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チェルノブイリの森 事故後20年の自然誌

2011年10月14日 17時14分17秒 | 環境

メアリー・マイシオ氏の著書。マイシオ氏はウクライナ系アメリカ人のジャーナリスト。ニューヨーク大学で生物学と法学を専攻。1989年キエフを拠点にチェルノブイリ原子力発電所事故後の現地取材を開始。その後、「ロサンゼルスタイムズ」紙のキエフ特派員となる。事故が環境や健康におよぼした影響に関する資料を大量に収集し、立ち入り制限区域をたびたび訪れ詳細な報告を行なつてゐる。

「まえがき」にあるがマイシオ氏はテレビでチェルノブイリの事故を知り、手がつかなくなる。法律事務所の仕事を辞め、ウクライナに移住しチェルノブイリ事故発生からのレポートを続けてゐるやうだ。

日本人は読むべきではないか、さう思ふ。

現在福島の問題が起きてゐるが、チェルノブイリではだう放射能を測定し、立ち入り禁止区域を設定したのか。

これがP20の地図に早々に出てくる。 それを見ると、とても現在「避難解除」とされた地域が安全とは思へない。

立ち入り禁止区域、10キロゾオン、30キロゾオンと記載された地図がP20にあるのだが

驚く無かれ、「立ち入り禁止区域」はピンポイントの放射能の高い地域と思はれ、円上では設定されてゐない。

つまり、政府=民主党政権が早々に隠したのと非常~に似た形状の地域、

「赤い地域」が立ち入り禁止区域となつてゐるのである。

これは何を意味するか

さう、民主党政権が「避難しろ」とホザゐた区域以外に、大変危険な地域があつたといふことを暗に示唆してゐるであらう。

加えて、チェルノブイリではこんなに早々に「解除」になつたか? 一斉に住民を避難させ、立ち入り禁止区域を設け、「無人の町」になつたやうである。

チェルノブイリでは、事故後10年で植物が生い茂り「独特の新しい生態系に生まれ変わっていた」(P19)らしい。

放射能で草木は生えない、と言はれるが実際は奇形の松が出てきたものの様々な植物が生い茂り、動物が集まる森となつてゐるやうすが、詳細に綴られる。

ただし、植物や動物は非常に高いセシウムを有してゐることが多い。植物の生え方(根や枝があるのか、苔のやうに全面で放射能物質を受けるのか)によつても値は違ふし、動物はその生態によつたり、各頭の行動範囲によつても違つてくる。

そして、「移住」せずに残つてゐる人たちの生活のやうすも書いてある。「無人の街」かと思つたら、ずつと住み続けてゐる人たちがゐた・・・・

その人たちは自給自足してをり、汚染された土壌で野菜を作り食す。

・・・・・・ 

なんとも言へない。

いずれにしろ、放射能物質の「半減期」はとてつもなく長い物質があり、ほぼ永久に人間は住めない土地がある。 「住めない土地」と定義されても、住み続ける人、人間がゐなくなつたあとに繁殖する動植物・・・・・・

福島に「避難解除」として帰還してもよひと民主党は言つたが、ものすごく無責任に思へる。特に本書を読んだあとには。

結局、何も考えてない場当たり的なことしか出来ないのが民主党なんだな、とよくわかつた。



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