【いくつになってもアン気分】

 大好きなアンのように瑞々しい感性を持ち、心豊かな毎日を送れたら・・。
そんな願いを込めて日々の暮らしを綴ります。

だから好き! 花の恵み

2012-03-20 15:45:15 | 『カフェ「薔薇の詩(ポエム)」』編





こうして自分の部屋に1人でいるのが
私は好きだ。
ねずみたちも楽しく過ごしていると思うと嬉しくなる。
又私の小さな所有物からも
非常な喜びを感じる。
これらの物は他の誰にも何の意味も成さない
のに私には特別の意味を持っている。
(中略)
ここで本を読み ―― ここで夢想に耽り ――
窓辺に座って空想を詩に
形作って行くのが好きだ。                
                 【「エミリーはのぼる」 第16章】


   思わず身も縮むような寒い朝を迎えました。
  昨日とは4度も低い起き抜けの気温です。でも、その空は・・。

   明らかにくっきり、はっきりした冬の空とは違います。
  ボ~ッと霞の掛かったような、ぼんやりした空。

   空は確実に春になっています。
  そして私のブログから朝の空が姿を消す季節です。
  今日も日中は、大層暖かくなりました。

     さて、昨日の引用文ではありませんが、
    エミリー に倣(なら)って絵を玄関から居間に
    移動させたり、はたまた画架にそのまま立て掛けて
    いたものを壁に掛けたり、ちょっとした作業。

     今日は、その居間に置いた絵を
    眺めながらの・・お茶と致しましょう。

   もう10日以上経ちましたね。
  『カフェ「薔薇の詩(ポエム)」』、開店です。

   そうそう、エミリーは気に入らない
  絵は裏返しにしたものですが、
  私も、ちょっとした細工を。

   実はこの絵、頂き物なのですが、
  葉っぱ緑、花は黄色と・・
  眼にも鮮やかな原色オンパレード
  の絵だったのです。

   アンティーク好きな私は・・
  上から焦げ茶色の絵の具を塗ると
  いう、大胆な冒険を試みる事に。

   今となっては最初の絵が、
  どんな絵だったのか記憶も
  定かではありませんが、早まった
  事をしてしまったものです。

   原色だって、飾る場所に
  よっては思わぬ効果を上げる事は、
  【先日】 の赤い絵で実証済みですものね。

   今日のカップは、今が盛りの三色菫を。
  以前に紹介済みとは思うのですが、
  多分、水色の方だと思いますので。

   こんなピンクの花柄のカップは、心まで浮き々しますね。
  そして今日はバス用のキャンドルを水を入れた硝子のお皿に浮かべ、
  もう萎れかかった三色菫の花びらも一緒に。

   最近は薔薇以外はポプリにするのはやめましたので、
  花びらが余って? 仕方ありません。

   でも萎れかけた花びらだって水に浮かべると、こんなに生き生き。
  ただ色合わせがいい加減ですが、そこは無視を。   

職人技が咲かせる花

2012-03-19 18:18:00 | 趣味の器(壺)~その他

【九谷焼】


【銅の壺】


【九谷焼】


この部屋で1番嫌なのは だ――
何とも腹の立つような着色石版画である。
いつか全部壁の方へ裏返して
しまった事があった。
すると勿論ルースおばさんは入って来て――
おばさんは決して戸をノックしない。
「エムリー、なぜ をいじくったの」
                【「エミリーはのぼる」 第7章】


