「植草一秀の『知られざる真実』」
2015/01/29
ストップ安倍政権!で民主主義を取り戻す
第1067号
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本日、1月29日(木)午後6時から、大阪市中央公会堂(大阪市中区中之島)に
おいて、
「 これでいいのか日本! 」
全国縦断シンポジウム・第6回
が開催される。
主催は、村上正邦元参議院自民党議員会長が代表を務める
一般社団法人「躍進日本!春風の会」
で、入場無料である。
以下に開催要項を転載するので、多くの市民の皆様のご参加をお願いしたい。
日 時:1月29日(木)午後6時~8時(5時開場)
場 所:大阪市中央公会堂(中之島公会堂)
大阪市北区中之島1-1-27
TEL:06-6208-2002
http://osaka-chuokokaido.jp/access/index.html
主催者:一般社団法人「躍進日本!春風の会」
〔代表 村上正邦(元参議院自民党議員会長)〕
発言者:佐々木実(ジャーナリスト)
武村正義(元官房長官)
森田 実(政治評論家)
植草一秀(経済評論家)
司 会:南丘喜八郎(「月刊日本」主幹)
間際での告知になってしまい、誠に申し訳なく存じるが、日本の行く末を憂う
主権者が参集し、事態を打開する方策を皆で考えたい。
シンポジウム案内チラシには、次のように記述されている。
「小泉・竹中路線と呼ばれる米国主導の新自由主義経済政策が過度に進められ
た結果、所得格差が増大し、国民の心の拠り所である故郷が荒廃しつつありま
す。
このままでは健全な国民精神が経済至上主義に蝕まれ、瑞穂の国・日本の根幹
が揺るぎかねません。
今こそ、経済・金銭より大切な価値に目を向ける必要があります。
それは、歴史・文化・伝統という目に見えないものであり、
国民一人ひとりが、この国に生まれてよかったといえる国づくりです。
・・・
これまでの経済至上主義を大胆に転換することが、
戦後七〇年という節目の年の大きな課題ではないでしょうか。」
元農水省の官僚で現在は東大教授を務める鈴木宣弘氏は、著書
『食の戦争 米国の罠に落ちる日本』(文春新書)
http://goo.gl/wxTNAq
の冒頭で、
「今だけ、金だけ、自分だけ」
のフレーズを紹介する。
鈴木宣弘氏は、TPPが日本の主権者にとって、百害あって一利なしである現
実を強く訴える。
TPPの問題は多岐にわたっており、しかも、その交渉内容が秘匿されている
ために、一般にその害悪が十分に理解されていないが、恐るべき内容が盛り込
まれているものだ。
現在、元農水相である山田正彦元衆院議員、元日本医師会会長の原中勝征氏、
弁護士の岩月浩二氏などが中心となって、
「TPP交渉差止・違憲訴訟の会」
を創設し、広く市民の参画を呼び掛けている。
http://tpphantai.com/join/
TPPこそ、新自由主義、ハゲタカ・シロアリ・ハイエナ連合の究極の謀略で
ある。
日本がひとたびこの蟻地獄に引きずり込まれると、そこから抜け出すことが非
常に難しくなる。
だからこそ、その内容を国民に知らせることもなく、秘密裏に交渉を進めてい
るのである。
新自由主義の跳梁跋扈と、今回の人質事件とは無関係でない。
安倍晋三氏が日本の軍拡、戦争への突進を推進する最大の背景は、グローバル
強欲資本の指令にある。
グローバル強欲資本は、資本の自己増殖のことしか考えていない。
資本の自己増殖のためには市場の拡大が必要不可欠であり、そのために、日本
市場の収奪が目指されているのであり、また、戦争と紛争の創作が実行されて
いる。
安倍首相は邦人がイスラム国によって拘束されている状況のなかで、あえて、
イスラム国を空爆によって壊滅することを支持する声明を発表するとともに、
イスラム国と闘う国に2億ドルの資金支援をすることを、イスラム国の宿敵で
あるイスラエルで宣言した。
安倍首相がイスラム国に宣戦布告を行なったのであり、その延長上に邦人殺害
危機が発生した。
この事件をテコに、日本の軍拡が推進されることは間違いない。
