廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

アイスランドのジャズ

2015年07月16日 | Jazz LP (Europe)

Jazzvaka A Hotel Sogu  ( Jazzvakning Records JV 002 )


アイスランド。 ノルウェーとグリーンランドの間に浮かぶ、北海道と四国をたしたくらいの大きさの島国で、人口は32万人、人口密度は1平方キロ当たり
3人(日本は337人)。 冬場は極夜になるので、人々は外出もせず、家に籠って本を読んだり音楽を聴いたりして過ごす、まさに氷の国。
そんな彼の地にもジャズは当然のようにあって、こうしてレコードだって作られています。 ただ、その種類はとても少ないらしくて、このレーベルも
非営利団体なんだそうです。 

トランペット、テナーを加えた2管クインテットで、1980年9月26日に当地のホテル・サーガで行われたライヴを録音したもの。 写真の中央に写っている
ベースの Bob Magnusson がリーダー扱いになっているようです。 この人はアイスランド出身ですがアメリカでプロとして活動している人で、音盤も
そこそこ出していたり他のいろんなレコーディングにも参加していて、我々に一番身近なところだと復帰後のアート・ペッパーの "Among Friends(再会)"
でベースを弾いています。 他の4人も皆アイスランド出身で、トランペットの Vidar Alfredsson は英国BBCのオケで仕事をしています。

とにかくこの5人は演奏がものすごく上手い。 ライヴでこれだけ一糸乱れず緻密で弾けるような演奏をする技量はファーストコール並みです。
特にテナーの Runar Georgsson は硬質で深みのある素晴らしい音を鳴らしていて、レイキャビクなんかに留まらずにもっと広く世に出て活躍してくれたら
いいのに、と思います。

スタンダードを2つ、地元の作曲家が編曲を加えたアイスランドの民謡をモチーフにした楽曲が3つというプログラムで、リーダーのベースソロに
スペースを大きく与えた演奏になっていますが、もうちょっと管楽器の演奏がしっかりと聴ければもっと良かった。  
録音は極めて良好です。

アイスランド独自の何かが音楽から感じられるかというとそういうことはありませんが(というか、そもそも何がアイスランドらしいのかもよくわかりませんが)、
現代のレベルの高いモダンジャズになっており、世評の定まったありきたりの名盤に食傷した耳には新鮮に響くマイナーなレコードとして愉しめます。



コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 無視するにはあまりに惜しい1枚 | トップ | 今週の成果 »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ルネ)
2015-07-17 14:19:53
kenさん、こんにちは。

そうでした、ビョークがいましたね。 ただ、このアルバムは知りませんでした。 教えて下さり、ありがとうございます。
ビョークのアルバムで演奏しているピアノとドラムは、このジャズバカのアルバムで演奏している人達と同じですね。 俄然、興味が出て来ました。
見つけたら入手して、聴いてみます!
返信する
連続コメント失礼 (ken)
2015-07-17 09:59:06
たまたま関心が揃ったので、連続コメント失礼します。

ボクのアイスランドはビヨークのジャズアルバムです。案外有名で、Gling Glo.
案外イケますよ。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Jazz LP (Europe)」カテゴリの最新記事