   こちらは、やっと日射しが戻りました。
  “朝から太陽” も久し振りの気分です。となりますと・・。

   庭の 「匂い菫」、ここに来て一気に増えた気がします。
  こんな時思うのは、よりにもよって1番寒い時に、
  他に先駆けて、たった1輪だけ咲いた菫。

   今なら仲間と一緒に楽しいでしょうに。
  1輪だけの先見隊だったのかも知れませんね。




   今、私は部屋の模様替え・・
  整理をせっせとしています。

   今日の引用文の如く、
  気に入らない絵を掛け替えたり、
  壺を移動したり。処分したり。

   遅ればせながら、
  「断舎離」 を実行しようかと。

   でも、“あら、こんな物が・・
  あんなものが・・” と物珍しく
  一向に捗(はかど)りません。

   壺も土物(無地)がほとんどと
  思っていたものですが、絵付けの
  物も結構、あるではありませんか・・。

   白薔薇や椿は別カテゴリーの
  背景で、さり気なく? 
  登場済みですが、もう1度。

   おまけに今年の干支、
  辰年に因んだ、龍の絵付けの壺も。

   思いの外、九谷焼が多くてびっくりしているのですが、
  この 「九谷焼」、今ピンチなのだそうですね。

   九谷焼の原料となる陶石の鉱脈が枯渇の危機を迎えているのだとか。
  現在の九谷焼の生産量は、最盛期だった1970年代の1割程度と言います。

   それでなくても日本の焼物の窯元自体が(売れなくて)
  軒並みピンチだと言いますのに。(関連記事は 【こちら】

   日本の文化の危機。
  せいぜい料理を作り、器に盛って食文化を楽しみましょう。
  ~なんて。「断捨離」 と矛盾していますね。どうしましょう・・?

はんなり菫の香り

2012-03-18 15:18:58 | 香る庭の花綴り





・・・憤慨し傷つけられた思いで家に帰った。
しかし東屋あずまやの段々に座り、
ジミーさんが育てた大輪の紫色の
三色菫 をじっと見つめて5分もしたら、
腹立たしさがすっかり消えてしまった。
誰でもほんのしばら三色菫 を眺めていれば、
怒っていられなくなる。
                【「エミリーはのぼる」 第2章】


   雨こそ降っていませんが、すっきりしない天気になっています。
  今日も暖かくなりました。そんな中・・。

   春ですね、勢い良くツンツンと新芽を伸ばしているのは、
  薔薇、チューリップ、ヒヤシンスなど。

   殊(こと)にこの秋、挿木したばかりの薔薇(白い貴婦人)が、
  意外にも元気が良いので、嬉しい悲鳴を上げています。

   ただ先週、苗木で届いたリラの樹は、
  全くそのままの状態で鎮座しています。

   何と言ってもリラの樹には振られっ放しですもの。
  振られても追いかけるのが人間の常のようで・・
  典型的な片想い。何だか情けなくなりますが、仕方ありません。






   さて、“ちょっと頭を ヒヤシンス ”、“ちょっとおかずが アマリリス
   ~ならぬ、ブログネタに、“困った時の 三色菫 ”・・?
  今日も菫を取り上げます。

   私は、パンジーより 「三色菫」 の呼び名が好き。
  そして綴り方。薔薇は断然漢字ですが、菫は漢字、平仮名共にいいですね。

   どちらかと言えば、この菫こそ、平仮名だと思うのですが、
  最近の平仮名偏重主義に少々、嫌気がさしていますので漢字を。

    菫こそ、とんだ、とばっちりを
  受けて可哀想ですけれど。

   ところで三色菫って、
  見方によっては、人の顔に
  見えるものですから面白くて。

   「不思議の国のアリス」 では、
  ディズニーがこの三色菫を見事に
  擬人化していますものね。

   今日の引用文ではありませんが、
  見つめていると確かに癒やされます。

   おまけに香りにも。
  この三色菫、探せば香り付きの
  ものも結構ありますものね。

   苗の場合、必ず香りを嗅いで、
  香り付きのものを求めるように
  しています。

   傍(はた)から見ますと、
  ちょっと変な人・・でしょうけれど。

和とモダンの空間

2012-03-17 17:58:58 | 心の宝石箱





様々な安っぽい装飾をごたごた付けたこの家は
何と醜いのだろうとエミリーは思った。
しかし屋根や張出し窓の上に白い木製の
レース飾りを付けた家はシューズベリーでは
優雅の最たるものだった。      
                 【「エミリーはのぼる」 第6章】


