実さん、神保彰さん、桜井哲夫さんという、第一期カシオペアを支えたメンバーで構成されています。当日の演者だった元スクエアの本田雅人さんは「ぼくの中ではほぼ星座」とツイートされていましたが、鴨南蛮と「鴨抜き」みたいな感覚です。ベテラン3人の奏でる音は、ここまでのキャリアが築いた音というのと、いい意味で「日本のフュージョン」という感がいたします。そして何と言っても向谷さんのMCが健在で「司会屋実」の面目躍如です。「僕らはジジイ・アベンジャーズです」と自己紹介して「ステージ衣装が上下白なのは「純烈」を意識しています」と笑いを取り「神保さんがさっきスペインとか演奏したから僕らはポルトガルくらいしか残ってない」と向谷節全開でした。

 かつしかトリオの後は向谷さんが残り、T-SQUAREの伊東たけしさんとバラードの名曲「Forgotten Saga」を演奏です。作曲者の故・和泉宏隆さんへの思いも込められた向谷さんの演奏が胸を打ちます。向谷さんと和泉さんは同じ鍵盤のポジションだけでなく、MCという立場も同じで、かつての「CASIOPEA vs  THE SQUARE」ライブでも仲の良さを見せていたのを思い出しました。向谷さんもSNSで(和泉さんに)「届いたかな」と言っていましたが、きっと和泉さんに届いていますって。和泉さん、何て言っているかなあ。

 引き続きスクエアの登場です。この日は伊東たけしさん、、坂東慧さんの正式メンバーのほかに、田中晋吾(ベース)、松本圭司(キーボード)、杉村謙心(ギター)の各氏がサポートとなりました。若手の杉村さんが他のメンバーに引けを取らない堂々とした演奏で、印象に残りました。昨年のアルバムの「難曲」と言われた「Marverick Moon」では本田雅人さんが登場、また、デビューアルバムの一曲目「A Feel Deep Inside」には仙波清彦さんが参加されていました。普段のフェスではもっと誰もが知っている曲をやるところですが、今回は曲目も面白いところを衝いてきました。

 ここで一旦休憩に入り、休憩明けに登場したのはアコーディオンのkobaさんとギターの沖仁さんです。お名前はよく聞くお二人ですが、ライブで拝見したのは初めてかもしれません。kobaさんはスクエアのセルフカバーアルバムでゲスト参加された曲があって、こちらはスクエアと言うより「kobaさんの曲」になっていて、とても好きです。

 はじめにそれぞれがソロで一曲ずつ披露。kobaさんは「Campana」を演奏して舞台袖に去っていくのですが、その姿がかっこよかった!アコーディオンを胸に抱え、背筋を伸ばして去っていく様子は「孤高」という言葉が似合うような感じでした。

 沖仁さんのギターも一音ずつ丁寧に紡いでいるという感じがしました。フラメンコギターと言いますと本場ヨーロッパではノリと勢いで演奏しているような(実際にそういう演者もいますが)プレイヤーもいますが、それとは明らかに違う感があります。kobaさんと渡辺香津美さんのデュオ曲もこの日は沖仁さんとのデュオで実現。渡辺香津美さんは2月に病で倒れられており、二人の演奏が渡辺さんに届くことを祈っているかのようでした。

 途中からかつしかトリオの桜井さんが、さらには仙波清彦さんも参加。リベルタンゴ、圧巻でした。kobaさんは「持つべきは良き先輩」と話していましたが、こんな豪華な組み合わせで演奏を聴けるファンもまた、幸せであります。

 ラストのグループはブルーノート東京オールスター・ジャズ・オーケストラです。エリック・ミヤシロさんが指揮する若手からベテランまで揃ったグループで、完成度の高さはさすがです。ビッグ・バンドとは言え決して古い音楽ではなく、時にとても「尖った」演奏も見られます。先日亡くなったデビッド・サンボーンゆかりの「ドリーム」は本田雅人さんをフューチャーして演奏されました。エリック・ミヤシロさんのサンボーンやパット・メセニーとの交友についても話がありました。

 アンコールは本日の演者とオールスター・ジャズ・オーケストラとの共演です。スクエアは「Omens of love」を演奏しました。ラストに「バードランド」で大団円となり、実に4時間半のライブに幕となりました。

 帰ろうと思いましたら滝のような豪雨です。折り畳み傘がありましたので、水道橋駅へ「強行突破」を図りましたがずぶぬれになりました。帰宅する頃には今度は自宅がひどい雷の音です。着替えていたら雷の音に目を覚ました豚児が怖かったのかだきついてきました。

 各演者のSNSには終演後の写真も随分アップされ、全員で集合写真や、パートごとに集合というのもあります。サックスパートは「アベンジャーズ」の面々と男性陣のショットと言うなんとも華やかなものもありました。

 このイベント、夏の風物詩として来年以降もぜひ期待しております。まだまだ見てみたいミュージシャンもいますからね。

こちらは今年のTシャツ。今年の夏はこれを着てお出かけです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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