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立憲国民院内会派は永田町既得権益連合か

2019年08月21日 09時40分59秒 | 政治

 

                                 

                     「植草一秀の『知られざる真実』」
                                  2019/08/21
            立憲国民院内会派は永田町既得権益連合か
            第2411号
   ウェブで読む:https://foomii.com/00050/2019082106000057618 ──────────────────────────────────── れいわ新選組やNHKから国民を守る党が議席と政党要件を確保したことにさ まざまな論議がある。
N国の立花孝志党首のアグレッシブな行動についても賛否両論がある。
これまでの永田町秩序から逸脱していることが批判の対象とされている面もあ るだろう。
しかし、そこに二つの新党の登場の意味がある点を見落とすべきでない。
永田町はこれまで「既得権益」の牙城であった。
そこに既得権と関わりのない、文字通り草の根勢力がわずかながらもポジショ ンを得た。
この意味が大きい。
特定の勢力が永田町権益を占拠し続けてきた。
日本の法制度は既存の政治勢力に極めて手厚く、市民政党に冷酷な面を有して きた。
選挙においても、政党要件を確保していなければ政党討論会にも出席すること すらできない。
テレビメディアも、市民政党の存在すら、ほとんど報じない。
既成の一定の勢力を有する政治組織しか国政に参入できない、巨大な参入障壁 が張り巡らされてきたと言える。
れいわ新選組とN国はこの防護壁を乗り越えて政党要件を獲得した。
その意味を軽視するべきでない。

これらの新勢力を政党という地位にまで登らせたのは主権者である。
その主権者の意思と行動を蔑(さげす)むことは民主主義そのものに対する冒 とく行為であると言わざるを得ない。
現在のNHKのあり方には重大な問題がある。
NHKが公共放送としての責務を果たしているなら、受信契約の強制も受診料 支払いの強制も正当化できる余地はある。
ところが、NHKの現状は「公共放送」のあるべき姿からかけ離れている。
最大の問題は、NHKという組織が法律の規定上、政治権力の支配下に置かれ てしまっていることにある。
政治権力はその気になれば、経営委員会委員の人事権を行使することによっ て、NHK会長、副会長、理事を恣意的に決定することができる。
NHKの業務運営は会長、副会長、理事によって構成される理事会の指揮下に 置かれている。
したがって、政治権力がNHKを実効支配し、NHKが公共放送の役割を果た さずに、ただひたすら御用放送を実施する機関になり果てることを否定できな い。
安倍内閣下のNHKはまさにこの状態にあると言える。
この状況が是正されない現状においては、NHK放送をスクランブル化し、N HKと受信契約を締結した者だけがNHKを受信できる「スクランブル化」= 「受信契約の任意制への移行」が正当性を有することになる。
NHK放送のスクランブル化を求めるとの主張には合理的根拠があり、この公 約を掲げたN国が政党要件を獲得したことについて、これを一方的に批判する ことは正当な論評とは言い難い。

日本国憲法前文は
「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、」
の書き出しで始まる。
国政を担う国会議員は、「正当に選挙された国会における代表者」であり、主 権者である国民を代表する存在である。
その国会議員を選出した主権者の意思を軽んじること、侮蔑することは正当で ない。
「れいわ新選組」が少なからぬ主権者の支持を集めたことは、特定の勢力に よって永田町、すなわち日本政治が支配されている現状に対して、多数の主権 者が不満を高めていることの表れでもある。
政治は本来主権者国民のものである。
その政治が主権者国民の手元から切り離されて、エリートを自任する勢力に完 全に支配されている状況は、本来の民主主義のあり方から外れている。
米国でトランプ大統領が誕生した背景にも、ワシントンのエスタブリッシュメ ントによる米国政治支配に対する米国民の強い不満があった。
批判は、自公の与党勢力だけに向けられたものではない。
野党勢力もひたすら自分自身の身分の安泰だけを優先する議員に占有されてし まっている傾向を有し、本当の主権者である国民の意思に積極的に寄り添う姿 勢を示してこなかった。
「れいわ新選組」は、これまで吸い上げられることのなかった、本当の意味の 草の根市民の声に積極的に耳を傾けようとしている。
それが大きな支持のうねりを生み出す背景になっている。
永田町から市民が主権を取り戻す。
この意識が日本政治を変革させる大きなうねりになる可能性が高まりつつあ る。