   天気予報通り、今日は雨となりました。
  ごく弱い雨が降ったりやんだり。そして暖かい雨。

   そう言えば、先週も雨ではなかったかしら・・?
  この所、週末になると雨になっています。
  でも重い空ながら、雨はやっと上がったようです。
  






   さて、相も変わらず私は、どっぷりと吉屋信子の世界に浸っています。
  今は、「地の果まで」 を読んでいるのですが、
  4年前の 『花時間』 という雑誌に吉屋信子邸の写真を見つけました。

   丁度、「薔薇の特集」(750種の薔薇図鑑) をやっていて、
  買い求めたのですが、当時は全く興味がなくて。

   そんな写真が掲載されていた事すら記憶にありません。
  <名建築と花を訪ねて~第10回> とあります。

   建築は吉田五十八(いそや)氏。1961年(昭和36年)の事。
  注文は “尼寺のような家を”、僅かこれだけだったと言います。

   77歳でお亡くなりになるまでここにお住まいになられたのですね。
  所謂(いわゆる)、「終(つい)の棲家(すみか)」 として選んだ場所は、鎌倉。
  今は記念館となっているそうです。

   道理で女史の小説には鎌倉が頻繁に登場します。
  お好きだったのでしょうね。例えば、こんな風に。

   それにしても、ふと発した言葉が仏蘭西語の詩の1行の如く・・
  ~なんて。女性冥利に尽きると言いますか・・。


「まあ! 鎌倉 ではもう落椿!」
雅子は歩みを留めて美しくぱっと見開いた眼差し
を崖の上に ―― そこには紅椿の大木が紅濃き
花の数々に枝もたわむばかりだった。
―― まあ! 鎌倉ではもう落椿! ――
宗吉はこの娘の感動を含んだ声を、
仏蘭西フランス語の詩の1行の如く 耳に受けたのである。
「僕の家の庭にも咲いていますよ」
宗吉はこう言いながら、自分の言葉なぞは、
何と無味乾燥なものかと、ひるんだ。                       
                      【吉屋信子著 「花鳥」】


   ところで吉屋邸は、“尼寺のような家を” と言うだけあって、
  さすがにスッキリしていますね。思わず背筋、ピン。

   翻(ひるがえ)って。
  引用文の “安っぽい装飾をごたごた・・” は我家です。
  寛げるのはいいのですけれど、程度ものですね。

恋せよ乙女~「空の彼方へ」

2012-03-16 15:52:55 | 心の宝石箱












「お姉様、エルマンてヴァイオリンで偉い?」
「えゝ、そうよ、日本へも来た人でしょ」
「そう、お邸の蓄音器のレコードに
エルマンて人の奏いた、
アヴェ・マリアってのがあるでしょう。・・・」
(中略)
「でも私上手になったら真っ先にアヴェマリアの
曲を奏けるように練習するつもり。
だってお姉様の1番お好きな曲ですもの。
私他の曲よりも、それが1番上手になりたいの」
無邪気にも一生懸命の望みをめて言う
妹の言葉に初子は、瞬間ふっと涙を感じた。     
                 【吉屋信子著 「空の彼方へ」】


   





   今朝は、かなり冷えましたが、日中は暖かくなりました。
  今の季節は日射しがあるのとないのとでは大違い。
  あるとぽっかぽか。一気に春の様相です。

   ただ、お天気は下り坂との事。
  「春に3日の晴れなし」 とは良く言ったものですね。

   ところで、こちらは今、梅が盛りです。
  お隣の枝垂れ白梅も、散り始めているのもあって。
  その白い小さな花びらが、まるで雪のように我家にもひらひら。










   




   私は、今日も吉屋信子ですが、いつも穴蔵では能がありませんね。
  今日は穴蔵を出て、梅と鶯と一緒です。
  ~なんて。勿論、本物ではありませんけれど。大きな扇子です。

