工作台の休日

模型のこと、乗り物のこと、ときどきほかのことも。

セナ没後30年にあわせて・・・

2024年05月01日 | モノものがたり
 私のような趣味人というのは多分にコレクター気質もございまして、長く趣味を続けてまいりますと、さまざまなものが手元に集まってまいります。
そんな私の周りにあるものから、趣味に因んだ珍しいものなどをご紹介するのが「モノものがたり」です。
 5月1日は3度のF1チャンピオンに輝く、アイルトン・セナの命日に当たります。私のブログでもセナに関する記事はいくつか書きましたが、今日は関連記事の閲覧件数が多いようです。
 セナに因んだものですと、私のようにセナもいいけど他のドライバー達も同じように好き、というファンであっても1/43、1/87のミニカーはありますし、タミヤの1/20のキットも組んでいます。いわゆる「追悼本」もいくつかありますし、セナの事故、さらには事故後の裁判に関しての書物もあります。
 そんな中で今日はこちらをご紹介します。

こちらは1/12サイズのヘルメットのミニチュアです。恵比寿にあったミスタークラフトさんで買ったと記憶しています。チャンピオンを中心にさまざまなドライバー達のミニチュアヘルメットが出ており(メーカーは失念しました)、その中で選んだのがこれでした。「SUZUKA 1992」とケースにありますが、これは特別な柄なのです。

よく見ますと、緑帯のところに小さな日の丸が入っています。1992年日本GPで、その年限りでF1から撤退するホンダと日本のファンへの感謝の意をこめて日の丸をつけたとも伝えられています。今でこそグランプリごとの「スペシャルヘルメット」は多くのドライバーが採り入れていますが、当時はデザインを頻繁に変えるようなドライバーは少なく、ヘルメットデザインもまた本人を識別する名刺代わりだったように思います。ですのでこの小さな日の丸は、とても大きな意味を持っていました。


そしてこちらはセナと最後の愛機、ウィリアムズFW16のピンバッジです。

セナの顔写真のところがだいぶ色あせてしまっていることからも、歳月を感じます。

最近ではさすがにあまり見かけなくなりましたが、セナが被っていたのと同じ青い「NACIONAL」と書かれた帽子を被っている方も、以前はサーキットで見かけたものです。中には青い色が随分と色あせてしまい、それだけ長くファンだったんだな、という方もいました。あの日から30年経っていますし、セナのさまざまな記録はそのあとのシューマッハ、ベッテル、ハミルトン、さらにはフェルスタッペンが塗り替えていますが、それでもセナを基準に比較している自分がいるわけで、やはりセナというドライバーが特別な存在だった、ということでしょう。

ネットフリックスでセナのドラマが放送されると聞きました。日本でのF1ブームの頃というのは、セナ・プロストに限らず、さまざまな個性のドライバー達がぶつかり合っており、古舘伊知郎氏の言葉を借りれば「ロングランのミュージカルみたいな」シーズンでしたから、あの日々をどう描くのか、当時を知らない若い方ならともかく、私たち世代が見たらどう感じるのかなと思いました。また、レースをテーマにした漫画を描いていた方が、セナのレース人生そのものがドラマチックで、漫画にしたところでフィクションの入れようがないから描かない、といった趣旨のコメントをしていました。今夜はまた書物をひもとき、彼のレース人生を振り返ってみることにしましょう。






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広報担当とミナルディのメモ帳

2023年04月24日 | モノものがたり
私のような趣味人というのは多分にコレクター気質もございまして、長く趣味を続けてまいりますと、さまざまなものが手元に集まってまいります。
そんな私の周りにあるものから、趣味に因んだ珍しいものやおもしろいものをご紹介するのが「モノものがたり」です。
今月はスケジュールに入っていた中国GPがキャンセルされたことで、レースが1か月ほど空いた状況になっています。レースの無い時期にちょっとF1に因んだ話となります。
 今から20年近く前になりますが、私は勤め先で広報担当のようなことをしていました。月刊1万部弱の無料の広報紙を作っていて、仕事に関係したところにちょくちょく取材に出ておりました。出先でインタビューをしたり、誰かの講演やセミナーをまとめて記事にしたりということをしていたのですが、その時によく使っていたのが、今回の「モノ」であるメモ帳です。

