をとなの映画桟敷席         ~ほぼ毎日が映画館

映画取材から編集裏話まで、るかのここだけの話を忘れた頃にアップします

ミワさんなりすます(ドラマ)

2023年12月07日 | ドラマ
ドラマ「ミワさんなりすます」(NHK)

映画好きの人がニヤリとするドラマ。
毎日15分という短時間での夜の帯ドラマでしたが、とても面白かった。

ストーリーは、映画オタクの主人公が、ひょんなことから憧れの世界的な実力派俳優の家に家政婦として働くことに。
俳優の作品の隅々まで知りつくした主人公が、身分がばれそうになりながらも、俳優の支えやヒントを与えたり、立場をきちんと保ちつつ交流を深めていくといった内容。
主人公に松本穂香さん、世界的俳優に堤真一さん。

小道具にも映画ファンが分かるような工夫が。
有名俳優はあの人がモデルかなと思ったり、映画関係者が集まるバーに、ジム・ジャームッシュ監督作品風のポスターが貼られていたり。

映画以外にも、家政婦の一人を演じる片桐はいりさんが面白く、でも出しゃばりすぎず、楽しめました。




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屋根裏のラジャー(映画)

2023年12月05日 | 映画
映画「屋根裏のラジャー

スタジオジブリ出身の次世代の人々がスタジオポノックを作って制作した初のアニメ映画。
冒頭から場面場面が美しく、躍動感にあふれてとてもいい!
ストーリーも最近のジブリ作品のように立ち止まって考えさせてしまわず、めくるめく楽しさが用意されていて、どんな世代でもワクワクドキドキさせてくれる。また、躍動感あふれる主人公たちのほか、ジブリ作品で出てくる得体のしれない怖いものも、このポノック作品ではイッセー尾形の声と相まって存在感アリだ。

なんといっても、子供だけのストーリーではなく、昔、子どもだった大人たちへのメッセージが終盤の映像に盛り込まれていて、不覚にも涙がこぼれてしまった。
とてもよかった。
観て損はない、その言葉を、スタジオポノックの最初の船出に送りたい。


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哀れなるものたち(映画)

2023年11月25日 | 映画
映画「哀れなるものたち」

よく、海外での受賞や豪華俳優陣、あるいは大作扱いした宣伝文句を鵜吞みにして期待して観に行くと、裏切られたり、まずいなこりゃというときがある。内容は必ずしも悪いということではないのだけれど、ミスマッチなバイアスがかかったまま観ない方が映画は楽しめるんじゃないかな。
ということでいわゆる感動的な名作と思って連れて行かないように(R15で子供は観られない)。大劇場で観るというよりも、昔で言ったらバウスシアターなどで観たよ、といった感じの作品。

俳優陣は粒ぞろい。「ラ・ラ・ランド」主演のエマ・ストーン、相手役にマーク・ラファロ、そして主人公の父で医師役は、今や大御所ウィレム・デフォーとくれば、観てみたい、どんなだろうと想像を掻きたてられる。
「フォックス・キャッチャー」の演技や最近はアベンジャーズで知られるマークさんは、「はじまりのうた」の演技が秀逸だったのでご贔屓なので、特に期待。

少々ストーリーに触れると、医師にはハイティーンの美しい娘がいるが、行動や言動がトンチンカン。それもそのはず。実は娘は自殺した女性の体に宿っていた胎児の脳を移植した、いわばフランケンシュタイン。ウィレムさんのマッドサイエンティストの切れ気味演技は健在ですが、途中から主人公は世界を見たくなり、マーク演じるいい男(少々無理があるが)と父の元を出奔。
いろいろ経験を重ねていくが、知らない人々にだまされてすってんてんになり…。
とにかく裸・絡みシーンが多く、辟易。マーク演じる同行者を捨て進む道が、宣伝にある「女の自立」とは到底思えないところに、この映画か原作かの穴がある。
女はたとえ幼くても、生理的にNOなものには敏感なのだ。
目的のために淡々と誰とでも興じるというストーリー展開に、共感できずついていけなくなった。

