読書おぶろぐ

読んだ本の感想を書いてます

葡萄酒か、さもなくば銃弾を

2010年02月10日 23時21分22秒 | 政治関連・評論・歴史・外交
手嶋 龍一氏の著書。
外交ジャーナリストの手嶋氏らしい、日本・世界の政界に活躍する方々の話です。

本書は会員制総合情報誌「ファクタ」、「中央公論」「婦人公論」等に寄稿した記事を
元に大幅に加筆・修正されまた新たに書き起こされた頁で発刊されてをります。

なお、登場してくる人物たちのプロフィールは、2008年4月当時のものです。
なので、現在から見ると「過去の人」になつてゐる人たちや「こんな裏があつたのか」
など興味深い。

外交ジャーナリストといふのは、大使館員ら、外交官らとこんなに親密なものなのか・・・
(夕食会に招ばれたときの話で、「親密」と思つてしまふのだが)など感心したことも
ありました。
親密の裏には、「信頼」がありその信頼を元に「情報提供」があり、記事になるのか・・・と。

ジャーナリストの田勢氏の著書で「手嶋氏の情報網」が並々ならぬものだと知つた。
そして手嶋氏の著書に興味を覚え、拝読した。最初はドキュメントノベル。
次がこの「ドキュメント」である。 手嶋氏の著書の中にも歴史家や国際政治学者の
著書が紹介されてゐる。 大変興味深いので、順々に探して読んでいく予定である。

「エピローグ 月下美人 若泉 敬」 P305-319の内容は思ふところがあつた。
自分も知らなかつたが、若泉氏は沖縄返還交渉を行つた方なのである。

若泉氏は、終戦当時15歳。「本土決戦」を教えられてきたが、「本土決戦」を行なわづして
日本の敗戦が決まつた。
若泉氏のこの体験があり、1967年より沖縄返還交渉の密使として度々渡米し、返還を
実現させた中で、若泉氏は「硫黄島戦」「沖縄攻防戦」等で戦死していつた方々の犠牲の
上に現在の平和があること、それを忘れてゐる世の中に抗ふ気持ちが抑えきれなくなる。
そして、「国家機密」ともいふべき「沖縄返還交渉全貌」について「他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス」を発表するのである。

「エピローグ 月下美人 若泉 敬」 P305-319には、若泉氏の著書の一部と若泉氏が
手嶋氏に掛けて来た電話での言葉が記述されてゐる。
その若泉氏の言葉に、考えさせられた。 そしてその言葉に同感した。

若泉氏の著書を探して、読んでみやうと思つた。

ルポ 医療事故

2010年02月10日 15時40分05秒 | 医療 (医療小説含)
出河 雅彦氏の著書。
出河氏は上智大学文学部新聞学科卒業後、産経新聞社を経て92年に朝日新聞社に入社され
社会部、くらし編集部、科学部で主に医療、介護問題をご担当され現在では朝日新聞編集委員をされてをります。

本書読後第一感想 ・・・・ 幅広い視点から考察した、よい著作だなと思ひました。

読後に関わらず、拝読中に思つてゐた感想 ・・・ 一言で「医療事故」と言つても様々なケエスがあり一括りでガイドラインや対応策を講じるのには無理がある。 メディアで取り上げられる「医療事故」は病院での処置が引き金となつて死亡したやうな例が非常に多いが、実際に起きてゐるのは多岐に渡る。
事情をよく知らない人間が、あれこれ言ふのは止めたはうがよい。

以前、医療に関する本で医師の著作を拝読し感想を投稿ゐたしました。
その内容も踏まえて、本書の内容を考えることが出来ました。 

立場変われば人変わる・・・ ぢやないけど、立場が違ふと視点が変わるので、様々な立場からの意見と視点を見るのは重要だなと思ひました。

で、
医療事故に患者の立場として関わることもなく(母親の手術がもしかしたら「医療事故」だつたのかもしれないが、当時6歳のあたくしとしては関わらないこととします)、医師の立場でも関わらず、マスコミの立場でもない全くの「第三者」視点での意見といふか「おホザき」は、以下のとおりです。

