工作台の休日

模型のこと、乗り物のこと、ときどきほかのことも。

レーションとカルボナーラ

2023年11月04日 | 日記
 以前も出てきたウィリスジープとGI氏。今日はカメラマンも一緒です。

 「俺のこと、撮ってくれるの?」
 いえいえ、その積み荷が今日の主役でございます。

 イタリアのパスタのメニューに「カルボナーラ」があります。日本でもクリーム系のパスタ料理として知られております。日本では生クリーム、ベーコン、卵、チーズ、玉ねぎ、しめじあたりが入っていると思います(店によっては生クリームを使わないところもあります)。仕上げに黒コショウがかかっているのが特徴です。
 このカルボナーラのルーツには諸説あって、私は19世紀だったかのイタリアの秘密結社「炭焼党」にゆかりがあると聞いておりました。ところが最近ではカルボナーラのルーツは米軍が第二次大戦でイタリアに進駐した際に、米軍の糧食だったKレーションから作った、という説が有力となっているそうです。
 Kレーションと言うのは1942年に採用された米軍の戦闘糧食で、当初は空挺部隊向けだったものが他の部隊にも広く使われるようになりました。時期によって内容物は違うそうですが、ベーコンやプロセスチーズ、乾燥卵があり、それを使ってイタリア人のシェフが米兵のために作った料理が発祥とされ、ローマが起源だ、いやエミリア・ロマーニャだ、と場所についても所説あるようです。卵やチーズなど、イタリア国内にもある材料ですから、地元の料理として既にあったようにも思いますが、どうだったのでしょう。
 戦後きちんとしたメニューになっていくにつれ、肉はグアンチャーレと呼ばれる塩漬けの豚肉に、チーズはペコリーノ・ロマーノと呼ばれる羊の乳から作るチーズと、ローマで入手できるものに進化し、今日に至っているようです。羊の乳のチーズと言うのが双子の羊飼いロムルスとレムスの建国伝説で知られるローマらしい、という感じがします。
 こうしてローマの名物料理となったカルボナーラですが、お店でも家庭でもバリエーションは数多あるようです。生クリームや野菜は使わない、という人もいれば、唐辛子(!)を少量入れるというレシピもあるようです。私もイタリアに旅行した際に何度か食べましたが、街によって、店によって多少の違いはありまして、ほとんどのお店で生クリームは使っていませんでしたが、卵が火を入れ過ぎたのか黄身の部分が硬くなっていて、カルボナーラにしては随分黄色いなあと感じる店もありました。
 現地の方のレシピを元に私もカルボナーラを作ってみました。ペコリーノロマーノチーズは輸入食材を扱っている店で入手できますが、高価ですし一度では使いきれる量ではありません。幸い少々保存も効きますので何回かに分けて使うことになりました。グアンチャーレはさすがに入手できないので、パンチェッタかそれもなければ厚切りのベーコンを使うとよいでしょう。卵は好みもありますが、私は全卵を使いました。ペコリーノロマーノチーズは野菜の皮むき(ピーラー)を使うと簡単に薄くそぐことができます。チーズは火を通すとクリーミーになりますので生クリームを使わなくても「クリームソースのパスタ」になってくれます。
二人分だとこんな感じです
①パンチェッタと薄切りの玉ねぎ100gをオリーブ油で炒めます。
②チーズ(50g)をあらかじめピーラーで薄くそいでおきます。
③ボウルに全卵3個を入れてよく溶いておきます。
④湯をわかし、パスタ200gを茹でます。
⑤②で薄くしたチーズを①に混ぜ、弱火でチーズを溶かします。全体にクリーミーになったら火を止めます。
⑥ゆであがったパスタの湯を切って、③のボウルにまぜます。
⑦⑥のボウルの中身を⑤のフライパンに入れ、弱火で混ぜ合わせます。卵が固まらないうちに火を止め、黒コショウ、パルメザンチーズ(少量)をかけて完成。

写真では黒コショウをかけてから混ぜ合わせています。

 物価高騰&円安の折ですので、輸入チーズは無理、という場合は生クリームでも十分美味しく作れます。私は乳脂肪分の低いものを選んで使っています。余ったら食後のコーヒーに入れることもできますからね。
 米軍由来のパスタメニューといえば、ケチャップをかけて炒めた日本のナポリタンについてもそんなルーツがある(これも諸説あるらしいですが)と聞いています。私のイタリア語の先生などは「パスタにケチャップとか、絶対ありえない」と全否定され、出演されていた某テレビ番組でも力説されていました。美味しいんだからいいじゃん、と思うのですが、絶対イタリア料理とは呼びたくないと言わんばかりだったのを思い出しました。いや。、ナポリタンだってうまいんだからな(小声で)。

 冒頭の模型に戻りますが、Kレーションのカートンの1/35モデル、コバアニ模型工房から出ています。木箱は本物の木を使っていますので、実感十分です。最近は前線の正面装備だけでなく、後方の様子を再現できるアイテムも多数出ていますので「カルボナーラ誕生の瞬間」というようなジオラマも作れそうです。


(参考文献・フリーマガジン「イタリア好き Vol52」、「世界のミリメシを実食する」(菊月俊之著・ワールドフォトプレス))

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