2017年度予算案がきのう、参院本会議で可決、成立し、通常国会は後半に入った。

 ここまでの論戦で焦点となったのは、学校法人「森友学園」への国有地売却をめぐる問題だ。
 国民の財産が、不透明な経緯で8億円以上も減額された。
 安倍晋三首相の妻昭恵氏と学園との密接な関係を受けて政府内で忖度(そんたく)が働き、異例ずくめの売却につながった疑いも拭えない。
 与党側からは、予算成立を機に疑惑に幕を引こうとする声ばかり聞こえる。しかし政府の説明に国民が納得していないのは明白だ。
 国連平和維持活動(PKO)の日報隠蔽(いんぺい)と稲田朋美防衛相の資質の問題や、「共謀罪」法案をめぐる金田勝年法相の不安定な答弁に対する追及も未消化なままだ。
 このままでは必要な法案の審議にも影響する。国会はまず国民の疑念を解消しなければならない。
 学園の籠池泰典(かごいけやすのり)氏は証人喚問で、土地貸借に関し昭恵氏に助力を求め、「首相夫人付」政府職員からファクスを受けたと述べた。
 これに対し首相は、職員が問い合わせに応じただけだと答弁し、昭恵氏自身の関与を否定した。
 だが政府職員が独自に照会したという説明はあまりに不自然だ。「首相夫人付」職員の照会が、政府内の判断に影響を与えた可能性もある。関係者に確認が必要だ。
 昭恵氏から学園への寄付金の有無をめぐっても主張が食い違う。昭恵氏に国会で説明を聞きたい。
 「森友」問題では、稲田防衛相の答弁も二転三転している。
 学園の代理人弁護士として出廷していた過去に加え、弁護士の夫が土地売却の協議に同席した点でも答弁が事実と異なっていた。
 さらに重いのは、組織ぐるみの隠蔽が疑われるPKO日報の実態を稲田氏が知らなかった事実だ。
 当初廃棄したとされた日報データが保管されていたと判明してから、報告を受けるまでに1カ月を要した。省内を掌握できていない以上、進退を問わざるを得ない。
 「共謀罪」の要件を変更した組織犯罪処罰法改正案は、犯罪実行前の幅広い摘発を可能とし、当局の恣意(しい)的な運用も懸念される。法案の本質自体が受け入れがたい。
 そのうえ金田法相の答弁は「準備」の適用範囲などをめぐって変遷を繰り返している。このまま質疑を進めるわけにはいくまい。
 給付型奨学金の新設など、国民生活に直結する法案の審議も控える。国会はそのためにも、積み残された疑問の究明を急ぐべきだ


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