   そして改めて写真で見ますと、折目が汚ないこと!
  (ずっと折り畳んでいました)
  肉眼ではそんなにも思わなかったのですが・・。

   こすれば剥げてしまうので、どう仕様もありません。
  汚れは無視して。ちょっとした移動カフェです。

   本題に入りましょう。
  一昨日に引き続き、吉屋信子著 「空の彼方へ」。

   この小説の書かれた時期は、昭和2年から3年、
  雑誌 「主婦の友」 に連載されたようです。
  「恋愛編」、「受難編」、「復活編」 の3部作から成る長編です。

   主人公の初子は、美しい三人姉妹の長女。
  小学校の教師をしています。

   身体の弱い母親を助け、(骨董商を幅広く営んでいた父親は
  既に死亡。母親は、上記のお邸の家政婦)精一杯、頑張っています。

   そうそう、今日の引用文にも登場の、
  ヴァイオリンを習っているのは、三女の末子。盲目の美少女です。

   この時代の女性の常なのでしょうか、
  長女の責任感と言いますか・・使命感には相当なものがありますね。

   おまけに今となっては初子の事を1番愛していたと思うのですが、
  お邸の三男、茂との恋愛。

   甘やかされて育った事もあり、茂はあっちにフラフラ、
  こっちにフラフラ。 おまけに茂と次女仲子との結婚に至っては・・。

   自分の恋を諦め、仲子を応援する側にまわるのです。
  茂にしてみれば、もののはずみで口にした結婚でしたのに。
  そして起こった関東大震災。

   自分は安全な所にいたのに、盲目の妹を案じ、
  妹を助けようと家に引き返したために震災の犠牲に。(妹は既に避難)
  どこまで薄幸な女性なのでしょう。涙なくしては読めない小説です。

   それにしても初子の恋人、茂。あまりにものいい加減さに腹が立ちます。
  ちょっと 「男の償い」 の滋にも似て。
  偶然にも漢字こそ違え、同じ 「シゲル」 ですものね。

   ところで今、読んでいるこれらの本。
  母の蔵書だった物ですが、昭和50年出版(朝日新聞社)なのに定価2500円。
  2700円のもあります。今より余程、高いではありませんか・・。

シックな大人顔

2012-03-15 19:10:08 | 趣味の器(壺)~その他











太陽が所在を明らかにしたのは・・・(中略)
地平を覆う薄墨色の雲の隙間すきまから、
丁度第二の鉄塔の辺りに、洋紅色 の、
夕日 のようなメランコリックな日の出が
瞥見べっけんされたのである。
     【三島由紀夫著 「天人五衰」~「豊饒の海」 第4巻】













   早朝こそ、こんな夕日のような・・
  今日こそ、洋紅色の太陽と形容した、
  三島由紀夫の小説さながらの
  日の出となりました。

   尤も、その太陽は笠を被り、
  その笠こそ洋紅色。

   そして薄墨色の空ではなく薄紫色。
  こんな空があるのですね。

   笠を被った太陽にも関わらず、
  日中は、大層良いお天気に。
  そして暖かくなりました。

   そう言えば現金なのが鉢植えの 「三色すみれ」 や 「ヴィオラ」 たち。
  寒い冬の間は、小さく縮こまっていたものが、
  ここに来て大きく膨らんで来て。

   どうやら “春” のスイッチが入ったようです。
  勿論、甘い香りの 「匂い菫」 も続々開花。

   さて、本題の今日の写真は、ズラリ並んだ小さな器たち。(1、2枚目)
  1輪挿しあり、ぐい呑みあり様々です。(棚のマーガレットの絵は自筆)

   焼物も九谷、立杭、萩・・はたまた洋物も。
  メキシコとスペインだったかしら・・?

   好きで集めた物ですが、最近、少々扱いに困っています。
  小さい物ですので、箱に入れてしまって置けばかさばらないのですが、
  それもつまらなくて。

   出せば出したで、ごちゃごちゃと並んでサマになりません。
  写真のような棚があればいいのですが、この2つのみ。

   でも素朴な器は、野の花なども似合いそうですね。
  そのままでもいいですが、頑張って使う事に致しましょう。
  小さいのに、シックな大人顔をしている器たちに敬意を表して。

