をとなの映画桟敷席         ~ほぼ毎日が映画館

映画取材から編集裏話まで、るかのここだけの話を忘れた頃にアップします

アルフィー

2005年07月01日 | 映画
出演ジュード・ロウ、スーザン・サランドン、メリッサ・トメイのっけから相当軽薄なんです。アルフィーってやつは。「女は男がいいやつであれば多少顔がまずくたって気にしない。しかし男は違う。女のFBB(顔、胸、尻)を追っかけるんだ」というようなことを冒頭に言うし、いろんな女性をとっかえひっかえ。

でも、後半、落ち目の三度笠になったあたりから、ざまあみろのコメディー調ではなく、人生の機微を漂わせる内容になっていくのは脚本の確かさと、ジュード・ロウの演技のウマさだと思う。
アカデミー賞でクリス・レイに「ジュード・ロウはなんにでも出るが残っていく俳優か」のようなヒドいジョークにされていたけど、彼はインディペンデントでおもしろい役をたくさんやっているし、実に演技巧者だと思う。ファンではないけどそう思う。クローネンバーグの「イグジステンス」しかり、「クロコダイルの涙」しかり。

それと、アルフィー自身に心のうちを観客に向かって語らせるやり方がいいねえ。

サランドン扮する、年上のキャリアウーマンに裏切られたときに言われる言葉は「彼はあなたより若かったから」。普通の映画ならサランドンが言われてるセリフだよ。それがロウに、そして観客にもつきささります。

そしてエンディング。「鳥のように自由」ということは「孤独」だってこと。
ここまで来る間にも身につまされるような会話や状況になにかしら思い当たると思う。期待せず見たら意外な掘出し物でした。
コメント
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