「うそつき病」がはびこるアメリカ デービッド・カラハン著 小林由香里訳
この著書は、2004年(平成16)年8月25日に発行された本である。既に10数年過ぎている。がしかし、日本の現状はどうであろうか?
いまやアメリカでは、あらゆる人がうそつき、ズルをしている。罪悪感はほとんどない。理由はただ
「みんながやっているから」。そうしないと生き残れない、極端な競争社会になってしまったのだ。
この国のいたるところに蔓延する不正は、どんな将来を指し示しているのか。
公平さも誠実さもなくしてしまった。もうこの国では正直者は生き残れない。
弱肉強食社会の末路を描き出した注目の文化論としてアメリカを描いた著書であるが、
今や、日本も同じような現象が起きている。ということで著書のあらましを見ていきたい。
1、「みんながやっているから」
同時多発テロの混乱に乗じて、メリルリンチの花形アナリスト、普通の市民たち。
アメリカじゅういたるところで、モラル感覚が変わった、不正が急増した理由、
アメリカ社会は危機をむかえている、
2、欲得ずくの経済。
自動車修理工場、一流顧問弁護士事務所、医師たちのマルチ商法、アメリカ人は本当に豊かになったのか、
3、勝つためには手段を選ばない、
バナナリックの不公平、メジャーリーガーたちの闘い、ツール・ド・フランスの栄光、
でっちあげの記事、不公平が不信を生む、
4、人格の問題なのか
ワールドコムを破綻させた男、善悪の判断、個人主義と拝金主義、適者生存の法則
エンロンのルールー弱肉強食
5、誘惑の国、
モラルの低下なのか、会計監査の甘い汁、増え続ける脱税、政治家や知識人も金次第、
6、腐敗は大企業から、
おとなしい簿記係、普通の人びとの税金対策、勤め先から盗む、違法なダウンロード、
ズルをする人が成功する、
7、不正はスタートラインから、
名門高校はみんなズルしている、プロの「合格請負人」、大学に入っても、
8、犯罪が野放しに、
「厳格な父親」、ホワイトカラーの詐欺、なぜ取り締まれないのか、刑罰さも甘い、
懲りのない人びと、
9、ブラジル化しないために、
刑務所見学の効果、「幸福な生活」を問い直す、行過ぎた市場主義の終わり、
正直になろう。
アメリカ人読者一人の感想、「この現象に取り組んだ本はたくさんあるが、これほど憤り
と気迫、そして説得力があるものは他にない。」と評じている。
行過ぎた市場主義がもたらした、極端な競争社会が、アメリカの不正の文化、うそつき病がはびこっていることの警醒の著作である。 現在の日本もアメリカ、ナイスした、政治家、官僚、学者、大手会社経営者の進めているアメリカを手本とした市場主義、競争社会がやはり「うそつき病」がはびこる社会の様相を呈しつつあるようにも思える。政治における、小泉政権の進めていたアメリカ化の構造改革に反対するものを抵抗勢力と攻め立て、イラクの自衛隊派兵にしても国民にうその説明をして、アメリカの要求を正当化する等、憲法の解釈もあいまいにぼやかし、政治自らがうそで固めて進めていたことが、
今の安倍政権も引き次ぎ、アベノミクスとは名ばかりの、新自由主義経済、市場主義、競争至上主義、限度を超えた規制緩和、金融緩和政策、1%の大企業、富裕層、多国籍企業、投資家が先ずは潤えば、
そのおこぼれが、いずれは国民に行き渡れば良しとの、弱肉強食政策で格差の増大等が蔓延してきている。一人ひとりがよく考えていかなければならない。もっと真面目な社会にしていかなければ、犯罪が急増する。その一方、70年間平和で、戦争に加担することなく過ぎてきたが、それを憲法を政治権力が無視して、禁じられていた他国軍の支援のために、
自衛隊を派遣するように、法案を成立する等、また選挙時の自民党のポスターには「ウソつかない」「TPP断固反対」「ブレない」自民党というポスター公約を掲げて国民の支持を取り
つけて政権の座に就いたはずであるが、選挙が終わったとたんにまるでそれが噓の固まり
であって、「ウソのつき放題」「TPP断固推進」「ブレすぎ」となって、いまやTPPの加盟は大方
合意の段階に至っているのだが。
このような政治のありようはどうなっているのであろうか、国民国家は国家を収めていくうえで、その規範として憲法があり、それを国家が守り、また国民も守らなければならないはずである。がしかし安倍政権はそれを無視して、自らが勝手に憲法を改正することなく、、
政治権力が解釈を作り、変更し憲法で禁じている。集団的自衛権関連法制を、制度上国会の多数決で成立する。違憲行為を行っているのだが。これでは国民主権である。国民はたまったものではないのが明らかである。これが許されるとするならば、まさに専制独裁政治に他ならないことになってしまう。当然に国民の間から、安倍政治を許さない、安倍政権打倒という声が大きくなることは、必然のことなのである。
ここで、日本はアメリカの流れである。うそつき病からいち早く脱却し政治から噓のつかないことをの規範を国民に示して、まともなまじめな社会へと鍵を切るべきであろう。