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自由貿易は、民主主義を滅ぼす

2011年05月28日 19時20分26秒 | 経済

エマニュエル・トッド氏の講演および日本の識者との対談集。石崎晴巳氏編。

エマニュエル・トッド氏は1951年生まれ、歴史人口学者・家族人類学者であり、フランス国立人口統計学研究所(INED)に所属されます。「最後の転落」といふ25歳にて発表した著書でソ連崩壊を予言されその後様々な著書で「予言」とも言へる著書を発表し9.11テロから1年後対イラク戦争開始前の2002年9月に発売された「帝国以後-アメリカシステムの崩壊」では「米国は唯一の超大国」といつた世界の一般的な対米認識に反して「アメリカの問題は、その強さにではなく、むしろその弱さにこそある」とアメリカの衰退、とりわけその経済力の衰退を指摘し、アフガニスタン攻撃に始まるアメリカの軍事行動を自らの覇権を演劇的に世界に誇示するための「演劇的小規模軍事行動」と断定。28カ国以上で翻訳され、世界的大ベストセラーとなつた。その他、著書多数。

驚いたのは

氏は「歴史人口学者」を筆頭とした人類学者なのであるが、経済の分野にもその私見(視見)を発揮されてをり、歴史学者と経済学者のやうである。

しかもしかも、その指摘は適切である。

素人ながら、疑問に思つてゐた。

「自由貿易」を推進する。米国がしてゐるやうに輸入を推進して、安い製品を消費者のために販売する。しかしながら、当然国内の「高い製品」は競争力が無く、売上がないので会社として経営できづ、犠牲になつていく・・・ 

これは、自分がアメリカカリフォルニア州サンタモニカにホオムステイした際に、「自由貿易を推進するアメリカ」を実体験したときに感ぢたことである。

アメリカに行つて、スウパアその他で製品を見るとすべてが外国製でアメリカ製が無く、あつたとしても値段が高く、お土産にアメリカ製を探してゐた自分としては大変に戸惑い、ホオムステイしたファミリイの旦那さんに「なぜアメリカ製品がスウパアにないのか???あつてもあんなに高いのか」と訊いたら「自由貿易主義だからだ」といふ返答が返つてきたのである・・・

この旦那さんは弁護士だつたので、論理的に説明してくれた。しかも奥さんが外国人を家庭に泊めることを前からしてゐたので英語が苦手な人にもわかりやすいやうに説明してくれた。

「アメリカは自由貿易主義だからだ。日本はあまり自由貿易主義ではないね、アメリカは日本製品を買ふけれども、日本はアメリカ製品を買はない。だからアメリカは日本にアメリカ製を買ふやうに要請してゐる」

確かに、「日米貿易不均衡」の時代があつた・・・・・・ しかし、実際アメリカに行つてスウパアに行くまで、アメリカがこんなに諸外国のものを輸入して販売し自国のものを「見つけられない」まで「自由貿易」を実践してゐるとは思はなかつた。アメリカ企業はだうなつてゐるのかと考えたほどである。

今なら「こんなに政府が自由貿易主義を推進してゐる結果、国内企業が利益を得て無い分だうしてゐるのですか?」と訊いてさらなる話が出来たであらうが

当時、カタコト英語の自分としては・・・ 訊けなかつた  自分が学生で社会経験がなかつたこともあつたかもしれないが・・・・

本書は、トッド氏の講演や発表記事の編集なので突詰めて読むには繰り返しがあるので不向きである。

なので本書よりもトッド氏の著書を読んだはうがよひであらう・・・ 自分もアメリカに関する著書を図書館で取り寄せる予定である。



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