乙女の祈り~「花鳥」

2012-03-14 17:02:17 | 心の宝石箱







『吟行』
吟詠しつゝ歩行、または旅行すること
                  ―― 辞苑 ――
雅子は、東京駅の横須賀線の歩廊プラットホームで、
二等車の位置前の列の
かなり後の方に立っていた。
電車は遅れていて、
まだ横須賀行きは姿も見せない。
雅子のすぐ前に立つ、お揃いに毛皮を
襟に付けた外套がいとう姉妹きょうだい連れらしいのの、
妹が姉に言ったりしている。

「お兄様がもうじき海軍少尉だなんて
嘘みたいで、おかしいわね」
(中略)
「そうよ。
でもどうせ海軍にお入りになるんだったら、
一高より初めから江田島へ入ってらしった
方が、良かったと思うわ」
                   【吉屋信子著 「花鳥」】


   
   

   こちらは雲、一つない空となりました。快晴。
  今日も冷たい朝ではありましたが、こんな空は陶器の青みにも似て。

   又々、吉屋信子の言葉から。
  これ以上の言葉を知らないものですから、仕方ありません。
  ただ日中は随分、暖かくなりました。







   さて、連日のように、
  お伝えしている吉屋信子。

   昨日の今日ですのに・・
  再び穴蔵生活? に逆戻りです。
  
   あれから 「花鳥」 を読み、
  昨夜は・・いいえ、もう今朝ですね。

   午前3時頃まで今度は、
  「空の彼方へ」 を読んでいました。
  一気に読了。

   「花鳥」 は昭和22年、
  「空の彼方へ」 に至っては、
  ぐぐっと遡って昭和3年の作品です。

   もう口癖になってしまいましたが、
  女史の作品は文章が流れるように
  美しいものですから、嫌味がなく、
  す~~っと心の中に入って来ます。

   魂まで・・と言っても
  過言ではありません。決して大袈裟ではなく。

   先ずは 「花鳥」 から。
  作品が書かれたのは前述のように戦後すぐですが、
  時代背景は戦時中になります。

   そんな中でも俳句を詠み、疎開先なども元々別荘のある、
  軽井沢や鎌倉など、経済的には恵まれた家庭が描かれています。

   今日の引用文は、その小説の巻頭部分。
  即座に時代背景が分かりますね。

   それにしても主人公の雅子。
  この名前は、「安宅家の人々」 に続いて2人目。

   女史は、この名前がお好きだったのかも知れませんね。
  現妃殿下のお名前もそうですが、優雅で素敵な名前ですものね。

   本題に入ります。
  「花鳥」というタイトルからも想像出来ますように、
  花や鳥を謳った俳句小説です。

   従って戦時中ながら日本の美しい四季が、
  あちこちに散りばめられていて、それだけでも郷愁を誘われます。

   いいえ、戦時中だからこそ、
  変わらぬ四季に人々は心を揺すぶられるのかも知れません。

   私達は丁度1年前に戦争ではないけれど、地震、津波という
  未曽有の大災害で自然の怖さを嫌と言うほど思い知らされましたものね。
  同時にその自然に感謝した事も多々あります。

   この小説は、非日常的な戦争に美しい四季を織り交ぜながら、
  これ又、美しい恋愛が描かれています。
  それも片想い(純愛)の連鎖・・と言ったような。

   どんな過酷な状況でも志と言いますか・・
  精神性を高く持てば、こんなにも凛々しく生きられるのだというそんな作品。

   そう言えば、「空の彼方へ」 は関東大震災が登場しています。
  それにしても、これら本の凄さ。

   およそ80年経った今でも古さを全く感じません。
  長くなりました。次回に続きます。




 
 


     ☆きたあかり様
    ご丁寧にメール、有り難うございました。
    あれから返信させて頂いたのですが、
    どういう訳か戻って参りました。

     ご要望通り、ブックマーク、削除させて頂きました。
    毎日のように更新されていた、北の国の美しい写真が
    これから拝見出来ないのは残念ですが、仕方ありません。
    こちらこそ、有り難うございました。どうぞ、お元気で!!
             

