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  人々を幸福にしない日本の税システム

2019年10月30日 10時10分07秒 | 政治

                               

                                 

                      「植草一秀の『知られざる真実』」
                                     2019/10/30
              人々を幸福にしない日本の税システム
             第2468号
   ウェブで読む:https://foomii.com/00050/2019103006000059816 ──────────────────────────────────── 11月15日(金)午後5時から7時半の日程で
「いま消費税を問う!」
と題する院内集会を開催する。
オールジャパン平和と共生は、政策を基軸にした主権者と政治勢力の連帯を呼 びかけており、新たに「政策連合」の創設を呼びかけている。
11月15日の院内集会では、消費税問題について専門家と国会議員、政党代 表者に参集いただき、それぞれの立場からの見解を述べていただく。
集会参加者からの意見、質問も求める予定である。
会場は衆議院第二議員会館多目的会議室。
次の衆院総選挙の最大争点のひとつが消費税問題になると考える。
「れいわ新選組」が参院選で提示した8つの公約のうち、7つの公約は「オー ルジャパン平和と共生」が提示したものである。
この意味で、「れいわ新選組」が、私たちが掲げてきた政策提言を現実の政治 で実現させようとする主権者の意思に基づく政治勢力になりつつある。
「れいわ新選組」の山本太郎代表は、次の衆院総選挙で、「消費税率をまずは 5%に引き下げる」ことで政策協定を締結し、全面的な選挙協力を行うことを 提言している。
オールジャパン平和と共生はこれを「政策連合」と名付けており、「政策連 合」の大きなうねりを生み出したいと考える。
11月15日の集会では、まずは、消費税についてのさまざまな主張を提示し てもらい、そのなかから私たちが目指すべき方向を探ることとする。

れいわ新選組はもちろんのこと、立憲民主党、国民民主党、日本共産党、社会 民主党の代表者に出席賜り、建設的な議論を展開いただければと思う。
さらに、馬淵議員のグループの見解、共和党設立準備会合を開催した鳩山友紀 夫元首相のスピーチもいただく予定である。
消費税問題の専門家にも出席していただき、専門家の立場から解説と提言をい ただく予定だ。
次の衆院総選挙がいつ実施されるのかは不明だ。
早期に解散・総選挙が実施される可能性を全面否定することはできない。
いつ総選挙が実施されても対応できるように、政策を基軸にした連帯の構築に 向けて準備を進めなければならない。
10月1日から消費税率が10%に引き上げられた。
この消費税率10%は、とりわけ所得の少ない人々を直撃している。
ただし、来年6月までの時限措置として、各種割引、還付制度が設定されたた め、来年6月までは消費税増税の効果がフルには表面化しない。
逆に言うと、来年7月には極めて大きな増税効果が発生する恐れが高い。
税負担率が実質的に8%や5%に軽減される場合、来年7月には、2%幅、5 %幅での増税効果が表出することになる。
平年度ベース5.2兆円の増税が実施され、初年度は2兆円規模の増税対策が 講じられている。
この数値だけを見ると増税の影響が大幅に緩和される印象が生じるかも知れな い。
しかし、騙されてはいけない。
増税は永続する一方で、増税対策は一回限りの施策なのだ。

10年間で考えると、増税規模が52兆円になるのに対して、増税対策規模は 2兆円のままだ。
52兆円の増税を実施するのだから、2兆円の増税対策は「焼け石に水」でし かない。
2020年7月から増税効果がフルに発揮されることになる。
10年間で50兆円規模の増税の影響が軽微になるわけがない。
消費税増税の最大の問題点は、これが格差拡大の重大原因になる点だ。
所得税の場合、夫婦子二人で片働きの標準世帯の場合、世帯主の収入が35 4.5万円を超えるまでは税負担が発生しない。
無税なのだ
生存のために必要不可欠な最低限度の収入に対しては税金を課さない。
所得の少ない個人に税負担を賦課すれば、その個人の生活は成り立たなくな る。
生存権が侵害される。
だから、課税が免除されている。
この制度を踏まえると、消費税がいかに所得の少ない個人に過酷な税制である のかが分かる。
格差大国になった日本。
国家が保障する最低ラインが極めて貧困な日本で消費税負担の引き上げを行う ことは文字通り悪魔政策だ。
11月15日の院内集会にぜひご参集賜りたい。

国税庁が発表している民間給与実態調査によれば、1年を通して働く給与所得 者の22%が年収200万円以下である。
年収400万円以下の給与所得者が全体の55%を占める。
かつては「一億総中流」と表現された日本の所得分布だが、現代日本の特徴は 低所得者の激増にある。
「上級国民」と「下級国民」との呼称が用いられているが、「下級国民」が激 増している。
「一億総下流社会」
と称しても過大ではない。
その一方で、本当に一握りの個人に富と所得が集中している。
国際協力団体であるオックスファムによると、
所得の多い世界のトップ26人の所得と所得の少ないワースト38億人の所得 が同額になるという。
想像を絶する格差が広がっている。
政治が取り組むべき第一の課題は、底辺の引き上げだ。
政府がすべての国民に保障する最低ラインを引き上げること。
これが最重要の施策である。
消費税増税は、この目的に完全に反する。

下流で生活苦にあえぐ国民から、さらに金を巻き上げる施策なのだ。
かつての日本国民であったなら暴動を引き起こしていただろう。
悪政・暴政に立ち向かい、立ち上がること。
これは個人の正当な権利の行使である。
しかし、日本の市民はそのエネルギーすら失い始めている。
暴政に抗(あらが)い、闘うことをやめてしまったとき、私たちにとっての明 るい未来の灯は消えてしまう。
その瀬戸際まで追い詰められている。
格差社会のなかでの正当な税制の基本は、
「能力に応じた課税」
である。
いまの日本で最も税を負担する能力が高いのは、大法人と富裕層だ。
大法人と富裕層に適正な税負担を求める。
逆に、生存権すら確保できていない所得の少ない個人から税金をむしり取るこ とをやめるべきだ。
消費税が導入された1989年度から最近までの税収推移を見ると、法人税負 担と所得税負担を適正化するだけで、消費税を廃止することさえ可能になるこ とが判明する。

弱肉強食を奨励して一握りの超富裕層と圧倒的多数の貧困層を作ることより、 すべての国民に保障する最低ラインを引き上げて、すべての人がしあわせを感 じて生きてゆける社会を構築することの方が望ましいのではないか。
オールジャパン平和と共生は、
「すべての人が笑顔で生きてゆける社会」実現を目指している。
これを「ガーベラ革命」と名付けた。
ガーベラの花は色とりどりで美しくかわいい。
多様性の象徴だ。
そして、ガーベラには前進、希望、限りない挑戦という花言葉がある。
弱肉強食を奨励して、一握りの超富裕層と圧倒的多数の貧困者を生み出す政治 よりも、すべての人に笑顔で生きてゆける状況を創り出す政治の方が優れてい ると考える。

しかし、ガーベラ革命を実現するには、「政治過程」というハードルを超える 必要がある。
「政治過程」とは単純に表現するなら、選挙を通じて政権を刷新することだ。
どうしても、この過程を通過しなければ、ガーベラ革命は実現しない。
選挙で大事なことは、想いを共有する者が連帯することだ。
現在の選挙制度では「連帯なくして勝利なし」である。
一番大切な政策について「連帯」を構築する。
これを私たちは「政策連合」と表現する。
消費税廃止に向けての「政策連合」を構築して、来るべき総選挙に勝利して、 新しい政権をみなの力で樹立しよう。
これが「ガーベラ革命」成就をもたらすのだ。