2021年4月20日 (火)
東京五輪中止観測が株価急落主因
4月20日の東京市場で日経平均株価が前日比584円下落し、29100円になった。
株価急落の主因は米国による渡航禁止地域の大幅拡大である。
米国国務省は4月19日、新型コロナウイルス・パンデミックの持続を踏まえて、米国民向け海外渡航情報で最も高いレベル4の「渡航中止」の対象国を大幅に拡大すると発表した。
世界約200カ国のうち8割の国が対象になる見通し。
日本がこれに含まれることは確実だ。
このことが何を意味するか。
米国が東京五輪開催不能の判断を固めた可能性が高い。
東京五輪中止の可能性が一気に高まった。
これが株価急落の主因だ。
報道管制が敷かれていると見られる。
米国国務省の発表を東京五輪中止と結びつける報道が皆無に近い。
この不自然さが推察の信ぴょう性を引き上げている。
株価急落について、日本における緊急事態宣言再発出の恐れを原因として指摘する声もあるが、最大の懸念要因は東京五輪の中止である。
菅首相は訪米し、バイデン大統領から東響五輪開催に対する支持を取り付けようとした。
しかし、共同記者会見でバイデン大統領は東京五輪について一切触れなかった。
日米共同声明に盛り込まれた表現は
「今夏、安心・安全な大会を開催するための菅総理の努力を支持する」
であって
「東京五輪開催の支持」
ではない。
菅首相は、
「帰国会見で「バイデン大統領が五輪開催を支持した」と話したが、日本メディアは「開催ではなく『開催努力』を支持した」と訂正した」
と報じられている。
共同記者会見でロイター記者から
「公衆衛生の専門家から開催の準備ができていないという指摘がある。
無責任ではないか」
と質問されたが、菅首相はこの質問を無視した。
開催国の首相に対してメディアが質問し、これに対して誠意をもって答えるどころか、質問そのものを完全に無視。
致命的な失態である。
また、共同通信社の記者から
「大統領から、アメリカの選手団の派遣について、具体的な約束や前向きな意向は示されたのか」
と質問されたが、菅首相は、この質問に対しても回答しなかった。
米国が東京五輪に対して極めてネガティブな判断を有していることが推察される。
自民党の二階俊博幹事長が菅首相の訪米直前に東京五輪中止について言及したのは、米国の決断によって東京五輪が中止になる可能性が高まったことを受けて布石を打ったものと考えられる。
このなかで、日本国内の感染拡大が進行している。
4月20日の東京都新規陽性者数は711人になった。
1日の新規陽性者数が1000人を超えるのは時間の問題。
感染第4波が急拡大している主因は政策対応の誤り。
菅首相は3月21日に緊急事態宣言を強引に解除した。
大阪府は先行して3月1日に緊急事態宣言解除を強行した。
感染の中心が変異株に移行し始めていた。
3月末にかけて人流が急拡大する時期にさしかかっていた。
人流自体は2月中旬から明確に再拡大に転じていた。
3月こそ、感染拡大を抑止するために最大の力を注ぐべき時期だった。
この時期に感染抑制策を一気に緩めた。
その順当な結果として、現在の感染急拡大が生じている。
緊急事態宣言が再発出されれば東京五輪中止決定が確定的になる。
4月25日国政三選挙で菅政治に厳しいNOが突き付けられる可能性が高い。
菅内閣総辞職が秒読み態勢に移行したと判断できる。
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