立憲民主党は政策を基軸に、本当の意味の革新勢力の結集を目指すべきだっ た。
主権者にとって大事なのは政策であって政党ではない。
政策を実現することが目的であって、どの党が政権を獲るとか獲らないとかと いう話に、主権者は関心を持たない。
政党が主権者の意思に寄り添うことを重視するなら、このことを明確に意識す るはずだ。
立憲民主と国民民主に分離、分裂したのは、政策路線の相違によるものではな かったのか。
この意味での旧民進党の分離、分裂には、大いなる意味があった。
ところが、その立憲民主と国民民主が国会で統一会派を編成するという。
れいわ新選組の台頭に既得権勢力が危機感を持ち、既得権勢力連合を構築する ということなのだろう。
しかし、その行動は本末転倒だ。
既得権勢力が既得権を死守するために結託するものにしか見えない。

かつての民主党、民進党は「革新勢力」と「守旧勢力」の寄り合い所帯だっ た。
鳩山内閣は明確に日本政治刷新の基本路線を示したが、これを妨害する勢力が 民主党内に潜んでいた。
鳩山内閣は、民主党内に潜んでいた守旧勢力によって、政権の内部から破壊さ れたのだ。
普天間の県外、国外移設に反対する勢力が存在した。
「シロアリ退治なき消費税増税阻止」に反対する勢力がいた。
企業団体献金の全面禁止に反対する勢力がいた。
この「守旧勢力」が鳩山内閣を破壊し、自公傀儡政権の「菅直人内閣」と「野 田佳彦内閣」を創設し、民主党に対する主権者支持を完全に失わせたのだ。
民主党、民進党を再生させるには、この政党を「革新勢力」と「守旧勢力」に 分離、分割するしかない。
私はこのことを主張し続けた。

2017年10月総選挙に際して、図らずも旧民進党の分離・分割が実現し た。
ようやく、旧民主党の「守旧勢力」と「革新勢力」の分離、分割が始動したの である。
この分離、分割を完遂し、広く「革新勢力」の結集を図ることこそ、立憲民主 党に課せられた責務である。
重要なことは政策公約を明確にすることだ。
消費税減税の公約を明示すること。
最低賃金全国一律1500円を実現すること。
原発の稼働を即時ゼロにすること。
この三つの公約を明示して、政策を基軸に大きな連帯を形成することが求めら れている。

立憲民主、共産党、れいわ、社民党が明確な政策公約の下に結集すれば、次の 衆院総選挙によって政権を奪取することも不可能ではなくなるはずだ。
この路線を明確に示すべきだった。
ところが、既得権益の死守を優先する立憲民主党は既得権勢力同志の再結集に 突き進んでしまったのだ。
立憲民主と国民民主が政策公約を明確化して合意したのであれば野党勢力の結 集も可能になるが、政策を曖昧にしたままで、単なる「数の論理」を追求した のなら、主権者はこの勢力を支持しないだろう。

立憲民主と国民民主が元の木阿弥旧態依然民主党に回帰しようというなら、れ いわ新選組は重大な決意をもって対応するべきだ。
共産党、社民党と連携し、衆院の289全選挙区に、独自の統一候補を擁立す るべきだろう。
革新と守旧が入り混じるあいまい政治勢力と連携するよりも、革新勢力として の旗幟を鮮明にして、フレッシュな候補者を擁立して、主権者の審判を仰ぐこ とが適正であると考える。
このとき、存亡の機に立たされるのは、立憲民主と国民民主の永田町野党既得 権益連合ということになる。
主権者国民は与党の既得権勢力だけでなく、野党の既得権勢力に対しても極め て厳しい視線を送っている。
枝野幸男氏も玉木雄一郎氏も、この点を十分に理解できていないのではない か。
政治は主権者国民のためのものだ。
政治を自己利益を実現するための道具にしてしまう勢力は、与党であれ野党で あれ、主権者国民から完全に見放されることになるだろう。


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1 コメント

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Unknown (kakaa)
2019-08-21 11:06:34
N国の立花が安倍の忖度を受けていたことをどう説明するのでしょう?

それを抜きにして単にスクランブルだけで評価すること自体、無理があります。

そういった事を表に出したうえで評価をするべきです。
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