廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

新たなる希望

2016年12月31日 | Jazz LP (Europe)

Gidon Nunes Vaz / Night Life  ( 蘭 Tritone Jazz Records 8719326027715 )


2016年最後の記事は、やはり今年リリースされた新作で締めようと思う。

今年公式デビューしたオランダの25歳のトランペッターで、驚くことにこれが3作目になる。 第1作目、2作目とも中古ではよく見かけたけれど、視聴した
限りではあまり印象に残るところがなくて見送っていたのだが、これはレコードでも発売されることやジャケットデザインもカッコよかったことから、
レコード発売と同時に買ってみた。

3管セクステットの現代の上質なハードバップが展開される。 DUのブログでは往年のブルーノートの名前が引き合いに出されているが、あまりそれを
思い出すようなところはなく、どちらかと言えばそういう過去の遺産を昇華した典型的な現代ジャズになっている。 欧州ジャズの胡散臭さがなく、
アメリカの若手が演奏しているような雰囲気になっているところが面白い。 現代のジャズを「ジャズらしさがない」と嫌う人も、これならそういう違和感を
感じることなく聴けるんじゃないだろうか。 特にバラードの出来がとても良いと思う。

全体的に非常に洗練されていて、ムラのないきめ細かな演奏に終始していて、3管のアンサンブルもアクセント程度の使い方でセンスもいい。 優秀な若手が
揃ったんだなあ、と感心させられる。 まだ25歳ということで、音楽には深みのようなものが欠けているけれど、それは今後のお愉しみというところだ。
ジャズで食っていくのはなかなか大変だろうと思うけど、志を忘れずに続けていって欲しいと思う。 バラードの上手い人は大成するはずだ。


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普通のニュースなどでもアナログ・ブームが取り上げられたりして、今年は特に新作のアナログ・リリースが目立っていたと思う。 イマドキのアナログはプレスも
丁寧で、うるさいマニアの目から見ても合格点が出せるものが多い。 今回のギドン・ヌネスだって、ジャズファンにアピールするにはレコードでの発売が
有効だということをわかってのことだろう。 こういうのはいいことだと思う。 私もこの作品がCDだけのリリースなら買っていなかったと思うからだ。
来年もこういう新作のアナログリリースが増えていってくれるといいな、と願いつつ、今年最後のブログを閉じようと思う。

当ブログを訪問して下さった皆様には深く御礼を申し上げます。 よいお年をお迎え下さい。


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