2021年6月 6日 (日)
竹中氏応援で痛手の五輪強行論菅首相
朝日新聞に赤川次郎氏の投稿が掲載された。
「五輪中止 それしか道はない」
正論だ。
これに対して竹中平蔵氏は感染症対策分科会の尾身茂会長の発言について「越権だ」と述べ、
「世界に対して『やる』と言った限りはやる責任がある」
と発言。
竹中氏は、
「なんでやるか、やらないか、あんな議論するか、私は分からない。
だって、オリンピックってのは、世界のイベントなんですよ。
世界のイベントをたまたま日本でやることになっているわけで、日本の国内事情で、世界に『イベント(五輪)やめます』というのは、あってはいけないと思いますよ。
世界に対して、『やる』と言った限りはやる責任があって」
「「日本の国内事情」を理由に中止するなどはありえない」
と主張した。
菅内閣に媚びを売るために五輪賛成論を唱えたい気持ちは分かるが、論理に説得力がまったくないのが致命的だ。
世界のイベントでも日本で実施するのだから、日本国のトップが開催可否判断する責任を負う。
それが主権国家の首相の責務。
五輪を「やる」ことになっていて、巨大な地震が日本を襲い、津波で東京が壊滅、死者が多数発生しても、
「世界に対して、『やる』と言った限りはやる責任があって」
「「日本の国内事情」を理由に中止するなどはありえない」
と主張するのか。
日本の国民がコロナ感染収束を最優先課題に位置付けている。
日本ではワクチン接種は進捗していない。
最大の懸念要因は変異株が日本に流入し、感染拡大をもたらすこと。
コロナ変異株の特徴は、強毒化することがあり得ること、ワクチン有効性を引き下げる可能性があること。
海外から9万人もの外国人が流入すれば、変異株が持ち込まれることは間違いない。
しかも、日本政府の検疫体制はザルそのもの。
外国人の行動抑制が厳格に管理される可能性は皆無。
その外国人に多数のワクチン未接種日本人が接触する。
五輪終了後に2021年末にかけて感染再爆発が生じるリスクは大きい。
この事情を踏まえて、日本の主権者の圧倒的多数が五輪の今夏開催に反対している。
IOCが開催を強行したいのは「カネ」のため。
菅義偉氏が開催を強行したいのは「自分の政治生命」のため、
「国民の命」を犠牲にして「自分の政治生命」を優先する菅義偉氏は最低の首相。
その最低の首相に媚びを売るために、説得力のない開催強行擁護論を示す竹中平蔵氏は最低の論客。
完全に贔屓の引き倒し。
新型コロナ感染症対策分科会における専門家の役割は、
「政府の案に対して専門的な知見に基づいて意見すること」
「感染症について分析した結果をもとに感染予防策の案を出すこと」。
五輪開催は新型コロナ感染症の感染拡大に重大な影響を与えるイベント。
分科会の専門家が意見を提示することは越権でも何でもない。
菅内閣がコロナ感染抑制を政府の最重要課題に位置付けるなら、コロナ感染拡大下での五輪開催可否を慎重に検討するべきことは当然。
菅義偉氏自身が「五輪よりも国民の命が重要」と明言している。
五輪開催が国民の命に与える影響を十分に考察し、検討した上で、五輪開催可否を判断するのが当然の手順だ。
「『やる』と言ったからやるのが責任」という論理は幼稚園生以下のレベル。
菅義偉応援団がこのレベルであることは菅氏にとって大きな痛手だ。
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