(2003年オーストリアGP、2004年サンマリノGPのものです。2003年のミナルディにはフェルスタッペンのお父さんが、2004年にはハンガリー出身のバウムガルトナーがいました)
 これはイタリアに本拠を置くF1チーム・ミナルディがメディアなどの関係者向けに配っていたものでした。以前恵比寿にあった「Mr.CRAFT」という模型店でF1関連のグッズ、ミニカーなどを扱っていて、海外のグランプリのプログラムやドライバーの集合写真、大きなものでは本物のレーシングスーツやF1マシンのパーツ、変わったところではエンツォ・フェラーリ、ニキ・ラウダらのサインの入った大きな灰皿なんていうものもありました。そんな中にこのメモ帳が売られていました。
 安価だし、チームのメディア向けグッズなんて珍しいから買ってみるかというわけで、いくつか購入しました。どのチームでもこういったものを作っていると思われますが、各国で開催されるグランプリごとに製作されていて、コースのレイアウト図や前年のグランプリの結果などが掲載されています。

ミナルディチームはこのブログでも何度か紹介していますが、もともとはイタリアの小さなF1チームで、日本人スタッフが在籍していたこともありましたし、日本人ドライバーが在籍していたこともありました。現在ではレッドブルの傘下に入り、トロ・ロッソを経てアルファタウリという名前になっており、2021年シーズンから角田裕毅選手が所属しています。
 さて、このメモ帳ですが、広報担当になってしばらくして「そう言えばあのメモ帳あったなあ。取材で使ってみるか」という感じで棚から取り出してきました。今ですと会議でも講演でも、パソコンに打ち込んでいる方の姿を見かけますし、私のところでも、会議中はペーパーレスということで、パソコンでメモを取ることが多いのですが、当時は手書きが幅を利かせており、私も手書き派だったこともあり、簡単に書けてポケットにも入るこのメモ帳は便利でした。
 他のチームやブリヂストンのようなサプライヤーのメモ帳などもあったのですが、ミナルディのそれはとても使いやすいものでした。おそらく、四角く薄いグレーのマス目が主張し過ぎず、書きやすかったからでしょう。また、表紙がそこそこ厚みがあって、手にしたときに安定感があったからでしょう。

 一字一句間違いなく記載する必要がある場合は、ICレコーダーに録音して、それを再生しながら記事を書きましたが、そうでないときの方が圧倒的に多く、このメモ帳も大活躍しました。
 私自身は人見知りなところもありまして、初対面の方に取材というのがいつも緊張の連続でした。そんな中でこのメモ帳を持っていると妙に落ち着いたものです。そしてこのメモ帳で書きつけたあとは、一度取材先の近くの喫茶店などに場所を移し、B5サイズのノートに「清書」していきます。インタビューの様子や相手の表情、空気感などを思い返しながら、メモ帳に書いた内容を起こしていくわけです。
 そのあとは職場に戻り、パソコンの前に向かいます。1時間もすれば1,000字の原稿を打ち込むことができました。
 私が携わったのはわずか2年でしたが、この仕事はとても貴重な経験でした。何よりいろいろな方と会えましたし、読者の方から「どこに行けば手に入りますか?」といった定期購読のご要望をいただくと嬉しかったものです。インタビューではあまり考えすぎたり、自分の意見をさしはさまず、シンプルに「なぜ?」と聞いてみることが相手の答えをたくさん引き出せることに気づかせてくれたのもこの仕事でした。
 その後、取材と言った形でメモ帳を使うこともないのですが、このメモ帳を見ると今もあの頃のことがよみがえってきます。
 そしてこちらはGP Car Storyのミナルディ特集号。小さなチームがたくさんの人に愛された理由がわかります。





