紺青小鉢

ミニマムな和の空間で、日本の伝統文化を再発見

芸術の起源

2016年12月17日 | 美術館・博物館
暗闇に浮かび上がる動物の群れ。巨大な牝ウシに圧倒される。細かなところまで丁寧に描くその技。2万年前の彩色がいま上野の地で...国立科学博物館で開催中の「世界遺産 ラスコー展」です。
フランス南西部、ボルドーにほど近い場所にあるラスコー洞窟。およそ2万年前にクロマニョン人によって描かれたラスコーの壁画は、いまでは閉鎖されて見ることができません。この展覧会ではラスコーの壁画を実物大で復元展示しています。
洞窟に入る前のコーナーでは、壁画が発見された当時の様子や、見物客が押し寄せる図などを展示。なかでも洞窟内に残されていた『ラスコーのランプ』なるものが、フランスでは国宝級の出土品だとか。ちなみに壁画制作に使われた顔料は世界初公開とのこと。それではラスコー洞窟の中へ...。
走る音が響いてきそうな馬や牛の姿。細かく彫られた線画がブラックライトで浮かび上がります。空気もひんやり感じられそうな洞窟内。そこには2万年の時を超えた神秘的な空間が広がっていました。
クロマニョン人は道具の先っちょに何か動物の姿を彫刻したり...それは芸術の始まりでもあります。これ以前は「別にそんなことやらなくていいだろう〜」的な考えだったんですかね(考えがあったかどうか微妙ですけど)。毛並みが表現されたバイソンの彫刻は、まるで江戸時代の根付のよう。他にもトナカイの角から槍先を削り出す様子や、縫い針の作り方などジ〜ッと見入ってしまう映像も多い。『ラスコーのランプ』のくぼんだ丸型のつくり込みは凝りすぎです。2万年前にこんな凝り性の人がいたなんて...。
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