工作台の休日

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いつも行ってたこんな店 音盤遍歴編

2024年06月06日 | ときどき音楽
 銀座の山野楽器本店がCDの取り扱いを止めるというニュースが出ていました。一時期は地下から上階まで様々なジャンルのCDを取り揃えており、私もときどきではありますが、あのバンドの最新アルバムに、海外ミュージシャンのレアな直輸入盤にとお世話になりましたし、カシオペアやサックス奏者の小林香織さんのストアイベントでお邪魔したこともありました。
 音楽が配信などさまざまなチャンネルで聴くことができるようになったこと、通販の発達で欲しいソフトをピンポイントで買えるというのは大きいのですが、レコード屋さんというのは本屋さんと同様、周囲の商品も含めて眺めて、手に取り、さらには試聴してというのが楽しみなわけで、ジャケ買いなんていうこともできるわけです。
 私自身の音盤遍歴には当然さまざまなレコード屋さんがあるわけですが、10代の頃は近所のレコード屋さんにお世話になっていました。こちらは完全に個人経営のお店で、親切なおじさん店主が店番をしていました。昔は各駅停車しか止まらないような私鉄の駅前にも、本屋さん、花やさん、レコード屋さんはあったものです。最初はエアチェックなどのためにカセットテープ(ちなみにソニー党でした)を買い、やがて音楽ソフトとしてのカセットテープ、さらにはCDを買うようになりました。まんべんなく商品を揃えていて、フュージョン、ボサノバも強かった印象があります。T-SQUAREの「WAVE」の初版をここで買っています(写真集がついていました)。また、大学4年の時に就職試験が一段落した帰りに和泉宏隆さんの「アムシー」を買ったのもここでしたし、ジャケットの美しさで気になっていた鳥山雄司さんの「プラチナ通り」も「ジャケ買い」で買ったのがここだったような・・・。
 やがて沿線の都会、高田馬場でも買うようになります。ここには大正時代に創業した「ムトウ楽器店」という老舗がありました。高田馬場から比較的近いところにあった亡母の実家には蓄音機があったそうで、ムトウ楽器店の方が御用聞きよろしく訪ねてきて「今度こんなレコードがでました」と営業していたと母から聞いたことがありました。もちろん、平成のレコード屋さんはそんなことはなく、高田馬場駅近くにあった本店だけでなく、ジャズ・クラシックで近くのビルに別の店があったり、映像ソフトだけ近くのBIGBOXで売っていたりといったこともありました。洋楽、邦楽問わず品ぞろえは十分で、ワールドミュージックもありました。どうでもいいことですが、シャンソンのところには「セルジュ・シャルロット・ゲンズブール」、「ジェーン・バーキン」と並んでたなあ。
 ジャズ・クラシックのコーナーは大人だけでなく、学生の街ということもあってか大学生もよく訪れていました。大学のサークルなどで演奏している人たちが「勉強のため」買っている感じもありましたし、バンドならデビューから最新作まできちんとそろっていましたし、未知のミュージシャンのCDも随分買い、そこからファンになったりもしました。また、大阪の「澤野工房」からリリースのティツィアーノ・ヨースト・トリオというヨーロッパのジャズミュージシャンのCDもお店でかかっていたのがきっかけで買い、愛聴盤になっています。発売日に入荷していない、なんていうことが稀なくらいで、随分とお世話になったものです。かなり珍しいものもCD化されているものなら網羅している感じでした。大学2年の頃、バイトの給料を握りしめて、スクエアの「TRUTH」と「YES,NO」を買ったのも思い出です。当時は発売日と同時に買うことがあまりなく、スクエアに関して言えば「NATURAL」あたりから発売直後に買った記憶があります。割引券みたいなものもあって、CDを10枚くらい買えば、集めた割引券で1枚分タダなるような仕組みだったと思います。1990年代から2000年代半ばくらいまでは、本屋さん。模型屋さん、CD屋さんが私の帰り道のルートになっており。そういうことにいちばんお金を使っていたのではないかと思います。ムトウさんに関して言えば、他のショップならジャズ・フュージョンにある高中正義さんのCDはなぜかJ-POPのところにありました。そのムトウさんも最後はローカル系も含めたアイドルに強いお店として生き残りを図りますが、2013年に閉店しています。
 ムトウさんに限らず、職場の近くにレコード屋さんがあったときは、そこで買ったこともありましたし、HMVやタワレコのお世話にもなっています。また、時代が前後しますが大学2~4年次は家からJRの駅まで少し長く歩いて行き、そこから大学に通っていたのですが、駅の近くに小さなレコード屋さんがあって、カシオペアの「ハレ」をちょっと安く買った記憶があります。
 ムトウさんがなくなってからは特に、銀座の山野楽器さんにお世話になったことも多いのですが、次第にCDの購入も昔ほどではなくなり、自分の耳が保守的になってしまったのか、お金の遣い方が変わったのかは分かりませんが、ここ数年はごくごく限られているように感じます。CDも今では通販で買う物になってしまい、お店が無いから通販に頼るのか、そこは何とも難しいところですが、棚に並んだCDを手にとっては戻して、週末に聴く一枚を選ぶようなことがなかなかできなくなっているのは、なんとも残念であります。

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