また、集団的自衛権行使容認という違憲行為がゴリ押しされてゆくことにな
る。
こうした憲法破壊行為、民主主義の破壊を、私たち日本の主権者は許してはな
らないのである。
シンポジウムに一人でも多くの市民が参加して、重大な問題に対する考察を深
めてゆきたいと思う。
いま、私たちの目の前には、この国の行く末を左右する重大問題がいくつも立
ちはだかっている。
原発、憲法、消費税、TPP、基地、格差
の各問題だ。
これらの重大問題について、主権者が十分に論議して結論を導き、その結論に
沿って国政が運営されるべきことは言うまでもない。
日本は主権在民、民主主義の国家であるから、これらの重大問題については、
主権者の多数意見に沿って政策が実行される必要がある。
各種世論調査などで、これらの重大問題に対する主権者の意思が示されてい
る。
原発を再稼働させるべきでない。
憲法の規定に反する集団的自衛権の行使を容認するべきでない。
消費税増税を実行するべきでない。
日本はTPPに参加するべきでない。
辺野古に米軍基地を建設するべきでない。
格差拡大を推進するのではなく、格差是正に努めるべきだ。
これが、日本の主権者の多数意見である。
ところが、安倍政権は、この六大問題について、すべて真逆の方向に政策を推
進している。
これでは、民主主義が実態として破壊されていると言わざるを得ない。
現在の日本政治最大の問題は、
「民意と国会議席構成のねじれ」
にある。
主権者の意思の分布と、国会議席の分布がねじれているのだ。
「衆参ねじれ」よりもはるかに筋が悪い。
「衆参ねじれ」は民意の反映である。
主権者が衆議院の多数勢力と参議院の多数勢力を意図的にねじれさせているの
が衆参のねじれだ。
「衆参ねじれ」によって、政権は暴走しにくくなる。
これは、主権者が意図して創出させている、政治の「安全装置」なのである。
「衆参ねじれ」には大きな効用がある。
ところが、現在の政治状況においては、
「民意と国会議席構成のねじれ」
が深刻な状況になっている。
昨年12月の総選挙で、安倍政権与党が獲得した得票(比例代表)は、全有権者
の24.7%に過ぎなかった。
安倍政権に対峙する野党が獲得した得票は全有権者の28.0%だった。
ところが、この、主権者の24.7%の得票しか得ていない安倍政権与党が、
衆議院475議席の68.4%にあたる325議席を占有した。
安倍首相は、この国会多数議席を背景に、主権者の意思に反する政策を強硬に
推し進めている。
これを政治の暴走と呼ぶ。
日本の政治制度には重大な欠陥がある。
それは、権力の集中を招きかねない仕組みが内在していることである。
内閣総理大臣に見識と良識があれば、政治の暴走は回避される。
権力者が権力行使の怖さ、危険を熟知し、権力の行使に対して、常に、謙虚で
慎重な姿勢を保てば、政治権力の暴走は防がれる。
しかし、権力者が民主主義の真髄を理解せず、権力を私物化して、謙虚さと慎
重さを失えば、政治権力は恐るべき暴走を始めることになる。
日本の政治制度は、権力を過度に内閣総理大臣に集中させすぎている。
とりわけ問題が深刻であるのは、司法権力とメディアに対する内閣総理大臣の
権限が大きすぎることだ。
司法編力に対する支配力は憲法に内在している。
裁判所裁判官の人事権が、最終的に内閣総理大臣に付与されているのだ。
この運用が適正に行われなければ、行政権力の長である内閣総理大臣は司法を
支配することが可能になる。
また、放送法の規定は、NHKが政治権力の支配下に置かれることを可能にす
る内容を包含している。
メディア私物化を意図する内閣総理大臣が放送法の規定を悪用すれば、NHK
を完全な御用報道機関に堕落させることが可能になる。
残念ながら、安倍首相にこれらの事項が当てはまる。
日本の民主主義を守るために、私たち主権者は、連帯して安倍政権にブレーキ
をかけて、これをストップさせてゆく必要がある。
2月20日(金)の夕刻には、東京でストップ安倍政権を目指す集会が開催され
る見通しである。
詳細については、改めて告知したいが、日本政治の危機を打開できる力を持つ
のは、日本の主権者であることを、改めてしっかりと認識しておきたい。