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電車と機関車の形のボールペン

2022年10月26日 | モノものがたり
私のような趣味人というのは多分にコレクター気質もございまして、長く趣味を続けてまいりますと、さまざまなものが手元に集まってまいります。
そんな私の周りにあるものから、趣味に因んだ珍しいものやおもしろいものをご紹介するのが「モノものがたり」です。
前回はだいぶ前にスイスの鉄道時計をご紹介しましたが、今回も鉄道ネタでございます。鉄道開業150年に因んでこんなものを「蔵出し」してまいりました。
鉄道車輛(というか編成)をかたどったボールペンです。以前、近鉄12200形の引退の際にも少しご紹介しましたが、あれには仲間がいるのです(残念ながらメーカー名不詳)。
これらはいずれも1970年代後半に我が家に来たものですので、かれこれ40年以上経過しています。
最初にやってきたのは新幹線でした。普段はおおよそこういったグッズ類を自ら買ってきたりしない母が、私と兄のために1本ずつ買ってきてくれました。


ご覧のとおり0系がモデルです(当時は0系しかいませんが)。キャップ部分が先頭車のため他の車輌より短くなっています。キャップは後ろ側も外れます。まだ鉄道模型を始める前でしたし、こういったおもちゃ類もさまざまあって、なんとなく眺めたり、手で持って走らせるような感じで畳の上を滑らせていたのかもしれません。以前も書きましたが小学校低学年の頃はバンダイの「ミニミニレール」でよく遊んでいて、それ以外にもチョコレートのおまけでついていた小さな車輌の玩具を集めて編成を組んだりとか、ダイカスケールの車輌を買ってもらったりといった感じでした。
 このボールペンのシリーズ、近所の文具店に私鉄特急もありました。以前ご紹介した近鉄のスナックカーだけでなく、西武5000系レッドアロー、小田急の3100形NSEです。

西武5000系

ペン先側は前頭部のライト類に当たるところが着色されていますが、反対側は着色しておらず、これは他の電車も同じでした。

小田急3100形・実物同様車体が他の形式より短くなっているのも再現しています。

近鉄12200形
私鉄特急など、当時は玩具にもなかなか恵まれませんでした(プラレールではいくつか見かけましたが、今ほどリアルではなかったと思います)。鉄道模型(Nゲージ)ではスナックカーがキット化され、西武5000系も完成品が出ましたが、小田急のNSEはNでは夢のまた夢とその頃は思っていました。あの頃はブルトレ、特急ブームでしたので、国鉄特急の写真や私鉄特急の写真がちりばめられたハンカチなどもあって、私も愛用していたのを覚えています。
 電車だけではありません。SLと客車の組み合わせというのもありました。


C62とスハ43系のようですね。客車は茶色だけでなく青もあったという話を聞いたことがあります。これは万世橋の交通博物館で70年代に買ってもらったのではないかと思いますが、ちょっと記憶が定かではありません。C62とスハ44系「つばめ」の編成は関水の製品を父が持っていたので、子供心にあこがれではありました。

 これらの編成、筆記具としては持ちにくいですから、もっぱら観賞用となりました。他の鉄道玩具が大きくなるとともに他所にもらわれていったりした中で、これは数少なく残ったものとなりました。実家を出てからも私の荷物に入り、今の寓居で鉄道玩具やグッズを入れた箱に収まっているというわけです。

 長じて私も模型でこれらの車輌を入手いたしました。前述の私鉄特急のハンカチに登場した車輌たちでもあり、大人になってこういう車輌が出ていたらいいな、というものが軒並みリリースされており、関東も関西も、さらには西鉄だって買えます。こうした玩具で飽き足らず、精密な模型も欲しい、となって幾星霜ということで、収集というのは子供の頃の夢が色濃く反映されるものなのでしょうか。

これらのボールペン、メーカー名も分かりませんし、製品化許諾という言葉が一般的でなかったので、鉄道事業者や車輌メーカーに断りを入れずに作っている可能性もあります。今ではもっとあか抜けたセンスの製品も豊富にありますので、今日も、どこかで小さな鉄道ファンたちがさまざまなグッズを手にし、身につけていることでしょう。そういえばうちの豚児のリュックもE5系です。昔こういうのがあったら絶対ほしい、というようなグッズもたくさん出ていますね。