ひと時の花紀行

2012-03-13 15:55:05 | ハーブと香り雑学







「綺麗? あら、綺麗なんてのは
あれにぴったりする言葉じゃないわ。
美しい、でもいけないし、
どっちも言い足りないわ。
ああ、素晴らしかったわ ―― 素晴らしかったわ。
想像を付け足す事の出来ないものなんて、
これが初めてよ。
ここの所が、すうっとしたわ」
―― と片手を胸に当てて ――
「変にずきりとするようで、
いやな気持ちじゃない痛みなのよ。
そんな痛みを感じた事があって? 小父さん」                
                    【「赤毛のアン」 第1章】


   

   今日も昨日に続き、寒い1日となりました。
  太陽は出ているものの、冬の空の様相です。

   雲の間からカ~ッと顔を覗かせたかと思うと、
  白い雲ならぬ、黒い雲に覆われる・・。
  
   かと思えば、その雲はどこかに行き去り、今度は抜けるような青空。
  今日などは、そんな空を見ているだけで飽きません。










   


   さて、最近の私が吉屋信子の世界に、どっぷり浸っていることは、
  ここに立ち寄って下さった方々には、もうお分かりの事と思います。

   あの世界に入り込みますと、
  ついついセピア色の空間に身を置きたくなる私。
  それは、ともすれば昼でも暗い穴蔵的雰囲気にも。

   でも今日ばかりは、そこから抜け出す事に。
  寒いとは言え、もう3月。

   外に気持ちを向けなければ・・。
  それには “旅” が1番ですものね。

   と言っても電車や飛行機を使って出掛ける事だけが
  “旅” ではありません。
  いつもと少しだけ違うものに出会うのも “旅” でしょう。

   長くても短くても、遠くても近くても・・
  日常からほんの少し離れる・・心を遊ばせるのも “旅”。

   そんな今日は、こんな雑誌を取り出しました。
  憧れのイギリスを旅した時の、
  夢見る時を確実に思い出させてくれる雑誌。

   大袈裟でも何でもなく、薔薇の芳香にクラクラして、
  その場所から立ち去りたくなかった事が、昨日のように思い出されます。

   そして特筆すべきはイギリスのインテリア。
  所狭しと並べられた額や陶器の数々・・。

   憧れたものですが、地震のないイギリスだからこそのものですね。
  それに反し、地震の活動期に入ったと言われている日本。

   我家も例に洩れず、凶器ともなり兼ねません。
  好きで集めた硝子や壺・・。思い出も重なります。
  どうしようかと今、真剣に悩んでいます。

交錯する人生行路~「女の教室」

2012-03-12 15:16:15 | 心の宝石箱







今、ノートの上に眼を、上の空で落としつつ、
吐息を、ほっと、漏らさずには、いられない。
その万千子の耳に ―― ふと響いて来る ――
レコードの音 ・・・・・
(嫌だ、まだあれかけたりして・・・)
万千子は、怨むように、美しく微笑んだ。
ショパン作曲の「黒鍵」は、
万千子の好きなピアノの練習曲だった。
そのレコードを、恵之助が鳴らす時は ――
(夕方散歩で会いましょう)
という合図だったので・・・。
                 【吉屋信子著 「女の教室」】


   

   こちらは又々、冬に逆戻りです。
  昨日の日中は良いお天気で、本当に春を感じていましたのに、
  夕方、パラッと来てから急に。

   そのせいか、休む前に眺めたお月様の美しかったこと!
  つい3日前(8日)が満月だったのですね。





  
   

   さて、吉屋信子著 「女の教室」 読了。昭和14年の作品です。
  彼女の作品は、これで4作目になりました。

   引き続き 「花鳥」 に入ったのですが、
  こんな本ですと、どうしてもセピア色の雰囲気に浸りたくなります。
  おまけに今日は寒いので仮想暖炉を・・。~なんて。

   この本も相変わらずの音読なのですが、
  流れ出る泉のような美しい言の葉に、読みながら癒やされます。
  心地良いのですね。

   声に出して読む事で自分がこの時代の良家の子女にでもなった気分。
  それにしてもアン気分になったり・・今度は戦前の子女・・
  ~なんて忙しいですこと!