本書は、医療事故でも原因がそれぞれ異なる事故が取り上げられてゐる。なので、多岐の視点で考察することが出来る。 で、

1. 人手不足による「しわ寄せ」で疲労がたまり、「ミス」(所謂単純ミス)で起きてしまつた医療事故
2. 医師本人の性格の問題が影響してゐると思はれる医療事故 (知識のない症例に関して教科書を見ながら治療を行い死なせた医療事故。医師は「薬の添付文書は読まない」等の発言を遺族にしてゐる。この医師は一定期間医師業務を停止されたが、現在は医師をしてゐるらしい)
3.病院組織に問題があると思はれる医療事故 (経験のない医師に難しい手術をさせてゐた)

上記の3点は、行政も含める問題で医師や医療機関だけの問題ではないだらうと思へる。

この著書では、手術中に起こつた「患者容態の激変」について、「大動脈を傷つけた際に使用してゐた医療器具」の適正性についても記述してゐる。 (実際、病院がメエカアに調査を依頼してゐる)

この原因は、大変患者側には受け入れにくいであらう。 手術中に容態が急変して死亡した、となれば医学知識のない患者側にとつて最初に思ひ浮かべるのは 「医療ミス」=医療事故である。
ほんたうに器具や機器に問題があつても、「責任を転嫁してゐるのではないか?」といふ疑問が起こるのは避けられない。

ここで考えてしまつた ・・・・・・ ううむ・・・・・ 医療事故とは、こんな要因もあつたのか・・・・

次に思つたのは、「人間の身体の複雑性」と「自然に生まれるのがどれだけ有り難いか」である。
血管にいれて心臓の治療をするカテーテルなど、一歩間違へば「死」に繋がる。
出産だつて、「帝王切開」なんて昔はなかつた。自然分娩でしかなかつた。その中で現在
「帝王切開」でないと生まれない子供は、昔は生まれてゐたのかだうか。

と言ふか!!
最初から、「医療行為=治療」は危険行為なのである。(小松医師や里見医師が著書で記述されてゐるが)
それを、ふまえて(患者も覚悟して)行くべきではないか??と思つた。

それを、マスゴミが「神の手」とかなんとかホザゐて「名医特集」だの「病院ランキング」だのやるから何も知らない患者側は「医療行為が危険行為」と理解せづに病院に行くのではないか?と思ふ。

なので~
あたくしの独断的意見では
「昔は死んでたか生まれてないことが、今はいきられるか生まれてこられるか」になつてゐるのだから文句は言はずに医学の進歩と医療を実施してくれてゐる医師らに感謝すべきである・・・

帝王切開後、胎盤剥離を試みて大出血し患者が死亡したことで逮捕された医師の事例が記述されてゐるが、「帝王切開で産める」ことにまづ感謝すべきではないのか?
帝王切開後、だうなるかをきちんと聞いて、「死」への可能性も考慮して覚悟しておくべきではないのか?
勿論、ここできちんと説明しない医師は論外であるが。

「帝王切開」といふ、昔では子供を持てなかつた事態を子供を持てるやうにしてくれたことに感謝するどころか子供も欲しい、子宮も残せだのは

あたくしの勝手な意見としては 「あのさ、本来ならあーた子供も持てないか子供か自分かなのよ?これだけ危険な事態なのに、あれこれ欲張るのはだうなの?」 である。

てか
医師がはつきりそれを言へないのが、おかしいではないのか???

なんか、今の世の中間違つていると思ふのは!
「何もかも出来て当然」として、感謝がないことである。
感謝がないから、出来ないと不満をホザくのである。 それはおかしい。

同時に思ふのは
嘘を吐くやつが居るから、信頼が無くなり感謝が薄れていくのでは?といふこと・・・

どんなに取り繕つても、「嘘を吐いてゐる」といふのは伝はるものなのである・・・・
一つの嘘が不信を呼び、次々に不信を呼ぶ・・・ 一度嘘を吐いたら人間は嘘つきを警戒し
疑ふやうになる・・・

だから
感謝と
正直

これが、一番大事では??

その基本が失われたときに起こるのが、本書の内容では・・・・・・ と思ひました・・・・・・

それから最後に
海堂 尊氏の著作
小松医師、里見医師の著書で 「しみじみ」 と伝はつた 「厚生労働省の現場現実無視主義」

厚生労働省は、あれこれ「通達」を出す前にまづ、自分らが交代で全員「医療現場研修」を全科受講して現実を見てから、「書類」を作成すべきだと思ひます・・・ 

やはり、 最初に「現場」 ありき なのだ ・・・・  
捜査の基本は現場
これは、医療にも医療だけぢやないどの仕事にも言へることだと思ふ。