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モノものがたり スイスの鉄道時計

2021年05月10日 | モノものがたり
 私のような趣味人というのは多分にコレクター気質もございまして、長く趣味を続けてまいりますと、さまざまなものが手元に集まってまいります。
 そんな私の周りにあるものから、趣味に因んだ珍しいものやおもしろいものをご紹介するのが「モノものがたり」です。
 今回ご紹介するのはこちら、スイスの鉄道時計です。

 スイスの鉄道時計は写真のとおりそのシンプルかつ見やすいデザインが有名で、掛け時計だけでなく、腕時計なども発売され、日本でも入手が可能です。
 もともとは1944(昭和19)年にスイス国鉄のエンジニアがデザインしたもの(時計を製造・販売しているモンディーン社のサイトより)だそうです。私がこのデザインの時計を知ったのは1990年代の初めだったかと思います。来日したオリエント急行の長身の車掌・ダニエル・グフェラー氏が普段はスイス国鉄で乗務しているといったことから知ったのかもしれません。
 大人になり、実家を出てから今の寓居に住まうことになり、掛け時計を選ぶことにしましたが、あるお店でスイスの鉄道時計が置いてあり、値段は少々張ったのですが、即決で買いました。
 ちなみにスイスの鉄道時計と言いますと、詳しい方は「一周した秒針が一時停止して分針が新しい分を刻むのと同時に動き出す」という「Stop To Go」という仕組みをご存じの方もいらっしゃるでしょう。しかし、我が家の時計はドイツ製のクォーツを使用しており、「Stop To Go」の機構は入っておりません。
 それはさておき、我が家の柱時計として長年時を刻むことになりました。見やすく、飽きの来ないデザインですし、何より鉄道好きの家にぴったりなわけです。その間、震度5クラスの地震にも数回見舞われましたが、それでも止まることなく動き続けていました。
 しかし、この数年はいきなり遅れたり、止まったり、ということが増えてまいりまして、家人から「リビングの時計が正確でないのは困ります。遅れたりしない電波時計にしてください」と強く言われまして、とうとう買い替えることになりました。電波時計については下手をするとオフィスや出先などでいつも見上げたりしているものと同じデザインになり、どうも気に入りません。やはりデザイン的に個性があった方がいいなと探しまして、安くて視認性がよくて、デザインもそれなりに主張しているものを買いました。
 そんなわけでこの柱時計、とうとうリタイヤとなった、はずなのですが、柱にかけると止まるくせに、平たいところに置くと何食わぬ顔で(もともと表情はありませんが)動きます。こうして今日も、物置代わりの部屋の隅で、コチコチという音が・・・あれは、もしかして・・・。

 さて、スイスの鉄道時計、買ったのはこれが初めてというわけではありませんでした。1992(平成4)年2月に私は卒業旅行でヨーロッパを訪れています。二週間余りで6か国プラス複数の小さな国を訪れるという、いかにも学生の卒業旅行なのですが、旅の後半にスイスを訪れました。ジュネーブ駅構内に売店が並ぶ一角があり、そのなかに鉄道時計を扱うお店がありました。ジュネーブからはTGVでフランスに行くだけ、となりましたがスイス国内であまりお金を使わなかったこともあり、スイスフランがだいぶ残っておりました。ということで日本円で1万円程度でしたが、懐中時計を買いました。

この懐中時計、専用のプラスチックケースに入っておりました。

帰国後、実家の私の机の上で、しばらくの間動き続けておりました。こちらも「Stop To Go」の機構はありません。

 スイスの鉄道については、山国で電化が進んだこと、また国鉄の技術陣が戦後、軽量客車を設計する際にスイスの客車を参考にしたことなどもあり、どこか親近感を覚える車輌が多いように感じます。TEEのゴッタルドにRIC客車、落ち着いたデザインの電気機関車など、さらには飛び跳ねるニワトリやチーズが描かれたラッピング機関車など、我が家にも模型がずいぶんと集まりました。そういえば、私の好きな西武のE51、鉄道省のED54もスイス製でしたね。

 さて「モノものがたり」、いかがでしたか。鉄道ネタに限らず、これからも不定期的にこんな話をさせていただけたらと思います。

 

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