   ところで、こちらの小説は美しい藤穂と親友の有為子を中心に、
  女子医専(現東京女子医大)に学ぶ、7人のグルッぺ(一群)の物語。
  「学校の巻」、「人生の巻」、「戦争の巻」 と3部作になっています。

   この時代に女子医専に学ぼうとする位ですから、
  皆さん裕福で・・と思いがちですが、そうとばかりは限りません。

   多かれ少なかれ、それぞれに事情を抱えながら向学心に燃え・・。
  と言っても、やはり医者の子女が多いのでしょうね。
  (この小説では7人中、2人)

   そんな中で、お洒落したり恋愛したり。
  時代が時代ですので、新婚の夫に召集令状が来たり、満州に赴任・・
  ~なんて事も普通に描かれていますけれど。

   そうそう、「癩(らい)」 という病気も出て来ます。
  この病気を眼にしたのは、松本清張の 「砂の器」 以来。

   今日の引用文(場所は軽井沢の別荘)の万千子のお相手が、
  その血筋・・というだけで、親族から反対され、婚約解消するのです。
  (万千子の父親は医者)

   医者ですから当然病気は、遺伝ではない事は分かっているのですが、
  それでも当時、偏見と差別は相当のものだったようです。

   伯林(ベルリン)という漢字にも驚きますが、却って新鮮で。
  7人の女性たちの人生行路、今より遥かにダイナミックに生きた
  彼女たちの姿が、繊細なタッチで描かれています。

青色夢吐息

2012-03-10 16:51:18 | 香る庭の花綴り





「亡くなった妻はいつも、春を迎えるのに
ロンドンほど素晴らしい所はないと
言っていましたっけ。
木々の若芽、アーモンドの木。
そのうちに ライラック が咲く。
煉瓦とモルタルのくすんだ壁を背景と
しているために、その美しさが
一層、大きな意味を持つのだと。
田舎では全てが雑然と起こる。
それに周りがあまりにも広々としているから、
つい心して見る事がまれだ。
しかし、郊外の家の庭には、
一夜にして春が来るって」
                【A・クリスティー著「娘は娘」】 


   昨日の雨は上がり、やっと太陽のお出ましとなりました。
  ただ一気に・・とは行かないようで、午前中は少々遠慮気味。
  
   いいえ、奥床しいのですね、庭の菫のように。
  青空が戻って来たのは、お昼近くになってから。
  今では淡い水色の空に真っ白い雲が浮かんでいます。

   菫と言えば、沢山の種類がある事で知られていますが、(60種)
  早い話がパンジーだってヴィオラだって皆、菫の仲間。
  ひっくるめて大好きです。   


【「蔓日々草(ツルニチニチソウ)」】



   菫に続き今年初めて綻んだ青い(紫)花は、「蔓日々草」。
  例年に比べて随分、遅いですが花芽を付けていますから、
  これから続々、咲くでしょう。

   そして 「リラの樹」。
  今年も、こうして新芽を出しましたが、花はいかに・・。
  その待たれる花色は白なのですけれど。

   そして、もう1本。一昨日、生協よりリラの苗木が届きました。紫色。
  このリラを植える事、3回目。

   1本目(白)は、前述の通り未だに花が咲きません。
  2本目(紫)は、北側に植えて失敗。
  
   果たして3度目の正直となるでしょうか・・。
  尤も2、3年は待たなければなりませんけれど。
  焦っても仕方ありませんね。気長に待つ事に致しましょう。

   ところでリラの樹は、日当たりを好むのだそうですね。
  元々、寒さに強い樹だとの事。そればかりか暑さにも。

   この樹は、北国に咲きますから寒さを好む樹だと思っていたのですが、
  寒さに強いから北に植えられたようです。大いなる勘違い。
  
   ですから東南に植えて正解だったのですね。
  花が咲かないのは、他に原因があるのでしょう。
  いいえ、まだ咲く時期ではなかった・・そんな風に思う事に致します。