うーん、そうだ!これは女性の自立ではなく、AIの進化の物語ではないか、と、ここで見方を変えていくことにした。
人間なら踏み越えられない一線や躊躇があるが、彼女は欲望に真っすぐで、生理的嫌悪感を感じることがない。人間じゃなくAI知能のロボットなんだと思えば腑に落ちる。
シンギュラリティ、怖いね、というのはこういうことなのだろう。





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君たちはどう生きるか

2023年11月17日 | 映画
映画「君たちはどう生きるか」

宮崎駿監督の久々のアニメ作品。引退宣言はしたが、復活の最新作。つくる元気が沸き上がって、あるいは残しておかねばの気持ちから現場に戻られたなら、何度でも撤回して戻ってきてほしいと思う。

少しむずかしいという声もあり、それはそうだなとも思う。でも子供時代の戦争という記憶を映像に投影するため、極私的世界になったのではと思う。だから最初からファンタジーの世界へとか、次々と起きる不思議な世界というのは、前半は抑え気味だし、ラスト前のあたりの話も子どもには分かりにくいかもしれない。
とはいえ、不思議な塔へ行く森の道の絵は、手書きの緑が呼吸をしているような感じですごく美しいし、ストーリーもアオサギと出会ってからは、めくるめく冒険の世界だ。
ただ、主人公と旅をするアオサギがいま一つ入り込めなかった。いつも善も悪も出てくるのだから、ひねくれものの設定はいいのだが、見た目、鼻が大きくブツブツがいっぱいなおじさんなところが、手塚治虫氏の猿田彦のキャラクターに重なってしまう。違う面体のおじさんがよかったかも。
一方、現実のお屋敷で働く下女のばあさんたちが、白雪姫の7人の小人のようで出色だ。宮崎監督の他の映画に出てきたんじゃないの?というばあさんもいる。また、そのうちの一人が、異次元で若くなって船をあやつるエピソードがとても心に残ってよかった。なんか「レッド・タートル」も思い出した。
そして、カギとなる女の子は誰なのか…。
他作品と比べて冒険のめくるめく感は小さめだが、でも、極私的だからいいか。
まずは一見を。

(1つだけ文句を言えば、パンフレットが、解説無しで絵があるだけで1000円とは高い。)









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映画「マディーナ」~東京国際映画祭今宵の1本

2023年10月29日 | 映画
マディーナ(映画)

どこの国でもシングルマザーはつらい。
カザフスタンのシングルマザーの物語。

主人公のマディーナは、ダンスのプロで、昼は主婦にベリーダンス、子供たちにバレエを教えているダンス教師。
夜は、ショーガールとして華やかでエロティックな衣装や装飾に身を包み、踊り子をしている。このシーンは華やかで美しい。
よく、フランスやラスベガスで観られるショーの縮小版のようだ。

そうして稼いで、思春期の息子と幼い娘の子供2人とおばあちゃんを養っている。
娘との水泳教室や、ピアノを習わせたいなど、娘にいい生活をさせたいと思うシーン。他の映画にも同様のシーンがあったな。

そんな彼女の足もとを見て、冴えない男性や金をちらつかせた成金男性が近づいてくるエピソードはさもありなん。

しかし、息子がアメリカへ行くと言う。その理由の告白に、母はある決意をする。

最後、水の中を全裸で泳ぐ母・マディーナ。若い人のような美しい姿態ではないが、何かを吹っ切るためのシーンか。
このような水の中で母が吹っ切るシーン、衣服は着ているが、中国の映画でも見られた。
女性の置かれた立場や気持ちは、古今東西共通していることが多いのかもしれない。

東京国際映画祭
アジアの未来
マディーナ
監督:アイジャン・カッセイムベック


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